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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年6月号

知り隊おしえ隊

どんどん変わる東京の街
~目が離せないバリアフリー化、ここに注目!~

今福義明

どんどん変わる「東京の街」のバリアフリー(以下、BF)化展開は、驚くほど早い。そのBF化のバリエーションも多様化・深度化しているので、利用体験が追いつかない。ぜひ、それらの展開を共に追跡して利用体験してほしい。

老朽化による建て替えのため、平成22年4月30日から一時閉館していた「歌舞伎座」が歌舞伎座と歌舞伎座タワーの複合施設『GINZA KABUKIZA』として、平成25年2月26日竣工した。そして3月1日、東京メトロの日比谷線と都営浅草線(西馬込方面)の東銀座駅と直結の地下通路が開通し、地上への新設エレベーターと同エレベーター近接に多機能トイレが利用開始された。そして、「木挽町広場」(こびきちょうひろば)という飲食店・歌舞伎座関連土産物店等や賑わい休憩施設がオープンした。

歌舞伎座タワー5階には、屋上庭園(無料)、歌舞伎座ギャラリー(有料)・和カフェ・多機能トイレあり、銀座のオアシスだ。

平成24年春にオープンした「渋谷ヒカリエ」は、元渋谷駅東口の東急文化会館跡地に建設された複合商業施設で、東急百貨店や飲食店、ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」などの複合商業施設で、「東京メトロ副都心線と東急東横線の渋谷駅」と「東京メトロ半蔵門線と東急田園都市線の渋谷駅」から、いずれもエレベーターによるBF化アクセスが可能である。

渋谷駅と言えば、平成22年11月22日オープンの渋谷区の新施設「渋谷区文化総合センター大和田」(渋谷区桜丘町)がお勧め。「コスモプラネタリウム渋谷」「こども科学センター・ハチラボ」は、いつでも楽しめる。アクセスは、渋谷駅南口から左側の歩道橋をエレベーターで上がり、国道246号を渡ってエレベーターで下り、手動車いす使用者には、きつめのかなりな急勾配な桜並木の坂道を上り、突き当り右手にある。「渋谷駅ハチ公口」から、ノンステップバスもある。直行バスの大和田シャトル(ハチ公口―文化総合センター大和田)と渋谷区コミュニティバスのハチ公バス(夕やけこやけルート)の2ルートで、いずれもノンステップバス。

平成23年10月10日にリニューアルオープンした「NHKスタジオパーク」(渋谷区神南)も見逃せない。NHK放送センター内の観光施設で、多機能トイレ・エレベーターもきれいになり、館内は楽しい施設ばかり。アクセスは、「渋谷マークシティ前」2番乗り場から「NHKスタジオパーク」行シャトル・バス(全便ノンステップバス)がお勧め。

平成24年4月1日にリニューアルオープンした東京都美術館(上野恩賜公園内)のオープン初日、BF点検を契機に、美術館・博物館へのさらなるアクセスに火が点いた。同館のリニューアルされたレストラン、ミュージアムショップ、美術情報室、アートラウンジのいずれもお勧めである。

ちょうど、平成24年「上野恩賜公園再生整備事業」における「竹の台・文化施設エリア」の再整備工事(噴水・オープンカフェ・園路の再整備と樹木伐採)が進められたことで、みるみる上野恩賜公園がBF化整備されていく様とオーバーラップして、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館といずれもお気に入りのお勧め施設となった。これら3館とも、施設の少しずつのリニューアル跡が感じられ、全面新施設ほどBF化はされてはいないが、それでも十分過ぎる以上に楽しめること請け合いである。

アクセスは、JR上野駅の各線(いずれもエレベーターあり)の公園口からが一番と思えるが、東京メトロの日比谷線・銀座線の上野駅や京成本線の上野駅からもBFアクセス可能(いずれもエレベーターあり)。少し便利なルートとして、JR上野駅公園口から、台東区循環バス「めぐりん」(小型ノンステップバス)で、バス停「2.上野駅・上野公園」から、次停留所のバス停「3.東京国立博物館」まで乗車してスタートするという手もある。ちなみに、同バスで浅草雷門まで行ける。

平成25年3月30日にオープンした東京都目黒区の首都高速道路大橋ジャンクション(JCT)の屋上にできた区立公園「目黒天空庭園」は、久々に圧巻だった。すでに、2度訪れたが、3度となく訪れたい魅力あるところが出現した。

1度目は、東急田園都市線の池尻大橋駅(エレベーターあり)から徒歩約5分というので、このルートでアクセスした。すると、国道246号をまたぐ歩道橋にエレベーターが付いていて、歩道橋を渡り切った右手に招くような門内スロープがあり、途中プチ庭園を見ながらスロープを上がっていくと、開けて見えてきたのが、「目黒天空庭園」だった。同庭園内上りスロープの始めとも言える地点に、多機能トイレ併設のプチ展示施設を兼ねた集会室と管理事務所があった。そこから、電動車いすで、ジグザク状緩曲線のスロープ(平均勾配約6%)を上がっていくと、上っても上ってもジグザク状緩曲線のスロープが続くので、この時点で、すごい!と思えた。

結局、スロープの高低差は地上11メートルから35メートル、延長距離は約400メートルというスロープを上がったところに直結している9階には目黒区立大橋図書館があり、多機能トイレ・エレベーターもあった。スロープ途中には、「オーパス夢ひろば」という目黒天空庭園の内側の1階にある広場と、屋外から出入りできる通路階とを結ぶ大型直進貫通型エレベーター(30人乗り)があり、同広場には目黒区立新設公衆トイレ(多機能トイレ併設)があった。

2度目の「目黒天空庭園」の時は、渋谷駅西口から東急ノンステップバスで、バス停大橋で降車して、クロスエアタワーの公共施設兼用アクセス・エレベーターで「目黒天空庭園」最上部直結の9階へ上がり、そこから、ゆっくりと約400メートルのジグザク状緩曲線スロープからの眺めや約30種類の樹木や花が植えられているのを楽しみながら降りた。途中、車いすスペース付のベンチが何か所もあった。高齢者の手動車いすを押されての散策・休憩されているのを見た。

平成25年3月には、東京都公園協会が運営する水上バス「東京水辺ライン」の既存3隻の「こすもす・あじさい・さくら」(※1)の順に、電動車いす対応リフトが装備完了となり、電動車いす使用者の乗船機会が増えた。

今年3月にリフトが付いた「さくら」の【浅草・お台場クルーズ】に、4月、「お台場海浜公園」から「浅草(二天門)」まで45分乗船した。「浅草(二天門)」発着場は、平成23年新設で、「お台場海浜公園」よりも、浮桟橋のスロープのちょっと気になるプチ段差が小さくなり勾配角度も緩くて、スムーズに下船できた。また、窓のない、一部天井もない後部デッキにいても、他船のいつものエンジン排気ガスの臭さがまったく臭わず、音も静かで、とても快適だった。航路途中、東京都観光汽船のBF化客船「ヒミコ」の後継船「ホタルナ」(※2)が追いかけてくる水しぶきの様子や船首の姿に魅入った。

以上、私自身かなりまだまだ楽しみ利用体験が未消化な段階ながら、目が離せない、リピーターになってほしいと思うお勧めスポットを紹介した。

私自身、途中経路およびそのスポット周辺のBF化アクセスも含めて楽しみたい性分なので、スポット本体の楽しみが後回しになることもしばしばある。読者には、これらのお勧めスポットに、ぜひご自身で行って楽しんでもらいたい。

(いまふくよしあき DPI日本会議バリアフリー部会)


(※1)

・「こすもす」〔平成23年2月リフト付化、76トン、座席130人定員200人、平成5年3月就航○◎〕

・「あじさい」〔平成24年3月リフト付化、54トン、座席54人定員140人、平成3年7月就航○〕

・「さくら」〔平成25年3月リフト付化、54トン、座席54人定員140人、平成3年7月就航○〕

(※2)

・「ホタルナ」〔167トン、定員261人、平成24年就航○◎、浅草~お台場直通ライン専用。松本零士デザイン〕

(注)○=(手動)車いす対応トイレ
◎=車いすスペース座席