音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年4月号

ボクの就職への道のり・・今とっても幸せです

君成田隆志

私は、現在、医療法人和風会所沢中央病院で、健康診断の結果入力の仕事をしています。直属の上司をはじめやさしい方々に恵まれ、充実した毎日を送っています。朝10時から夕方の5時まで、週5日間働いています。

私は、大学卒業後、数か所の職場を転々とし発病しました。幻聴が主な症状でテレビの出演者が自分に語りかけてきたり、24時間、世界中の人が僕の動静を注視しているような感覚に襲われました。知り合いの看護師さんからクリニックを紹介され、通院、服薬を始めました。幻聴が治まり、さまざまな施設を見学した後、保健師さんの紹介で、通所授産施設(今は就労移行支援事業所)ピアスに入所しました。

ピアスでは2年間、弁当の宅配や清掃、事務補助、見学案内の訓練を受け、自分を見つめることができました。その後、和菓子製造会社で1か月間訓練を受け、それから老人ホームの清掃の仕事に就きました。しかし腰痛のため3か月でダウン。その後オープンで数か所、面接を受けるも採用に至らず、やむなくクローズで、スーパーの仕事に就きました。午前中4時間働いてピアスに戻り、毎日愚痴を聞いてもらい、また翌日に臨むというリズムで4年間働きました。しかし仕事はハードになる一方で、辛い日々が続きました。

ピアスと併設の就業・生活支援センター・オープナーの職員に相談したところ転職を勧められ、2か月間パソコンスクールに通いました。精神障害者対象の委託訓練で、ワード・エクセルの基礎を学びました。1日4時間、週6日、苦手なパソコンに向かい、ストレスで歯茎が痛みましたが、何とか卒業できました。在学中にオープナー経由で、今の職場から求人のお話をいただきました。オープナーの職員と面接の練習を何度も行い、本番に臨みました。面接では健診センターの現場を見学させてもらい、皆さんに挨拶できました。めでたく採用となり、3か月間、オープナーのジョブコーチが仕事を覚えるまで同行してくださり、毎日仕事が終わった後に駅前のマクドナルドで振り返りをして、不安を取り除いてくれました。職場の雰囲気も明るく、コミュニケーションの下手な僕を支えてくれました。上司も分かりやすい仕事のマニュアルを作って、分かるまで忍耐強く教えてくださいました。

人生に関わる健康診断の結果入力の作業は、責任の重さで吐気を催すこともありましたが、1年が経ち、もう大丈夫と太鼓判を押されるようになりました。お医者様のお手伝いができることに、誇りを持って働いています。1日も長く働けるように頑張ります。

(きみなりたたかし 所沢中央病院)