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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年4月号

後期重点施策実施5か年計画の推進に向けて

総務省情報通信政策局情報通信利用促進課

1 はじめに

年齢や身体的な条件によるICT(Information and Communications Technology:情報通信技術)利用機会の格差(デジタル・ディバイド)を是正し、高齢者や障害者を含めただれもがICTの恩恵を享受できるような、情報バリアフリー化された社会の実現が必要不可欠となっています。これまで総務省では、「障害者基本計画」(平成14年12月24日閣議決定)や、同計画に沿って策定された「重点施策5か年計画」(平成14年12月24日障害者施策推進本部決定)に従って、障害者が使いやすい情報通信機器・システム等の開発普及や、字幕放送、解説放送等の拡充に向けた施策などを積極的に推進してきました。平成20年度からは、新たな「重点施策実施5か年計画」に基づき、障害者施策を積極的に推進していくこととしています。

以下、新たな「重点施策実施5か年計画」における総務省の情報通信関係の主な施策について紹介します。

2 主な施策

1.情報バリアフリー化の推進

○障害者が使いやすい情報通信機器、システム等の開発・普及支援

総務省所管の独立行政法人情報通信研究機構において、通信・放送に関する高齢者・障害者向けのシステム・機器や、サービス等の開発の促進のため、「高齢者・障害者向け通信・放送サービス充実研究開発助成金」により研究開発への支援を行っています。また、総務省においては、「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)に基づき、独立行政法人情報通信研究機構を通じて、身体障害者向けの通信・放送役務サービスの提供や開発を行う企業に対して、「身体障害者向け通信・放送役務提供・開発推進助成金」による事業の実施に必要な資金の助成を行っています。

また、情報通信機器等に関する指針等の周知普及を図っています。

○ホームページ等のバリアフリー化に係る普及・啓発の推進

高齢者や障害者を含むだれもが地方公共団体のホームページを利用できるようにするため、地方公共団体のホームページ等のアクセシビリティ維持・向上の取組モデルである「みんなの公共サイト運用モデル」を平成17年12月に公表し、その普及に取り組んでいるところです。地方公共団体の担当者等を対象としたセミナーの開催などを通して、「みんなの公共サイト運用モデル」に含まれる地方公共団体等で活用できる各種手順書やワークシートの積極的な活用を促すための取組を継続的に進めており、ホームページ等のバリアフリー化の推進のための普及・啓発を推進しています。

2.社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及

○テレワークの普及・啓発の推進

2010年までにテレワーカーを就業者人口の2割とする目標の実現に向けて策定した、「テレワーク人口倍増アクションプラン」(平成19年5月29日テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議決定)を着実に推進するなど、テレワーク普及に向けた総合的な支援環境の整備を図り、通勤困難者でも仕事が可能となるテレワークの普及・啓発を推進しています。

○ユビキタスネット技術の研究開発の推進

高齢者や障害者を含むだれもが簡単・安心にその場の状況に応じた多様なサービスを利用できる環境を実現するため、ユビキタスネットワーク技術等のICTとロボット技術が融合する技術(ネットワークロボット技術)に関する研究開発を実施しています。また今後、ユビキタスネットワーク技術の一層の高度化・汎用化等に向けた研究開発を開始することとしており、これら研究開発により、少子高齢化社会における生活支援やライフケア等への寄与が期待されます。

3.情報提供の充実

○字幕番組、解説番組及び手話番組の制作の促進

視聴覚障害者向け放送の普及拡大に向けて、平成19年10月に、平成29年度までの字幕放送・解説放送の普及目標を定めた「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を策定しました。これは、字幕放送については、平成19年までの指針の対象を拡大し、NHK総合、在京キー5局等において、字幕付与可能な放送番組(注1)のすべてに字幕を付与し、解説放送については、NHK総合及び在京キー5局等において対象の放送番組(注2)の10%、NHK教育において対象の放送番組の15%に解説を付与することを目標としています。

また、字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する必要な助成を行います。

注1)複数人が同時に会話を行う生放送番組など技術的に字幕を付すことができない放送番組等を除く7時から24時までのすべての放送番組

注2)権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組を除く7時から24時までのすべての放送番組

3 最後に

総務省では、新しい「重点施策実施5か年計画」における、情報・コミュニケーション分野の基本方針である、「IT(情報通信技術)の活用により障害者の個々の能力を引き出し、自立・社会参加を支援するとともに、障害特性に対応した情報提供の充実を図り、障害によりデジタル・ディバイドが生じないようにするための施策を積極的に推進する」を踏まえ、前記の取組を積極的に推進します。