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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年9月号

重点連載【障害者自立支援法と自治体施策】

長野市における自立支援協議会の取り組み

鈴木雅人

長野市障害ふくしネットの立ち上げ

「措置から契約へ」の支援費制度導入を契機に、障害福祉関係者のネットワークづくり、そして障害当事者・家族を支えるために、地域のニーズや課題を掘り起こしフィードバックする仕組みが必要とのことから平成15年4月から準備を進め、同年9月に「長野市障害ふくしネット」が発足されました。市障害福祉課と熱意のある市内障害福祉関係者の呼びかけにより、約60団体が参集しスタートとなりました。

平成18年の障害者自立支援法の施行により、既存の「長野市障害ふくしネット」の機能がそのまま「地域自立支援協議会」の役割を果たすことから「長野市障害ふくしネット(長野市障害者地域自立支援協議会)」へと移行されています。

地域の特色を反映させる組織の工夫【資料参照

「施策フォーラム」での検討の結果、平成16年から「ケアマネジメント作成事業」を市単独事業でスタートさせ、長野市独自の障害者を継続的に支える仕組みを完成させました。

平成18年の障害者自立支援法の施行を受け、8人が長野市障害者相談支援専門員として各事業所に委託され、ふくしネットのエンジンであるケアマネ連絡会をその8人で再編成し、独自の課題収集・分析を行うと同時に各部会をサポートしています。また、平成20年から「ケアプラン審査」をケアマネ連絡会で行うことにより部会の課題検討や推進に役立てています。また、各部会では執行部(部会長・副部会長・市担当者・ケアマネ連絡会担当者)を中心に、現場からの課題を収集し、計画を立てて活動しています。これらの部会からの提案を施策フォーラムで検討し、施策提言を行っています。

また、各部会や全体協議会を通じ、行政機関の方の協力も大きな推進力となっています。

資料 長野市障害ふくしネット概念図
長野市障害ふくしネット概念図拡大図・テキスト

各部会の実践例

市長との懇談会・企業見学会・通所施設の説明会・精神保健福祉事業の実施(国)・自立支援協議会機能強化事業(DVDの作成(県))・各種パンフレットの作成・障害者週間特別企画での分科会の運営・他事業との連携・学習会・各種アンケートの実施・施策提言(新規事業:ケアプラン作成事業・身体障害者GH・自立体験事業・地域生活支援事業関係など)

移り変わる課題

当初の課題の一つであった「活性化」は、運営部会メンバーのサポートにより、柔軟で大胆な活動が増え、その結果として、ネット全体の「循環・連携」が必要となり、ケアマネ連絡会のサポートによる連携が強化され、参加者の持ち味を生かした活動内容が増えてきています。一方、ふくしネットの議題に上がりにくいニーズ、施策フォーラムで取り上げにくいニーズ、制度の隙間、自由に参加できない団体や関係者からのニーズもあることが分かってきました。また、より個別のニーズに対応し継続した支援体制作りのために「個別支援計画」の取り入れ方の検討も課題の一つになっています。福祉行政予算が厳しくなる中で、サービスを提供する事業者も、事業の効果的な運用と種々様々な施策に対しての学習が要求されるようになってきています。

今後の展望

スタートから5年、参加者や担当者が替わるとスタンスも変わります。多くの人の熱意で作り上げていただいたものを継承しより発展させていきたいと考えています。より広く多くの方の目に触れ、関わっていただくことで、「みんなのふくしネット」が呼吸し続けることと思っています。なお、平成19年度長野県自立支援協議会機能強化事業を活用し、紹介DVDを作成しましたので、ご希望の方は長野県障害者自立支援課へご連絡ください(電話026―235―7105)。

(すずきまさと 長野市障害ふくしネット事務局)