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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●アイデア満載 車いす用テーブル、他●

提案者:吉村耕二・木本淳也・淺井貴代子 イラスト:はんだみちこ

今回は、AJU自立の家で活動する3人の方々の工夫を紹介します。


アイデア満載 車いす用テーブル

吉村耕二(よしむらこうじ)さん
AJU自立の家サマリアハウスデイセンターに通所して20年。脳性マヒの障害で電動車いすを使用。言語障害があるためトーキングエイドを使用。

ILセンターが原点であるサマリアハウスに通所したのが20年前。職員に「トーキングエイド」をすすめられ、使い始めました。当時は手動車いすを使用、膝の上にトーキングエイドを置いていましたが、数年後、電動車いすに変更した時に、市販の車いす用テーブルを設置しました。その後、同居の兄から、改善のアイデアと製作の申し出があり、現在のテーブルに至っています。

一番の改善点は、乗り降りの際にテーブルの取り外しができるようにしたことです。当初はテーブルと車いすを接続するねじの操作が面倒でしたが、現在のテーブルはねじの操作は不要、車いすとテーブルがちょうつがいの金具で接続され、テーブルが不要な時はサイドに垂れ下がるようにしました。また、トーキングエイドがずれないように枠を作り、他にL字くぎをいくつか付けていろいろな物を引っかけたり、物を置いた時に滑りにくくなったりと、重宝しています。


ハンガーを利用した本立て

木本淳也(きもとじゅんや)さん
私の障害は頸髄損傷で、電動車いすを使用しています。障害の程度は、肩周りと腕が多少動かせるくらいです。現在はAJUで活動しながら、地域で介助制度を利用して自立生活をしています。

病院から入所施設を経て、地域での自立生活が落ち着き始めた頃、あきらめていた読書への興味が再燃、自分なりの読書方法を模索していました。しかし、膝の上か机の上に置かないと読むことができません。目線が下向きになるので長時間読んでいると、首や目が痛くなります。

そこで、作業療法士の方に相談して、針金ハンガーと滑り止めを工夫して本立てを作ってもらいました。この本立てのおかげで、目線の角度も斜め45度くらいで読むことができるようになりました。ほぼ正面を向いたままで読めるので、目や首に対する負担も少なくなり、長時間の読書ができるようになりました。

しかし、ページをめくることができても、両手を使うと、体幹が不安定になるので身体が倒れてしまいます。そのうえ、めくったページが戻ってしまうため、本を押さえる必要がありました。イラストのようにハンガーをくの字に曲げて本を挟み、後ろは下に折り曲げて立てかけるようにしました。

ハンガーを工夫することで、少ない負担で本が読めるようになり、自分のペースで読書を楽しんでいます。


車いすの背にかけるバッグ

淺井貴代子(あさいきよこ)さん
障害は、脊髄損傷です。障害者の自立支援施設で働いています。「誰もが住める福祉のまちづくり」と当たり前の暮らしづくりを目指しています。

車いすを使っている人は、外出時の荷物をどうしているのでしょうか?

私は財布や携帯電話、化粧道具、手帳や筆記具、はたまた、天気の急変にも困らないように、着替えや雨具など、かさばる物も持って外出します。

車いすの背もたれにリュックをかけている人をよく見かけますが、背もたれの中程に重みがかかり、また、リュックが揺れて、慣性の法則に従って動き、車いすでの動きも重くなります。

私は、市販のビジネスバッグを利用しています。バッグの大きさは、車いすの背もたれの幅に合うものを購入します。そして、ビジネスバッグのショルダーベルトを半分に切り、車いすの左右のグリップに掛けられるように、ベルトを留め具で輪にします。

そうすれば、背もたれが変形することなく、荷物の重みも平均にかかるので、車いすも動きやすくなります。