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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年4月号

時代を読む18

1957年、国産盲導犬第1号、チャンピイの誕生

盲導犬とは、盲人誘導犬を省略した言葉です。その言葉から想像される意味合いは「犬が目の見えない人の道案内をすること」となります。

では「犬が訓練される」ということの意味はどうでしょう。それは「犬が人から制御されることを覚える」ことです。

「犬が人を案内をする」ことと、「人が犬を制御する」こと。真逆の意味です。

たとえば犬に「Aさんの家に行け」と頼んでも、犬はどなたがAさんなのか解(わか)りませんし、かといって、Aさんの住所を覚えて連れて行ってくれることもありません。主人が指示を出し、犬がそれに従うことで、安全で確かな歩行が実現します。アイメイトと共に歩く時の主体は専ら人間なのです。

「盲導犬」ではなく「ハーネスを装着した際、障害物を回避し、段差のある場所では停止して主人に知らせ、道の分岐点に来たら停止して、主人から指示された方向に進むことを教えられた犬」というのが正確な表現です。

犬の訓練終了後、主人となる人が犬と意思の疎通を図りながら、犬の目を利用して歩く。人と犬とがペアになって初めて、盲導犬と言える段階にたどり着くのです。

当会創設者は、チャンピイとその使用者のペアを誕生させるために、1.犬に何を教えれば視覚障害者の役に立つか。2.犬の訓練終了後、その犬に適切な指示を出しながら歩けるようになるためには、視覚障害者に何を教えるべきか、の2点を独自に研究し続けました。実践のものとして会得するまでには8年の歳月を要しています。

だれからも教わることなく、自身で目隠し生活を続けて生み出した方法ゆえに、世界一の質を誇る訓練技術と視覚障害者への歩行指導を実施することができています。

今も昔も「可愛(かわい)くて賢いワンちゃん=盲導犬」というイメージが先行しています。しかし、あくまでも主役は視覚障害者であることを広くお伝えするため、私の愛する目の仲間という意味を込めた『アイメイト』という言葉を広めたいと願っています。

(塩屋隆男 財団法人アイメイト協会理事長)