音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2010年8月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●小さな力で座席シートも簡単移動!、他●

提案者:藤田博文 イラスト:はんだみちこ

藤田博文(ふじたひろふみ)さん

大学生の時、スノーボードの事故で頸椎損傷となり、今年で12年目になります。現在は自立生活センター・日野に勤務し、ピア・カウンセリング、自立生活プログラムのリーダーを担当。障害者が地域で生活するために相談業務や移行支援などに携わっています。


小さな力で座席シートも簡単移動!

車の座席が前に動かせない…。そんな経験はありませんか?「乗りたい車に電動シートが付いてないんだけど何とかならないかなぁ」とOTの方に相談して付けてもらったのが、しっかりとした厚手の幅3cmくらいの紐です。紐の両側にシートレバーが通るくらいの輪と手が通せるくらいの輪をそれぞれの端を折り返した状態で縫い付け、一方をレバーに取り付けます。ステアリングの下から紐を通し、手を入れて引っ張ります。するとレバーが引っ張られ、シートが動く状態となり、そのまま前に移動できるという訳です。この紐は、1台目から2台目に乗り換える時もそのまま移行して使っています。電動シートが標準で備わっている車種であれば問題ないのですが、そうでない車種でも選んで乗ることができます。材料費もお金を掛けずできますし、シートの前後移動をどうするかと悩んでいる人にはお勧めです。


アイトレックで自分だけの映画館

入院当時、大活躍したのが眼鏡型ディスプレイ「EyeTrek(アイトレック)」です。首を固定するための装具を付けていた私は、常に天井しか見えない生活を送っていました。見える範囲も限られていて身体も動かせないし、テレビを見るのでさえ目だけを動かして、いわゆる横目で見る感じです。非常に疲れるので長時間は無理でした。

しかし、ある雑誌でこのアイトレックを紹介していたことを思い出し、早速購入。ビデオなどに接続することでテレビ番組、映画など自分の正面で見ることができます。2m先の大画面に映し出されるので、一人映画館といったところでしょうか。

最近では新型も発売され、より大きな画面で画質も良くなり、映画だけでなく、パソコンなどに接続すればデータ書籍などにも活用できると思います。自分らしい使い方を考えてみるのもきっとおもしろいです。

オリンパス製:眼鏡型ディスプレイ「EyeTrek(アイトレック)」


箸蔵くん、ずっと愛用しています!

障害を負って約10年、私は「箸蔵くん」を愛用しています。出会ったきっかけは頸椎損傷の友人が使っていて、見せてもらったのが最初です。当時は、フォークやスプーンに自助具を付けてみたり、指の間に挟むなど工夫しながら食べていましたが、和食などを食べる時は、何となくおいしさが半減しているような気がしていました。

しかし、この箸蔵くんを使うようになって箸を使える喜びや食事に便利なだけでなく、おいしさも取り戻すことができました。今では自宅、職場、携帯用といつでも食事時に使えるように何本も準備してあります。

実際の使い方は、箸蔵くんを持って手首を背屈することで腱が引っ張られ、箸が閉じるという感じです。私は指も動かず握力もありませんが、手の拘縮具合がちょうど良く、フォークでは食べにくいお寿司も箸蔵くんでバッチリです。ぜひ試してみてください。

ウインド~風~製:「箸蔵くん」