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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年7月号

わがまちの障害福祉計画

逗子市障害福祉計画

内田典久

1 はじめに

逗子市は人口58,587人で面積が17.34平方キロメートル、身体障害者手帳所持者数は1,610人、療育手帳所持者数は219人、精神保健福祉手帳所持者数は224人(平成20年6月現在)となっています。市全体の人口構成では、高齢化率が26%を超え、少子高齢化が顕著となっており、また障がいの方も高齢化の傾向が見られます。

本市では平成19年3月に、障害者自立支援法に準拠し「逗子市障害福祉計画」(策定期間は平成18~20年度)を策定しました。一方すでに「逗子市障害者福祉計画」(策定期間は平成15~20年度)も同時進行で立ち上げており、平成21年3月には両計画を一体化し、一つの計画とする予定でいます。どちらの計画も共通の基本理念として「ノーマライゼーションとリハビリテーション」を掲げ、本市における障がい者施策を総合的に推進するための基本計画としています。

2 計画の策定に際して(アンケート調査の結果や課題など)

本市では、平成18年8月に市内在住の3,000人(障害者手帳所持者1,817人、無作為抽出した市民1,183人)の方を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、約65パーセントの方から回答を得ることができました。

調査から見えてきた主な点としては、まず、相談先の周知が進んでいないことが挙げられます。回答者のほぼ4人に一人の方が「どこに相談したらいいか分からない」と感じていることが分かり、制度の周知、相談対応の充実など、「情報面での支援体制づくり」が急務であることが分かりました。

また、就労を希望する人が多いことも分かり、障がいのある方もその他の方も、「周囲の理解・職場の人間関係の形成」と「自分に合う仕事の紹介・斡旋」が大事と考え、また、「自立できる賃金の確保」や「職場のバリアフリー化」が必要とする回答も多く見受けられました。

さらに「逗子市が障がいの有無にかかわらず自分らしく暮らせるまちになるために重要と考えること」として、障がいのある方は、「自宅での生活を支えるサービスの充実」「施設・情報のバリアフリー化の推進」「障害福祉を支える人づくり」の順で多く挙げており、「働いて自立できる環境づくり」「幼いころからの人づくり」「心のバリアフリーの推進」といった回答も多くみられ、ノーマライゼーションに対する意識の高さがうかがわれました。なお、アンケート票の作成に際しては、障害者福祉計画部会の全体会とは別に作業部会を設置することにより、より具体的な内容を効率的に盛り込むことができました。

これらを踏まえた策定にあたり、特に地域生活支援事業についての今後の方向付けが課題となりました。

主なものとしては、まず相談支援事業について、主に身体障がい・知的障がいの方の窓口を1か所、また、主に精神障がいの方の窓口を市内外に各1か所事業委託を行うこととなり、前述の相談先に対しての課題に対し、一定の実績を上げています。

地域活動支援センターについても、市内の2か所に事業委託を行うことにより、はざ間の障がいの方に対する支援も含めた柔軟な対応による支援活動を続けています。当時は作業所からの移行の可能性など、先が読めない中での策定でしたが、今後一層の機能の充実が求められています。

日中一時支援事業は、市内外の4か所に事業委託を実施することとなり現在に至っていますが、就学児の場合、特に放課後や夏休み時の見込み量の確保が現在の課題となっており、1年を通じてどの程度のサービス量が必要なのかをあらためて見直す必要があります。制度そのものの周知や実施場所の交通利便性等も含め、今後の課題となっています。

なお、本市では計画の策定時に、利用者負担が過度な負担にならないよう原則として自立支援法施行前の基準の維持に努めることとし、特に移動支援事業については、利用者負担を所得にかかわらず無料化する等の工夫を行っており、この結果、利用者数は障がいの種類を問わず年々増加する傾向にあります。今後とも障がい者の外出時における利便性を高める工夫が必要と考えています。

地域生活支援事業は市の裁量による部分が大きいため、地域の実態に即したきめの細かいサービスの提供や質の向上が今後とも必要と思われます。

3 次期計画の策定に向けて

次期計画の策定にあたり、今後障がい関係各団体への意見交換会も予定しており、サービスの質を向上するための第三者評価の充実や、緊急時の対応も含めたセーフティネットの充実等が求められているところです。

逗子市の場合、市内に入所施設がありません。そのため、地域生活に移行するためには、今まで以上にホームヘルプサービスやグループホーム・ケアホームの充実も課題となっており、利用者が安心して利用できる質の高いサービスの確保に向け努力していく必要があります。

逗子市はその面積や人口規模からすると、障がいのある方の「顔」の見える窓口風景であり、「小回り」が利く自治体です。すぐに現場へ駆けつけられるその機動力を今後とも生かしていきたいと思います。

厳しい財政事情で適切な人員配置や無駄のない効率的な運営が求められている中、市内の社会資源をどう有効活用していくかが引き続き課題となっており、次期計画においてまさに計画策定の意義や真価が問われるところです。今後の計画期間、そしてさらにその先にあるべき姿を見据えつつ、市や圏域の自立支援協議会とも連携しながら策定作業を行っていきたいと思います。

(うちだのりひさ 逗子市福祉部福祉課)