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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2013年10月号

第3次障害者基本計画に関する日盲連の意見

日本盲人会連合

社会福祉法人日本盲人会連合は、障害者基本法が目指す共生社会の実現に向けて運動を進めてきた。今回の第3次障害者基本計画に対する見解をここに記し、今後の実践的な活動の指針の一つにしたい。

2 基本的な考え方

3.各分野に共通する横断的視点

(4)アクセシビリティの向上

7頁、本項の最後に「アクセシビリティの向上を図る必要がある」とあるが、他の支援については「図る」「進める」である。本項についても他と同様「図る」「進める」等の記述の統一を希望する。

特に、マイナンバー法案において、情報提供方法として「マイポータル」サイトが計画されている。このアクセシビリティが十分に確保されるように基本計画に盛り込まれるべきであり、併せて視覚障害者がカードを持ち歩くことへの配慮記述も検討されたい。

3 分野別施策の基本的方向

1.生活支援

(2)在宅サービス等の充実―5

外出時の移動支援等外出保障において、障害者のニーズと実情を踏まえ、通勤時の介助も含めて追記されるよう希望する。

3.教育、文化芸術活動・スポーツ等

(3)高等教育における支援の推進―1

「大学等が提供する様々な機会において障害のある学生が…参加できるよう授業等における情報保障…」とあり、前段ではさまざまな機会においてとあるにもかかわらず、後段では「授業等における情報保障や…」となり狭くなる。一般に視覚障害のある学生は授業のみではなく、保健管理センターの利用、掲示物の確認、就職支援等々が障害となる。これらを含む記述を希望する。

4.雇用・就業、経済的自立の支援

4のいずれかに下記の追記を希望する。

視覚障害は情報障害であり、情報提供が重要となる。就労している障害者に対して職場介助者が認められているように、あはき自営や公務員に対しても、合理的配慮となるよう具体的な記載を希望する。たとえば、私学の教員は職場介助者を利用できるが、公立の教員では利用できないという実態がある。

5.生活環境

(1)住宅の確保―1

盲導犬利用者が賃貸住宅に入居を希望しても入居を断られる実態がある。盲導犬は視覚障害者の体の一部である。公営・民間を問わず、盲導犬利用者が入居できるような記述を希望する。

(1)―4

視覚障害独居者の安全性確保と生活の質の向上を図るとともに、精神的孤立感を軽減するためにも、グループホームの必要性は高い。障害者手帳の所持者であれば、本人の選択において利用できるよう、その入所要件の緩和を明記していただきたい。

(2)公共交通機関のバリアフリー化の推進等―2

障害特性に配慮した案内表示や情報提供の充実を推進…とあるが、携帯電話などによる乗換案内情報や、GPS機能を利用した位置情報の提供も現に行われている。そうした技術開発のより一層の推進を期待するとともに、利便性・安全性を確保するための機器の存在も例示してほしいものである。

(4)障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進―3

色覚障害者に対応する信号機として、赤は四角・青は丸など形状による視認が可能になるよう、先導的な記述を望みたい。

(4)―4

信号灯のLED化、道路標識の高輝度化・大型化等を推進するとあるが、単なるLED化の推進は一部の視覚障害者には見づらい。これらに対して、音響式信号機の設置等の補助手段を併せて推進する等の記述が必要である。

6.情報アクセシビリティ

(3)意思疎通支援の充実―1

障害のため意思疎通を図ることに支障がある…においては、点訳奉仕員に加えて代読、代筆等の要員の養成の必要性が追記されるよう希望する。

(4)行政情報のバリアフリー化―3

点字・音声・拡大文字版の三媒体による選挙公報の提供に努める、と明記し、弱視者への対応にも触れてほしいところである。また、投票所における候補者名の拡大文字版の配備も希望する。


*本文にでてくる(2)―5等の標記は、内閣府の「障害者基本計画(案)に関する意見募集について」の記載番号と同じである。