音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年2月号

1000字提言

経営者ができる社会貢献を考える

橋谷有造

私は、アメリカンホーム保険会社という医療・傷害保険や自動車保険などを通販で扱う損害保険会社で、約4年前から社長という職責を担っています。

保険会社は、お客様がお怪我や病気、事故など困った場面に遭遇した時に、「保険金」や「サポート」というかたちで、経済的そして精神的に支援することを業務としています。お客様の置かれるさまざまな境遇やお気持ち、思いにどれだけ寄り添って考えられるか、ということがより良い商品やサービス開発の原点となります。

通常の保険業務に加えて、そのような保険会社としての社会的責任と使命を果たそうという考え方に基づいてCSR活動(社会貢献活動)を実施しており、当社では、将来を担う子どもたちや、年代を問わず困難を乗り越え、人生を前向きに生きようとする方々を支援するさまざまな活動を実施しています。

今となっては、先陣を切ってCSR活動を推進している私ですが、実は最初からそうだったわけではありません。私が現職に就任した当初も、当社では地方拠点における特別支援学校への植樹活動や物品の寄付、小児ガンの子どもたちのためのイベント開催などのCSR活動は実施していたものの、そこまで意識が高いわけではありませんでした。

2013年4月に、「Get in touch」という一般社団法人が主催するイベントを支援する機会を得ました。当社のCMに出演くださっている女優の東ちづるさんが理事長を務めているご縁で、同団体が実施する「Warm Blue 2013」(世界自閉症啓発デーイベント)に協賛したのです。「誰もがそれぞれの個性を活かせる、まぜこぜの社会を実現する」という“共生”を目指す理念に、「共にあること、あたりまえのように」という当社がキャッチフレーズとして使っている言葉に込めた思いと通じるものを感じました。

何か大きな出来事があったわけではありません。ただ、このイベントをきっかけに自閉症の方々やそのご家族ととても近い距離で接したことで、「自閉症」という障がいそのものに対する理解をごく自然と深めていくことができたのだと思います。当日ボランティアとして参加した多くの社員も、とても生き生きとした表情をしていました。

その私自身の体験もあり、「保険」という商品やサービス以外にも会社が社会にできることは無限にある、自分はそのトップとして、もっとやらなければならないことがあるのではないか、という経営者としての社会的責任と使命の重要性を改めて実感したのでした。

(次回[6月号]に続く)


【プロフィール】

はしやゆうぞう。アメリカンホーム保険会社社長兼CEO。2010年より現職。「お客様中心主義」の徹底を掲げ、通販型保険会社の肝といえるコールセンター改革の推進や、ガン経験者でも入りやすいガン保険の発売などの取り組みを行う。