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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年2月号

現場から

小林さんの支援から

鈴木徳子

小林さんと私たち(CIL立川)の関わりは、介助派遣からの始まりでしたが、CILとして支える側ばかりでなく、障害当事者として、小林さんと共に多くの地域活動や制度改変時の活動を行なってきました。

私は障害者職員として、共に活動してきましたが、2009年より介護保険のケアマネジャーの役割を担いました。ケアマネとして介護保険の管理を行なっていましたが、その他障害サービスの管理や、自ら探索され試してみたい有効なサービスの利用等、小林さん自身がセルフマネジメントをとても積極的に行なっていらっしゃいました。

そんなアクティブな小林さんが在宅での介助の軸の奥様を失われ、一時的にショートステイに入られた際の経験が、その後、強く在宅生活にこだわられるようになられた理由の一つでした。

日中16時間想定の介助を受けての生活に限界を感じ、泊まり介助の増加を何年も求めていましたが一向にらちが明かず、毎日24時間の保障を求めるに至った経過に、支援者たちの大きな役割があったと思います。

たとえば、10回に1回成功する…かもしれない就寝中の痰出しを「できること、努力すること」と評価し、泊まり介助の必要性を否定する者、痰が絡まってしまったら命にかかわるから必要と判断する者、痰により不衛生で不安な状態が毎日続くこと自体に必要と判断する者。そんないろいろな考えの人がいる中で、小林さんが本当にご自身の求めている生活を、自信をもって決めていただけること自体、その環境をつくることが大切だと感じました。

既存の制度、サービス内で想定されていない方の支援を行う際、どうしてもご本人や、支援者の中でさえも、それを必要なことと考えることを躊躇(ちゅうちょ)してしまいがちです。改めて、小林さんの支援を通し、その躊躇を払拭した上で、ご本人らしい生活をつくるための材料を丁寧に積み重ねていくことが、支援者の役割だと実感しました。

(すずきのりこ ケアマネジャー)