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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年5月号

ワールドナウ

JICAコスタリカプロジェクトに専門家として関わって

畑俊彦

私は、2009年10月28日から11月18日までの23日間、JICAコスタリカプロジェクトの短期専門家として、自立生活運動促進のためコスタリカへ行ってきた。

私の役割は自分の生活を撮影したビデオを上映し(約30分)、24時間介助を必要とする重度障害者の自立生活がどんなものなのかを紹介し、またビデオだけでは伝わらない自立生活に至るまでの経緯、家族との関係、介助者との関係作り、そして自己決定による自立という理念の説明をセミナーやワークショップで行った。

北はサンタクルスから南はゴルフィートまで、バスで移動しながら各地でセミナーを開くというまるでプロレス団体のごとく「コスタリカ地方興行」を実行した。また、この「コスタリカ地方興行」には、コスタリカで活動している障害当事者も一緒に参加したので、かなりにぎやかな興行になった。

すべてのセミナーやワークショップで私の存在と自立生活のビデオは、参加者に衝撃を与えた。これまで見たこともないような重度障害者が自立生活をしていること、遠い日本からコスタリカまで来たこと、講演していること、楽しく生活していること、このすべてが衝撃だったようだ。講演終了後、私の所へ人が集まり、質問をし、まるでスターレスラーにでも出会ったかのように、一緒に写真をとっていく様子は、自立ブームを起こすには、十分なインパクトだったと思う。そして、私の現地活動はコスタリカ全国版のTVニュースで取り上げられた。

また、08年度から日本に研修生として来ていた4人は、すでにコスタリカで自立生活センター設立に向けて、仲間作り、組織化、法人格取得に向けての準備、土地や事務所の確保等の活動や役所との交渉をしており、予想以上の成長ぶりに驚きを感じた。彼らにはコスタリカでのリーダーシップをとっていってもらい、どんなに障害が重くてもイキイキと暮らしていけるような社会を作っていってもらいたいと思っている。

最後に、私は日本国内は言うまでもなく、まだまだ障害があると自分の人生を自分では決めてはいけない国や地域の社会に対して、自立生活の「素晴らしさ」を伝えていきたいと思っている。アメリカから自立生活という概念を教え受けて、日本独自でアレンジをした自立生活を、そして私たちが今日まで実践している自立生活を、望んでいる人たちに伝えていくことが使命だと思っている。

(はたとしひこ メインストリーム協会スタッフ)