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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年6月号

情報アクセス・バリアフリーに関する施策の推進

総務省情報流通行政局情報通信利用促進課

総務省では、年齢・身体的な条件等によるICTの利用機会および利用能力の格差(デジタル・ディバイド)を是正し、高齢者や障害者等を含めた誰もがICTの恩恵を享受できるようにするため、情報バリアフリー環境の整備に向けて、以下の取組等を推進している。

1 助成制度

(1)高齢者・障害者向け通信・放送サービス充実研究開発助成

平成9年度から、高齢者・障害者のための通信・放送サービスに向けた研究開発を行う者に対し、研究開発に必要な経費の一部を助成しており、平成19年度からの5年間では、延べ35件(総額約3億2,168万円)に助成を行っている。

本助成は、社会的な需要はあるものの、十分な市場が見込めるものではないとの理由から、基礎的な技術としてはすでに完成しているにもかかわらず、実用化にまで至っていない技術・サービス等の開発を支援することを目的としており、視覚障害者向けの超大型キーボードや、動画閲覧用音声ガイド・字幕作成システム、ワンセグテレビ音声の聴けるラジオ受信機等の開発事業に対して助成を行ってきた。

(2)身体障害者向け通信・放送役務の提供等の推進

平成13年度から、身体障害者のための通信・放送サービスの提供または開発を行う者に対して必要な経費の一部を助成しており、平成19年度からの5年間では、延べ42件(総額約3億406万円)の助成を行っている。

本助成は、民間企業が事業のリスクの高さ等を理由に取り組みを躊躇している状況にある身体障害者向け通信・放送役務事業に対して、国がインセンティブを付与し、係る役務の提供・開発を促進することを目的としており、インターネットを利用したDVD等の視聴覚障害者用字幕、手話、音声ガイドの提供や、点字図書・録音図書ネットワーク配信サービスなどの提供・開発事業に対して助成を行ってきた。

(3)字幕番組・解説番組等の制作促進

字幕番組・解説番組等の制作促進のため、当該番組を制作する者に対して必要な経費の一部を助成しており、平成23年度においては、民間放送事業者94社から申請があった36,979本の番組に対して(約3億8,782万円の)助成を行っている。

本助成は、平成5年度から字幕番組・解説番組を対象として実施しており、平成11年度からは手話番組、平成22年度からは手話翻訳映像を助成対象に加えている。

近年、解説放送や手話放送については、字幕放送に比べて普及が進んでいないことを踏まえ、平成23年度から、特に重点的な助成を行っている。

2 ガイドライン等

(1)地方公共団体等におけるウェブアクセシビリティの確保

平成22年度8月に、「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(JIS X8341-3)が改訂されたことを受け、平成17年12月に策定した「みんなの公共サイト運用モデル」を、平成23年3月に改訂し公表した。

このモデルは、国および地方公共団体等の公的機関のホームページ等(公式ホームページ、団体が提供する関連サイト、ウェブシステム等)が、高齢者や障害者を含む誰もが利用しやすいものとなるよう、実施すべき取り組み項目と手順等を、策定・改訂しているものである。

また、ウェブアクセシビリティの取組状況を評価・確認することができる「アクセシビリティ評価ツール(miChecker(エムアイチェッカー))」を開発しており、現在、総務省のホームページにて公開し、入手が可能となっている。

(2)視聴覚障害者向け放送の普及促進

総務省においては、平成19年10月、平成20年度から平成29年度までの字幕放送・解説放送の普及目標を定めた「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を策定し、字幕放送等の視聴覚障害者向け放送の普及促進に向けた取組を推進してきたところである。本指針の目標数値については、NHK(総合)・在京キー5局等広域局において、平成29年度までに、字幕放送について、7時から24時までの生放送番組も含めた字幕付与可能な放送番組のすべてに字幕付与すること、解説放送について、7時から24時までの権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組を除く放送番組の10%に解説付与することを定めている。

その後、アナログテレビジョン放送の終了や情報通信技術の進展、改正障害者基本法の制定等、視聴覚障害者向け放送をめぐる状況が変化し、また、東日本大震災の発生を踏まえ、平時のみならず非常災害時においても、視聴覚障害者が放送を通じて確実に情報を取得することができる環境を整備するための取組を一層推進することが喫緊の課題となっている。

これらの状況を踏まえて、総務省では、平成24年1月から「デジタル放送時代の視聴覚障害者向け放送の充実に関する研究会」を開催し、視聴覚障害者向け放送の更なる充実方策について検討を行ってきた。今後、当該研究会での検討を踏まえて、平成24年内に「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」の見直しを行う予定である。