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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年11月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●ワンポイントのオシャレ、他●

提案者:宮野秀樹 イラスト:はんだみちこ

宮野秀樹(みやのひでき)さん

兵庫頸髄損傷者連絡会・事務局長。頸髄損傷・完全四肢マヒの体ですが、兵庫県の田舎において一人暮らしをエンジョイしています。重度障害者の尊厳ある人生をともに考え創っていくため、自立支援およびセルフヘルプ活動を展開中。


ワンポイントのオシャレ

私は四肢マヒの障害ゆえにチンコントロール式(アゴで操作する)電動車いすを使用して移動しています。余談になりますが、操作テクニックは抜群です(笑)。ジョイスティックレバーを前後左右にアゴで動かし電動車いすを自在に操るのですが、レバー先端がスッポリとアゴ先が収まるような形状とゴム素材であるため、汗や顔の脂などでアゴがツルツルと滑ることがあります。そこで工夫しているのが「ドアノブカバー」を取り付けること。レバー先端にちょうどフィットするので、これを取り付けると違和感なく操作でき、アゴが滑って運転を誤ることもなくなりました。カバーは2~4枚入りで百均に売っているので安価で手に入ります。清潔を保つため、頻繁に交換することもできます。何よりドアノブカバーはいろんなデザインがあるのでワンポイントアクセントに効果的です。花柄のカバーを付けると、怖い顔のオッサンでも可愛く見えるから不思議なものです(あくまでも本人の感想です)。


食材を無駄にしない

男の一人暮らしであるため、食事の献立には苦労します。毎日何を食べようか、栄養が偏らないようにメニューを考えなければなりません。それ以上に苦労するのが、食材購入とその管理。バラエティーに富んだ献立にしようとすると食材の種類も増えます。食材の種類が増えるとそれぞれの消費期限を把握して効率的に使っていく必要があります。せっかく購入したのに消費期限を忘れて腐らせてしまったり、冷凍していて何か月も放置したまま……、というのはだれもが覚えがあるのではないでしょうか。

そこで私が工夫しているのが「ホワイトボード管理法」。食材を肉類・魚貝類・野菜類等々のカテゴリーに分けて、食材名・数量・購入日・消費期限を明記することにより、一発で何があるかを把握できるという方法です。非常にオーソドックスで簡単な方法ですが、本当に食材を無駄なく使っていくのに効果的な管理法です。ボードとにらめっこして献立を考えるのは意外と楽しいですよ。ぜひお試しください。


いつでも水分補給

頸髄損傷は自律神経を損傷しているケースが多く、発汗機能障害のため体温調整ができない方が多いです。私も体温調整には苦労しており、体の中の温度を調整するために水分補給が欠かせません。「飲んで、オシッコから熱を逃がす」、頸損者には当たり前の体温調整法ですが、四肢マヒゆえ自分でコップやペットボトルを持って水分補給ができません。介助者に飲ませてもらいたくても、介助者がいないときにはそれが不可能です。

そこで、いつでも一人で水分補給ができるように、園芸用のビニールチューブを使用してペットボトルから吸引できるよう工夫しています。ベッド上では環境制御装置の呼気スイッチユニットに取り付け、電動車いす上ではパワースウィングユニットに取り付けることで水分補給が可能となっています。長いチューブを吸うのは大変ではないか?とよく聞かれますが、コツさえつかめば案外簡単に飲むことができます。保温冷ケースを使えば、温かい飲み物や冷たい飲み物を長時間保持することも可能ですので、夏や冬には大変効果的です。