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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年5月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●台座付き爪切り、他●

提案者:福田浩範 イラスト:はんだみちこ

福田浩範(ふくだひろのり)さん

15歳の時に宙返りに失敗、首を骨折し、頚椎損傷による四肢マヒで車いす生活になる。20年間の施設生活を経て8年前に地域での自立生活をスタート。同時に自立支援センターおおいたでスタッフとして働き始める。普段は障害のある方の自立に向けた相談などを行なっている。趣味は1人旅、福祉住環境コーディネーター2級取得、42歳。


台座付き爪切り

もう25年近く使っています。通常なら台座に爪切りをネジなどで完全に固定してしまうのですが、私は左右の腕の筋力に偏りがあるために左手の爪を切る時は台座に固定し、右手の爪を切る時は台座から取りはずして切っています。固定部分は差し込み式で、持ち手部分は取り外せるようになっています。なので、爪切りの後に丸洗いできるのもお気に入りポイントです。

これは私が施設にいた時に、OTの実習生の課題として「何かほしい物はありますか?」と聞かれて、2人であれこれ試行錯誤しながら作ってもらいました。この爪切りのおかげでADLが一つクリアできたので、当時は非常にうれしかったですね。

台座も爪切りも当時のままですが(笑)、自分の思ったとおりの長さまで微調整しながら切れるので、とても重宝しています。


どこでも、いつでも便利なリーチャー

私は長さの違うリーチャー(65センチと45センチ)を2本持っています。先端の形状は、高いところのものを取るだけでなく、物干し竿などに洗濯物を掛けられるような形状になっているので、複雑に金具が曲げられています。

リーチャーというと、手が届かない物を引き寄せたり、拾ったり、取ったりするものだと思いがちですが、実はそれだけではありません。

私の場合、衣服の着脱の時もこのリーチャーが活躍します。特に失禁時にズボンなどを脱ぐ時は必需品なのです。手を汚すことなく脱ぐことができるため、両手が使いやすいし、終わった後に洗浄すればよいので思いきって使えます。

また、長さが2種類あるのは、旅行などに出かける時のためです。長いものだと旅行かばんに入らないので、コンパクトサイズのものを作ってもらったのです。このおかげで、旅行先でも不自由なく行動することができています。


グリップ付きのドアキー

私が住んでいるマンションは、ユニバーサルデザインで設計されていて、障害の有無にかかわらず、だれもが快適に生活ができるようになっています。部屋の鍵も、指が不自由でも施錠しやすいように電子キーになっています。

しかし、この電子キーが電池切れになり、鍵を自分で開け閉めしないといけないような時に思いついたのが、この「グリップ付きのドアキー」です。このドアキーだと、握力がほとんどない方でも鍵の開閉が簡単にできるようになります。こういった工夫がされたものはすでに商品化されているのですが、まだまだ値段が高いのが現状です。そのため、私のドアキーはヘルパーさんとアイデアを出し合って、廃材を加工して製作してもらいました。

このドアキーのおかげで、急な電池切れでも安心して外出することができるようになりました。工夫次第で、車などのキーにも利用できそうです。