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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年1月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●冬の買い物の時の工夫、他●

提案者:五十嵐真幸 イラスト:はんだみちこ

五十嵐真幸(いがらしまさゆき)さん

僕は骨形成不全症です。2006年に車いす紅蓮隊を結成し、仲間と「誰にもやさしい街づくり」を行なっています。2011年にカムイ大雪バリアフリーツアーセンターを設立。また、障害者スポーツ指導員中級を取得。2005年に車いす野球チーム「旭川ゴールデンフォックス」を結成し、誰でも楽しめる室内車いす野球の活動もしています。今回は冬をテーマに工夫をご紹介します。


冬の買い物の時の工夫

コンビニが多くなり24時間買い物できるようになり、とても便利です。しかし腕に力がない自分たちにとっては、コンビニの扉を開けることが一苦労です。扉は両開きが主ですが、扉の前に泥落としなどのマットが敷いてありスロープになっているところが多く、以前買物をしてコンビニから出ようとした時、マットに前輪が引っ掛かり買った商品をばらまいてしまった恥ずかしい経験があるので、自動ドアのコンビニに立ち寄ることが多くなりました。扉のあるコンビニでは、他のお客さんや店員さんが気付いて開けてくれるのですが、一人で気軽に立ち寄りたい、というのが希望です。買物の量も、自分が持って移動できる量を購入しています。旭川市は雪が多く、除雪しても路面状況は悪く、滑ります。冬は安全面を考え、自動ドアのコンビニに立ち寄っています。


車に積もった雪を溶かす工夫

僕は20歳の時に車の免許を取得しました。骨形成不全という病気柄、身長が小さく力が弱いため、手動装置で運転することは困難なため、自分の車を購入し、その車で免許を取得しました。身長が小さいためシートの座高を上げていますが、運転は普通に脚でアクセル・ブレーキペダルを踏みます。車いすの積み込みも一人で行うためにスライドドアの車にして、助手席側から乗り込み、車いすを車内に引き上げ、身体だけ運転席に移動して運転をしています。

自分で運転するようになってからは行動範囲が広がり、世界が変わりました。しかし、雪が降ると車に積もった雪を降ろさなければなりません。そこで僕は、車から降りる際に、暖房を最大まで上げてから降り、乗る20分前にエンジンスターターで車内を温め、積もった雪を溶かしています。大雪の時は車いすの前輪が埋まり、車のそばまで行くことが難しくなる時もあります。そんな時は、車いすをバックさせながら車まで向かうこともあります。

雪が降ってしまうと、工夫をしながら移動しないと、身動きが取れなくなってしまうこともあるんですよ。


“動きやすさ”を考えた防寒対策

氷点下41度を記録した旭川市江丹別。旭川の街中も真冬は氷点下20度以下を記録する日もあります。北海道弁で「しばれる」という言葉は、「すごく寒い」「凍るくらい寒い」という意味があり、冬は頻繁に使っている言葉です。室内は暖房設備が整っているので暖かいですが、外は氷点下。この激しい温度差で体力も消耗します。

外出する時には、ダウンや温かいウェアを着て防寒対策をしています。しかし、車いすユーザーは必要以上に厚着をしてしまうと、トイレが大変です。それに、極端な厚着は車いす操作にも支障がでるため、ほどよい厚着で外出をしています。

インナーや厚手の下着で見た目でわからないようオシャレに防寒対策をしています。手袋は毛糸やポリエステル製だと濡れてしまうと手が滑りやすくなって車いす操作ができなくなってしまうので、僕は手袋の上に作業用のゴム手袋など着用し、防寒対策も兼ねています。特に脚は動かさないので凍傷になってしまう恐れもあるので、仲間と行動する場合は、膝掛けのような毛布も持参し、お互い気をつかいながら冬を楽しんでいます。