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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年3月号

平成21年度予算案
障害保健福祉関係予算案の概要

厚生労働省 障害保健福祉部

~平成21年度予算案~

平成20年度予算額
9,700億円
平成21年度予算案
9,936億円
対前年度増加額 236億円
対前年度伸率 2.4%増

1 障害者の自立生活を支援するための施策の推進

(1)良質な障害福祉サービスの確保 5,072億円

ホームヘルプ、グループホーム、就労移行支援事業等の障害福祉サービスについて、障害福祉計画に基づき、各市町村において推進を図る。

また、平成21年4月に5.1%の障害福祉サービス費用(報酬)の改定を行うことにより、良質な人材の確保、障害福祉サービスの質の向上、事業者の経営基盤の安定等を図るとともに、相談支援の充実のため、サービス利用計画作成費の給付について、対象者の拡大等を行う。

※利用者負担の軽減措置は21年4月以降も継続して実施するとともに、「資産要件」の廃止や「心身障害者扶養共済給付金」の収入認定からの除外により負担軽減を図る(21年7月実施)。

(2)障害児施設に係る給付費等の確保 617億円

障害のある児童に対して、知的障害児施設等の障害児施設において行う保護・訓練に係る経費を確保するとともに、虐待等処遇困難な事例に対応できるよう新たに加算(※)を設け、社会的養護機能の充実を図る。

※虐待等を受けた児童等に対する適切な援助体制を整備する観点から、新たに心理担当職員や看護師を配置した場合に加算する。

(3)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 1,447億円

心身の障害の状態の軽減を図るための自立支援医療(精神通院医療、身体障害者向けの更生医療、身体障害児向けの育成医療)を提供する。

※利用者負担にかかる経過措置は21年4月以降も継続して実施するとともに、育成医療の中間所得層における負担上限月額の更なる軽減を図る(21年4月実施)。

(4)地域生活支援事業の着実な実施 440億円

障害者のニーズを踏まえ、移動支援や地域活動支援センター機能強化など障害者の地域生活を支援する事業について、市町村等における事業の着実な実施及び定着を図るとともに、事業の実施が遅れている地域の支援や実施水準に格差が見られる事業の充実を図る。

(参考)障害者就業・生活支援センター事業については、「成長力底上げ戦略」の「福祉から雇用へ」推進5か年計画等において、平成23年度までに全障害保健福祉圏域設置を推進していることから、平成21年度より地域生活支援事業から移替し、単独事業として実施する。(生活支援部分7億円)

(5)障害福祉サービス提供体制の整備 128億円

社会福祉施設整備費(保護施設分を含む。) 100億円

障害者の就労支援や地域移行を促進するため、生活介護、自立訓練、就労移行支援等の障害者の日中活動に係る事業所やグループホーム等の整備を推進する。また、社会福祉施設整備費の補助基準単価について、資材費及び労務費の動向を踏まえ2.0%引き上げるとともに、グループホーム及びケアホームの創設の補助基準単価について、事業者負担を軽減するために引き上げる。

・障害者のグループホーム及びケアホームの創設の基準単価(事業費ベース)

(平成20年度)
20,000千円以内
(平成21年度予算案)
25,000千円以内

障害者就労訓練設備等整備事業 27億円

既存の障害者施設や小規模作業所等が就労移行支援等の新体系事業への移行に際して必要となる就労訓練設備の購入やグループホーム等を行うための賃貸物件の改修に対し補助を行う。

※福祉政策と住宅政策の連携

国土交通省と連携を図り、公的賃貸住宅団地等の再整備(安心住空間創出プロジェクト)等により、障害者が安心して地域で生活が続けられるよう、基盤の整備を推進する。

(6)障害者の社会参加の促進 30億円

視覚障害者に対する点字情報等の提供、手話通訳技術の向上、ITを活用した情報バリアフリーの促進、障害者スポーツや芸術文化活動の振興等を支援し、障害者の社会参加の促進を図る。

総合国際競技大会への派遣及び指定強化事業の実施 3.2億円

冬季パラリンピック等の国際大会への日本選手団の派遣や強化合宿等の実施、障害者スポーツの世界大会でのメダル獲得に向けたトップレベルの競技者に対する特別強化プランを実施するとともに、普及啓発等の取り組みを行うことにより、障害者スポーツの振興を図る。

2 精神障害者の地域移行を支援するための施策の推進

(1)精神障害者地域移行支援特別対策事業の推進 17億円

受入条件が整えば退院可能な精神障害者の退院支援や地域生活支援を行う地域移行推進員を配置するとともに、地域生活に必要な体制整備を促進する地域体制整備コーディネーターを配置することにより、精神障害者の地域生活への移行を着実に推進する。

(2)精神科救急医療体制の強化 21億円

精神科救急情報センター及び精神科救急医療施設における精神保健福祉士等の増員等により、一般救急医療と精神科救急医療の連携のための連絡調整体制を都道府県ごとに整備するとともに、空きベッドの確保等により、精神・身体疾患を併せ持つ患者に対する精神科救急体制の強化を図る。

(3)精神障害に対する国民の正しい理解の促進 80百万円

精神疾患や精神障害者に対する国民の正しい理解を促進するための普及啓発を推進する。

3 障害者の就労を支援するための施策の推進

(1)福祉施設で働く障害者の一般就労への移行の促進と工賃倍増5か年計画の取り組みの推進 17億円

福祉施設で働く障害者の一般就労への移行を促進するため、新たに一般就労に向けた職業指導員等の研修を実施するとともに、都道府県が策定した「工賃倍増5か年計画」に基づき、関係行政機関や地域の商工団体等の関係者を挙げた協力の下、福祉施設等の支援を行うほか、工賃水準の向上に資するための設備投資等の借入に係る債務保証料への助成を行う。

(2)障害者就業・生活支援センター事業の推進 7億円

(地域生活支援事業費補助金より移替)

障害者の就業面と生活面における一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターについて、設置か所数を拡充し、地域における障害者に対する就労支援力の強化を図る。

(設置か所数) 平成20年度
205か所
平成21年度予算案
265か所

4 発達障害者支援施策の更なる拡充

(1)発達障害者の支援体制の確立 2.2億円

発達障害者の支援を実施する地域支援体制の確立を推進する。

発達障害者支援センター運営事業の推進(地域生活支援事業の内数)

各都道府県・指定都市に設置する発達障害者支援センターにおいて、発達障害者やその家族等に対して、相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供等を行う。

発達障害者支援体制整備事業の推進 2.2億円

ライフステージに対応した一貫した支援を行うため、都道府県・指定都市に発達障害の支援体制整備検討委員会を設置し、各圏域において支援関係機関のネットワークを構築するとともに、個別支援計画の実施状況調査及び評価を実施し、適切な助言等を行うことで、支援体制の充実を図る。

(2)発達障害者の支援手法の開発や普及啓発の着実な実施 6.6億円

発達障害者の支援手法を開発するとともに、専門家の育成や普及啓発について着実に実施する。

発達障害者就労支援モデル事業の推進 42百万円

国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、青年期発達障害者の職業的自立を図るため、関係機関等と連携して就労支援モデル事業を実施する。

発達障害者支援開発事業の推進 5.2億円

発達障害のある子どもの成長に沿った一貫した支援ができるよう先駆的な取り組みを通じて発達障害者への有効な支援手法を開発・確立する。

発達障害情報センター機能の充実 57百万円

発達障害情報センターにおいて、発達障害に関する国内外の文献、研究成果等を集積し、全国の発達障害者支援機関等への発達障害に関する幅広い情報提供等を行うとともに、各自治体の発達障害に関する支援体制の好事例を集めたモデル事例集や、支援手法等を集めた支援マニュアルを策定する。

発達障害研修事業の充実 21百万円

各支援現場における支援内容の充実を図るため、発達障害者支援に携わる職員等に対する研修を実施する。

「世界自閉症啓発デー」普及啓発事業の創設 15百万円

国連が制定した「世界自閉症啓発デー」(4月2日)の周知と、自閉症をはじめとする発達障害に関する正しい知識の浸透を図るための普及啓発活動を実施する。

5 自殺対策の推進

(1)うつ病等の精神疾患に関する国民の正しい理解の促進 80百万円

自殺との関係が強いとされるうつ病等の精神疾患に関する国民の正しい理解のための普及啓発を実施する。

(2)自殺予防に向けた人材養成の推進 1億円

うつ病の早期発見・早期治療につなげるため、かかりつけ医に対するうつ病の診断・治療技術の向上や医療連携等に関する研修を実施する。

(3)自殺未遂者、自殺者遺族対策の推進 30百万円

自殺未遂者や自殺者遺族へのケア対策のガイドラインの普及を推進するため、医療従事者に対する研修や自殺者遺族等を対象としたシンポジウムを開催する。

(4)自殺予防総合対策センターによる情報提供等の推進 53百万円

総合的な自殺対策を実施するため、自殺予防総合対策センターにおいて、国内外の情報収集、インターネットによる情報提供、関係団体等との連絡調整を行うとともに、関係機関の相談員や医療現場に従事する心理職等を対象とした専門的な研修、自殺の実態を解明するための調査を実施する。

(5)地域での効果的な自殺対策の推進 2.1億円

地域における支援体制の整備を行うための「地域自殺予防情報センター(仮称)」の設置や先進的な自殺対策の取り組みを検証・推進するとともに、地域精神保健従事者に対して実践的な研修を実施する。

地域自殺予防情報センター運営事業の実施(新規) 86百万円

「地域自殺予防情報センター(仮称)」を設置し、市町村、医療機関等の関係機関の連携強化や自殺対策に関する人材育成を行うことにより、地域における支援体制の整備を図る。

(6)自殺問題に関する総合的な調査研究等の推進 3.2億円

※他局計上分。

自殺予防に向け、複数地域を対象に、こころの健康の啓発活動をはじめとする複合的なプログラムを導入した比較介入研究を行うとともに、救急部門に搬送された自殺未遂者に対してケースマネジメントによる支援を行い、再び自殺を試みることを予防する研究等を行う。

(7)自殺対策に取組む民間団体への支援(新規) 1.2億円

先進的かつ効果的な自殺の防止等に関する活動を行っている民間団体に対し、支援を行う。

6 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の促進

(1)医療観察法の医療提供体制の充実・強化 217.2億円

※他局計上分を含む。

緊急的課題である指定入院医療機関の整備に向けて、都道府県等による整備を促進するための取り組みを推進するとともに、対象者の地域における継続的な医療の提供と社会復帰の促進を図る。

指定入院医療機関の地域交流の促進(新規) 12.0億円

指定入院医療機関の整備を加速するため、地域との相互理解を含めた総合的な取り組みを実施し、医療観察法対象者が安心して社会復帰できる体制整備を推進する。

(2)円滑な社会復帰に重点を置いた医療観察法制度の適正な運用 1.9億円

※他局計上分を含む。

医療観察法に基づく対象者に対する質の高い医療的ケアを行い、円滑な社会復帰を促進するため、医療観察法医療の質を評価・検証するとともに、公平な審判に資するよう、精神鑑定の判定事例にかかる考察を行う。

(3)司法精神医療に携わる医療及び福祉職種の人材養成 78百万円

増加する精神鑑定業務への対応と医療観察法に基づく対象者に対する質の高い医療的ケアを行うため、精神保健判定医や指定医療機関従事者、地域保健福祉職員等に対し、司法精神医学の教育、医療観察法に基づく鑑定ならびに医療処遇に関する各種の演習等を適切に実施することで、関係職種の育成と資質能力の向上を図る。

7 その他

(1)認知症対策の推進 5.3億円

認知症疾患医療センター運営事業の充実強化 5.2億円

認知症の専門的医療の提供体制を強化するため、鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うとともに、担当者の配置による介護との連携や認知症を専門としない一般開業医等への研修を行う認知症疾患医療センターの整備を推進する。

認知症専門医療従事者研修事業の実施(新規) 6百万円

認知症の専門的医療の提供体制を強化するため、地域における認知症の専門的医療機関である認知症疾患医療センターに従事する医療関係者に対し、最新の診断技術等に関する研修を実施する。

(2)依存症対策の推進(新規) 50百万円

地域における薬物・アルコール依存症対策を推進するため、モデル事業の実施による実効性のある取り組みについて検証を行う。

(3)障害者保健福祉推進事業 13億円

障害者自立支援法の着実な施行のための先駆的・革新的なモデル事業に対する助成を行い、障害者に対する保健福祉サービスの一層の充実を図る。

(4)障害者に係る手当の給付 1,334億円

特別児童扶養手当、特別障害者手当等に必要な経費を確保する。