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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年3月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●触手話略語でコミュニケーション:通じれば問題なし!、他●

提案者:福田暁子 イラスト:はんだみちこ

福田暁子(ふくだあきこ)さん

多発性硬化症による全盲全ろう。呼吸器および電動車いす使用。コミュニケーション方法は触手話がメイン。アメリカでソーシャルワークを学び、国際機関、NGOなどで働いたのち、帰国し、一般企業で働いていました。今は通信の学生をやるかたわら、盲ろう関係の活動や地域で福祉関係の活動をしています。介助者、手話通訳者、盲ろう通訳介助者をフル活用して、気ままに一人暮らしをしています。


触手話略語でコミュニケーション:通じれば問題なし!

私は触手話という方法でコミュニケーションをとっています。着替えから医療的なケアまで、介助者がいなければ生活が成り立ちません。介助者は10人以上が入っていますが、すべての介助者が、初めから触手話ができるわけではありません。そもそも、初めは指文字すら知らない介助者が多いのです。そこで編み出したのが、触手話略語。

たとえば、パジャマと私に伝えたい時に、ぱ…じ…ゃ…ま…とゆっくりの指文字、もしくは手話で「寝る/時/着る/服」と表していたら、お互いにコミュニケーションストレスは増すばかり。そこで、パジャマは「ぱ(指文字)+服(手話)」と表しています。これだと一瞬で伝わります。座り直しは「す(指文字)+座る(手話)」、カーテンは「か(指文字)+開く・閉じる(手話)」。これだと、介助者が何を言っているのか分からないというストレスも軽減されます。


ラベルと透明の袋とキーホルダーを活用して自分で触って服を選ぶ

私はおしゃれが大好きです。ちょっと気分が落ちこんだ日も、好きな服を着て出かけると気分もウキウキするものです。当然、服は自分で選びたいものですよね。かといって、車いすを使っている私は、服を自分で取ることができません。また、盲ろうなので、介助者とやり取りがスムーズにいかないと服選びも果てしない作業になってしまいます。

そこで、すべて種類別に透明の袋に分けて入れて、袋にラベルを貼っています。たとえば、「足首までの靴下」「短いレギンス」「長いレギンス」などです。また、買い物かごサイズの収納箱を利用して、色の違うキーホルダーを下げています。オレンジのキーホルダーの箱は「カットソー」、緑のキーホルダーは「ズボン」、青のキーホルダーは「スカート」といった感じです。

実際に服を選ぶ時には、介助者に「オレンジ/箱」と指示を出して、箱ごと私の膝の上に持ってきてもらい、自分で実際に触って選びます。次は「青/箱」、次に「長いレギンス」の袋、次に「足首までの靴下」の袋を取ってもらい…、と自分で実際に触って毎日の服を選んでいます。自分で服を選ぶと「あっ、こんな服もあった」と忘れないですみますしね。


お茶を飲んでリラックス:便利な瞬間湯沸かし器

盲ろう者が、特に全盲ろう者が使える電化製品・福祉機器はほとんどありません。触読式バイブレーション付き目覚まし時計や、点字表示の付いた体温計や体重計があればいいなぁといつも思います。

電子レンジにしても、音も聞こえませんし、表示も見えません。お湯を沸かしてお茶を飲むにしても、電気ポットやケトルだと、ボタンを押して、お湯が出ているのか出ていないのか分からないし、やけどしてしまいそうで指で確認するのもちょっと…。

そんな時、インターネットで「ユーマッハ」という瞬間湯沸かし器を見つけました。これは出てくるお湯の温度と量をあらかじめ設定し、ボタンを2回押すと注ぎ口から決められた量だけ出てきます。そして、なにより、お湯が出ている間は本体が細かくバイブレーションするのです。ですから、お湯が注ぎ終わった瞬間が分かります。

最近はいろんなお茶を飲んだり、スープを飲んだりと楽しんでいます。