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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年7月号

1000字提言

たまり場の役割

遁所直樹

私たちのセンターは1995年、新潟市の単独事業「通所型グループホーム」の制度を利用してたまり場からスタートしました。身体と知的の皆さんが一緒になって集うことができる制度です(現在は精神の方も含まれます)。5人の当事者が集まることにより、家賃と世話人さんの分、約360万円を、新潟市が補助します。約30年前、川上市政の頃に作られた新潟市単独事業です。実は、障害者自立支援法の流れの中で、新潟市はこれを縮小し、見直しをしています。

地域生活支援事業のような10人規模よりは、5人の方が集まりやすいと思いませんか?ですから、自立生活をしたい障がい者を支援する仕組みとして、再度「たまり場」を提案しています。

たまり場と地域生活支援事業3型は違います。就労であまり頑張りすぎないで、ゆっくりしたいと思う時、悩みがある時、そのような時にこそ、たまり場が必要です。特に、このたまり場については、障害者インターナショナル(DPI)が調査をしてその必要性を実証してきました。

また、「ピアカウンセリング」の実践の場としても大切な場所です。ピアカウンセリングでは泣いたり、自分の感情を押出します。褒めあったり、認め合うことで「自分っていいよね」ということを本人が気づきます。自分たちは今まで虐げられてきた。「必要がない」とまで言われてきた。その時に、「大事な存在なんだよ」「良いものを持っているよ」「泣いてもいいよ」「あなたっていいよね」と仲間同士で認め合い、同じ時間と空間を過ごすことにより、うちに秘めていた自分自身の良いところに気づき、再び、厳しい娑婆の世界に戻っていける。

自立生活センター新潟では、たまり場で、そのような機会を提供してきました。

新たに新潟では、「ピープルファースト」という知的障がい本人活動の動きがあります。なかなか支援するスタッフが見つからず、現在、センターの事務所の1か所で毎週火曜日にたまり場を開催しています。ピープルファースト新潟の当事者だけでたまり場を見つけることは難しいのです。私たちは、今では事業をやっていて事務所を持つようになりました。そこで、「空いている場所があるのでどうぞ使っていいですよ、力をつけて独り立ちしてください」という思いで支援しています。

身体障がい中心だった新潟市の自立生活センター新潟が、知的・精神の皆さんも一緒に考えていくようになりました。今後、20代を中心とした次世代の当事者が、力をつけて活躍できるように、たまり場の役割を新潟市に示していきます。

(とんどころなおき NPO法人自立生活センター新潟事務局長)