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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2012年9月号

私のお気に入りスポット

私が好んで行くところ
~なばなの里・万博公園・京都府立植物園~

三浦真砂子

花を見るのが好きで、夫が退職をしてから、夫の運転でアチコチに出かけている。

出かける先は、新聞に写真付きで紹介される、ヒマワリ・コスモス・菜の花などの休耕田を利用した、町おこし・村おこしの花畑。梅・芝桜・藤・牡丹・バラ・紫陽花・蓮・紅葉などで有名な場所も、満開と紹介されるとイソイソと出かけていく。

ただ、リウマチ歴40年の私は右の膝関節が悪く、長く歩き続けることや立ち続けることが苦手で、介護用の車いすを持参し、疲れたらすぐに座るので、必ず会場に電話を掛けて、車いすが使えるかを確認してから出かけている。

どこに行っても花はきれいでワクワクする♡。ことに広い所に群生しているのを見ると、私のテンションは上がりっぱなし。疲れを忘れて花の間を歩き回って写真を取り続け、心配する夫に「ちょっと座ったら?」と促がされることも度々。

住まいのある京都からは少し離れた浜名湖や淡路の花博、和歌山南部(みなべ)の梅林、姫路城の桜、岡山の藤棚なども日帰りで気楽に出かけはするが、休耕田を利用した花畑も含めて、1種類の花だけを咲かせている場所は、いくら見事でも翌年も続けて見に行くことはない。

その点、なばなの里(三重県)・万博公園(大阪)・京都府立植物園は、敷地が広く、場所を変えて四季折々の花を咲かせているので、何度も足を運んで楽しめる。

いずれも共通点として、広い園内のほとんどが舗装されていて車いすが使いやすい。洋式トイレも多く、随所に休憩できるベンチがある。また、1種類の花だけでなく、温室も含めあちこちにいろんな花を咲かせているので、一度で何度も美味しい。

なばなの里は、それぞれ広い場所に、定植の紫陽花園やしだれ梅苑、季節ごとに植え替えてチューリップやコスモスを咲かせる花広場があり、いずれも一面に咲く花は見ごたえ十分♪。また、3棟からなる大温室のベゴニアガーデンは、入り口の扉が開くと初めての人は誰もが歓声を上げると言われている。

訪れる回数を重ねると、最初の「えーっ!? これがベゴニア?」という驚きはないけれど、壁際の棚にずらりと並ぶ大輪の球根ベゴニア、天井に吊り下げた鉢から垂れ下がるフクシア、何度見てもそのボリュームと綺麗さに引き込まれてしまう。

園内中央の大~きい池の周りが周回路となっていて、あちこちにテーマパークのように手入れされた花壇があり、どこを切り取っても花好きの目を楽しませてくれる。

花づくしのなばなの里だが、冬のイルミネーションも大がかりで素晴らしい。この時節は観光バス仕立てのツアー客も多いが、少しタイミングをずらせて回ると、広い園内なので混雑を避けることができ、ゆっくり楽しめる。

車で2時間30分ほどかかるなばなの里に比べ、万博公園や京都府立植物園は1時間くらいで着くので、おのずと訪れる回数は違ってくる。また、万博公園も京都府立植物園も障害者手帳提示で、200円の入園料と800円の駐車料が無料になるので、なおのこと行きやすい。どちらも桜が見事で、多くの人が敷物に座っての昔ながらのお花見を楽しんでいる。

花には見ごろがある。ドンピシャの時期に行くと満足度は最高潮に達するが、天候や用事との兼ね合い、休日の人出を避けたりしていると花のピークが過ぎていてガッカリすることもある。そんな時は、来年こそは、と心密かにリベンジを誓い、楽しみをエンドレスなものにしている。

車いすは、夫が退職して一緒に出かけることが多くなり、夫から「車いすを押す」と言ってくれたので利用するようになった。写真を撮りたい場所などは自分で歩き回り、疲れたり移動する時は座れるので楽。夫も思う所に行ける。

今はバリアフリーという言葉が浸透し、車いすでの外出がしやすくなってきていることはうれしい。ただ、テーマパークや観光地等で車いす優先、の扱いを受けた時、並んでいる人たちの中に杖を持っている人を見ると、長年その不自由さを経験してきた身としては、辛い思いがする。内部疾患で見えないしんどさを感じている人も多いと思う。「車いす」という外観だけで線引きをせず、障害者手帳や年齢証明等の提示で同じような優遇を受けることができれば、さらに多くの人が外出しやすくなるように思う。

(みうらまさこ (公社)日本リウマチ友の会会員)