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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年8月号

工夫いろいろエンジョイライフ 

実用編●DSでお買い物メモ!、他●

提案者:川上裕美・藤井美千代・殿岡栄子 イラスト:はんだみちこ

今回は、3人の女性障害者の方々の工夫を紹介します。みなさん、障害に合わせてさまざまな工夫をされています。


DSでお買い物メモ!

川上裕美(かわかみひろみ)さん
障害は脳性マヒです。平成2年に富士通(株)に就職しましたが、二次障害で歩行困難になり退職、結婚を機にヘルパーを入れての生活を10年、外出は車いすです。夫も同じ障害。東京都町田市在住。

私は普段の買い物に行く時、あからじめ何日分かの献立を決め、ヘルパーさんに冷蔵庫や食品、日用雑貨を調べてもらい、在庫の有無を確かめ、紙にメモしてもらっていました。でも、それでは書き漏れや忘れる場合もあります。そこで何とか自分でチェックできないだろうかと思っていました

ゲーム機のDSを購入したのが2005年です。タッチペンで何とかゲームに慣れた頃、ソフト「健康応援レシピ1000 DS献立全集」を購入しました。このソフトは献立が検索でき、レシピ本代わりに重宝していますが、そのソフトで最も活用しているのは「買い物メモ機能」です。

買い物したいものをタッチペンであいうえお順に選び決定するとメモができます。日用雑貨や洗剤などは自由メモすればいいのです。DS機は、持ち運びができるし、だれが読んでもわかるので、ヘルパーさんが変わっても対応できます。


お手製のマジックハンドでドアのロック解除

藤井美千代(ふじいみちよ)さん
就学前にポリオにかかり両下肢マヒになりました。車いす使用。現在、町田ヒューマンネットワークで事務の仕事をしています。通勤には車を使用。通勤時間が長いので、運転中は景色や人の流れを見たり、考え事をしながら一人の時間を楽しんでいます。

来客のたびにドアロックを外すために室内用の車いすから外用の車いすに乗り換えるのに時間がかかるため、自宅に一人でいる時はインターホンの音が憂鬱でした。車いすを乗り換えずに、すぐにドアロックを外せないかと考えていました。

たまたま家族の一人が、使っていない棒にビニールテープで洗濯ばさみを巻いて固定し、鍵のつまみを挟んで回してみたら、ロックを外すことができました。洗濯ばさみは挟む大きさを調整することができます。以後、このマジックハンドを愛用しています。

来客時にモニターで確認し、「ガチャと音がしたらドアを開けてください」と伝えてから、室内用の車いすのまま、玄関ドアのロックを外しています。鍵をかけることもでき、とても便利です。

このお手製のマジックハンドは、今までにビニールテープを2度取り替えましたが、18年間同じものを使っています。ホームセンターで新しい材料を買うこともできますが、私のために考案してくれたものなので大切に使っています。


おむつ交換する時の工夫

殿岡栄子(とのおかえいこ)さん
私は全盲の視覚障碍者で、8歳と2歳の男の子の母です。今回は、赤ちゃんのおむつ交換をする時に工夫していたことをご紹介します。

赤ちゃんは1日に何度もウンチをします。おむつを外す前に、そばにお尻を洗うための湯を汲み置きした洗面器と体拭き用のタオルを用意しておきます。この頃のベビー服はほとんどつなぎになっているので、濡れないように裾をたくしあげて、洗濯ばさみで留めておきます。それからだっこしてお尻をきれいに洗い、拭いてから新しいおむつを付けます。首がすわってからは、お風呂場や洗面所で直接蛇口から湯を出して洗ってあげます。

市販のお尻ふきもありますが、手で直接洗った方が確実にきれいになりますし、赤ちゃんの肌にもやさしいです。また、便の様子で赤ちゃんの体調を知ることもできます。

少量のおしっこだけでお尻を洗う必要のない時は、あらかじめきれいなおむつをお尻の下に敷いておき、汚れたおむつを引き抜いたら、素早く新しいおむつをかぶせてつけます。男の子はおむつを外した途端におしっこをすることも多く、服が汚れてしまうのです。できるだけおむつが外れている時間を短くするために、このようにしています。