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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年3月号

行政の障害者支援

宮城県における障害者支援の現状と今後の展望

宮城県保健福祉部障害福祉課

東日本大震災発生から1年が経過しようとしているが、これまでの主な取り組みや課題、今後の展望などについて記述したい。

安否確認とサービス調整

今回の被災地域は広範囲で、震災直後から通信網やライフラインの断絶、極度の燃料不足などから障害者等の安否確認活動は困難を極めた。3月中下旬から県内外の各支援団体等の支援も得て、避難所や事業所を中心に物資提供や安否確認活動が開始された。また5月に入ると、沿岸部の相談支援事業所において全国の相談支援専門員の受け入れを開始し、安否確認やニーズ把握が進展していった。当課では、支援団体との連携を促す依頼文を市町村に通知したものの、在宅障害者の安否確認までは困難な状況であった。要援護者リストの活用や、災害時における個人情報の取り扱いは今後の課題である。

現在、県内には約2万2千戸のプレハブ仮設住宅と、約2万5千戸の民間賃貸仮設住宅がある。本県では、国の交付金による基金事業も活用して約50か所のサポートセンターを設置・運営するとともに、昨年9月に「宮城県サポートセンター支援事務所」を開設し、仮設住宅等の支援に当たる生活支援員の研修会などを開始している。プレハブ仮設住宅は、災害救助法を活用して県および被災市町が連携して建設したものであり、その所在が明らかであるため、要支援者への支援に結びつけやすい体制が整いつつある。

しかしながら、民間賃貸仮設住宅の場合は、入居者は住民票を異動させることなく転居・再転居するケースも多く、その実態把握が困難であったが、現在、これらの世帯を対象に健康調査を実施している。今後は障害者世帯の所在確認を進めながら、被災市町とも連携して、相談支援事業所の巡回訪問等によりサービス提供につなげる協力体制を検討している。

施設復旧

本県では、津波等により全壊した入所施設が皆無であったのは幸いであったが、通所系施設やグループホーム等では全壊した施設があった。県全体で135施設が大きな被害を受けたが、その約9割がすでに修復済か代替施設で事業を再開している。また、被災施設の本復旧の見通しは、約6割が今年度内に復旧、そして来年度までの復旧を含めると約9割となるが、現時点で約10施設が復旧未定となっている。これは被災市町の土地利用計画が未定で建設地を決定できないことなどによるものであり、今後、被災市町の復興計画の動向も見極めつつ、迅速かつ適切に補助制度活用などに結びつけていく。

また、賃貸物件など国庫補助対象外であったり、補助事業手続きと復旧計画のタイミングが合わない案件については、事業者の意向も踏まえながら、民間団体による資金援助等につないでいくこととしている。

福祉仮設住宅の活用

被災した障害者の受け皿として、災害救助法による福祉仮設住宅の活用も有効であった。本県では障害者用グループホームとして、11棟71人分を確保し、被災したグループホーム等からの転居者や震災で身寄りを失った障害者などが利用している(他に高齢者グループホームとして介護保険制度以外のものも含め25棟、219人分を設置)。本県でも仮設住宅の建設は急ピッチで進められたが、こうした制度がさらに早い時期から認識されていれば、もう少し計画的に設置できたことから、平時からの制度周知も必要ではないかと考えている。

今後の主な取り組み

今後の障害者支援としては、単なる復旧だけにとどまらず、さらに住みよい地域づくりを進めるため、次の取り組みを行っていくこととしている。

1.震災により心のケアを必要とする被災者支援のため、昨年12月に「みやぎ心のケアセンター」を設置し、被災者の心のケアを長期的に実施。

2.被災した聴覚障害者の生活再建を支援するため、今年1月に「みやぎ被災聴覚障害者情報支援センター」を設置し、生活関連情報の提供や相談支援などを実施。

3.被災した就労系事業所の再建支援のため、相談対応や請負作業の確保などの支援。

4.発達障害者支援団体と連携し県内の療育関係者等の資質向上の取り組み。

5.社会資源が特に少ない被災地でのサービス事業所の立ち上げ支援など。

最後に

今回の東日本大震災はこれまでの想定を超える規模のものであり、役場自体が流出してしまった町も2町あった。震災発生直後から、特に市町村の保健福祉部門は、避難所の運営や要援護者の安否確認、県内外の応援スタッフの調整、義援金の配分、仮設住宅の入居手続きなど、直接的な被災者支援を長期にわたり途切れなく行っており、被害の大きかった市町ほど職員確保が大きな課題となっている。

今後は、市町村および県ともに十分な対応ができなかった反省も踏まえながら、災害時における庁内他部門との業務分担、県および市町村や事業所との役割分担、民間支援団体との連携体制のあり方などについて検討していくことも必要である。

最後に、今回の震災復興にあたり、各都道府県をはじめ県内外の数多くの各種支援団体から多大なご支援をいただいており、改めて感謝を申し上げたい。