音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号

就職情報誌・就職情報サイトによる支援

泉雅子

当社の概要

当社、株式会社イフおよびイフのシンクタンクとして、障がい者就職支援事業の企画、各種調査・研究・提言活動を担うイフ総合研究所は、人材ビジネスの分野において1988年の創業以来23年にわたり、蓄積されたリソースを活かしたサービスを提案。大手から中堅等、幅広い企業における障がい者の採用を支援しております。

1992年には民間企業として初めて、障がい者のための就職情報誌「サ~ナ」を創刊。以来、障がい者の就業機会の拡大をめざして、さまざまな支援活動を展開してきました。

1994年には、東京で「就職フォーラム」(2005年7月より「サ~ナ就職フェスタ」としてリニューアル)を開催、1998年には就職情報サイト「Web Sana(ウェブ・サーナ)」を開設、2008年に就職活動応援マガジン「Sana NEWS」を創刊しました。

今年で設立24年目となりますが、高い雇用実績を誇る就職情報サイト「Web Sana」や、全国主要4都市で開催し、計150回を数える「サ~ナ就職フェスタ」など、業界のリーディングカンパニーとして障がい者の就職支援を行っています。

また、新卒障がい学生に特化した支援についても積極的に行っており、2010年には「障がい学生のための採用企業年鑑」を発刊、次年度卒業予定の障がい学生向け、キャリアガイダンスとして「サ~ナ就活塾」(今年から「サ~ナキャリアアップセミナー」としてリニューアル)も開催するなど、幅広く展開しています(図1参照)。

図1 株式会社イフ・イフ総合研究所の概要
図1 株式会社イフ・イフ総合研究所の概要拡大図・テキスト

障がい者の雇用状況

わが国における障がい者雇用の現状をみてみると、2010年6月1日現在における民間企業の実雇用率は対前年比0.05%上昇の1.68%で、5年連続で過去最高を更新しています(表1参照)。企業規模別にみると、特に1000人以上規模の企業における障がい者雇用が拡大しており、その実雇用率は1.9%と、法定雇用率1.8%を上回る状況です。これは近年、企業における社会的責任(CSR)の浸透やコンプライアンス(法令遵守)の徹底に伴い、障がい者雇用に対する企業側の意識が変化してきたことが要因と考えられます。

表1 民間企業における障がい者雇用状況
(2010年度厚生労働省発表資料より)

表1 民間企業における障がい者雇用状況拡大図・テキスト

このように障がい者雇用が進展している一方で、依然として法定雇用率を達成している民間企業の割合は47%と、過去7年間で微増はしているものの、いまだ半分に満たない状況です(表1参照)。

また、今年の就職状況はリーマンショックの影響がいまだ消えず、さらに今年3月の震災による影響で2011年度の新卒採用を一時ストップする企業もあるなど、明るいとはいえない状況です。

法改正に伴う各業界・業態による除外率の見直しなど

しかし、2009年より段階的に施行されている「改正障害者雇用促進法」を受け、昨年7月からは各業界・業態による除外率の見直し、時短労働者の従業員母集団の算入による雇用給付金条件の見直しなどがありました。

除外率とは、一律に法定雇用率を適用することになじまない性質の職務について、事業主負担を調整する観点から、特定の業種について雇用義務の軽減を図る制度ですが、具体的には今回、各除外率設定業種について10%ずつ除外率が引き下げられました。また、週所定労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働者が0.5人分として実雇用率にカウントされることになり、納付金制度対象事業主も拡大されました。

このような法改正を受け、今後、さらに積極的に採用を行う企業が増えることが予想されます。ただし、就職環境そのものは経済状況を反映し、採用意欲が強くても採用の合格・難易度は高くなる傾向があることも否めません。

「2011年卒版 障がい学生の就職活動白書」より

イフ総合研究所が独自に行ったアンケート結果を集計した「2011年卒版 障がい学生の就職活動白書」(企画/イフ総合研究所、以下「白書」)で企業側の雇用上の配慮について調査した結果です。

障がい者雇用に関して実に94.9%の企業が対応可能な配慮が「ある」と答えています。配慮の内容も「仕事内容」「健康管理室の設置」など、雇用拡大への取り組みを実施していることがわかります(表2参照)。

表2 雇用上の配慮について
表2 雇用上の配慮について拡大図・テキスト
2011年卒版 障がい学生の就職活動白書(企画/イフ総合研究所)より

また、企業が選考の際に最も重視した点の調査では、「コミュニケーション能力」が67.3%。続いて「障がい内容」「仕事に対する熱意」となっています。内定の決め手となったのも、やはり1位は「コミュニケーション能力」でした(表3参照)。

表3 企業が選考で重視する点
表3 企業が選考で重視する点拡大図・テキスト
2011年卒版 障がい学生の就職活動白書(企画/イフ総合研究所)より

企業が重要視する「コミュニケーション能力」の定義、考え方はさまざまですが、就職活動ではただ会話ができるというだけでなく、相手の立場を考えた応答ができるかどうかも重要です。また、人とのコミュニケーションの場面を自発的に設定できるかどうかも大切になってきます。複数面接やグループ面接などは受動的に発生したコミュニケーションの場面だけでなく、自分から人と人とのつながりの場面を意識的に作り出すことができるかどうかも採用担当者は判断しています。日頃から情報収集をしっかりし、コミュニケーション能力を磨いておくことが重要だと考えます。

同時に、60.3%の企業が「学生の準備不足」も感じているようです。中でも最も多く挙がったのが、75.3%の企業が感じた学生の「企業研究不足」でした(表4参照)。

表4 就職活動の準備について
表4 就職活動の準備について拡大図・テキスト
2011年卒版 障がい学生の就職活動白書(企画/イフ総合研究所)より

一方、学生に対して行った調査結果でも、「企業研究が不十分だった」と6割を超える学生が回答していました。この結果からも、企業研究が大きなテーマとなっていることがわかります。

企業研究が不足していると、選考の際に自分の考えをうまく企業に伝えることができず、企業が最も重視する「コミュニケーション能力」が不足していると捉えられてしまうケースもあります。

学生の情報収集の徹底、さらには採用する企業側も、十分な情報を提供することが不可欠だと考えます。

このような状況の中、イフおよびイフ総合研究所では、さまざまなメディアを企画し、障がい学生に最新の企業採用情報を提供しています(図2参照)。

図2 さまざまなメディアで就職を応援しています
図2 さまざまなメディアで就職を応援しています拡大図・テキスト

12月、3月の年2回発行している「サーナ」では、毎号多数の企業に参画いただき、豊富な『採用情報』とともに、比較検討しやすい誌面構成で、障がい者の利用も年々増加しております。

また、配本を希望する方のほか、全国約9000か所以上の教育機関、職業安定所などでご活用いただいております。

同じく障がいのある方の就職・転職を応援する就活マガジン「Sana NEWS」も年2回発行。実際に現場で働く『先輩社員のコメント』を多数掲載し、『仕事内容』や『職場環境』などをわかりやすく掲載しています。

就職情報サイト「Web Sana」は、これまでに延べ約1000社の企業情報を掲載し、毎週更新して情報提供すると同時に、利用者それぞれの基準から企業を探すことができるように工夫されています。

『過去の雇用実績』や、『バリアフリー』『障がい者用トイレの有無』など『職場環境』に関する情報、取材に基づく『先輩社員の活躍ぶりをインタビューし紹介する』など、「Web Sana」ならではの内容に好評をいただいております。12月からはリニューアルをして、さらに便利な機能を追加します。

他にも、「サーナ就職フェスタ」は、求職者と企業の採用担当者が『直接面談』し、『情報交換』ができる場です。東京では12月に第80回を開催。また大阪では12月に第44回、名古屋が今年で20回、福岡でもまもなく10回目の開催となり、全国の主要エリアで展開しております。

当社(イフグループ)では、企業の「良い人材を採用したい」と、障がい者の「自分に合った企業で働きたい」という双方の思いを実現できるように、さらに独創性あふれるサービスや商品を提供していきたいと考えております。

(いずみまさこ 株式会社イフ常務取締役)


■障がい者のための就職・転職情報サイト「Web Sana(ウェブ・サーナ)」
http://www.web-sana.com

■就職情報誌「サ~ナ」・合同企業面談会「サ~ナ就職フェスタ」
お問い合わせ:「サーナ」事務局
TEL 0120―372―150