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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年3月号

巻頭メッセージ

松岡由季

昨年、第68回国連総会において、第3回国連防災世界会議の開催地を仙台市とし、会議日程を2015年3月14日から18日までとするなどの詳細が決定しました。2015年に向けてさまざまな議論が加速していくなかで、「障害者と防災」は重要なテーマの一つです。

2013年の国連国際防災の日のテーマは「障害と共に生きる人々と災害」でした。国連では、防災の重要性を広く訴えるため、毎年10月13日を国際防災の日と定めています。毎年テーマを決め、多くの国々やパートナー機関が、そのテーマに沿った活動を行います。たとえば、2011年は「子どもと若者」、2012年は「少女たちと女性」がテーマでした。このキャンペーンは、いわゆる社会的に脆弱な立場にある人々に焦点を当て、脆弱な存在や弱者という観点だけではなく、防災・減災対策への実質的な取り組みや、災害に強いまちづくりのための取り組みへ、そのような人々の主体的参画を推進していくことを大きな目的としています。2013年の国際防災の日は、障害者と防災をテーマに、国連としても多くのパートナーとともに、さらなるエンパワーメントとネットワークの構築を目指し、世界中に向けてメッセージを発信しました。

2013年の国連国際防災の日にあたり国連事務総長は、障害をもつ人々が、リソースに満ちた、変革をもたらす主体として、さらに大きな役割を果たせるようなインクルーシブな世界の構築のための協働を呼びかけました1)

また、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)のトップであり、国連事務総長特別代表(防災担当)のマルガレータ・ワルストロムは、2013年10月29日に岩手県陸前高田市で開催された、国連防災の日に関するイベントにおいて次のようなメッセージを発信しています。「障害をもつ人々をコミュニティの重要な一員として包摂し、インクルーシブな防災の促進のため、計画や意見交換において彼らの参加機会を提供することは必要不可欠である」

今年の3月で東日本大震災から3年を迎えます。東日本大震災では障害をお持ちの方々の死亡率が、そうでない方々より高かったとの報告があります。国際社会は、将来の災害に備えるため、またより災害に強い社会を構築するために、日本からの経験や教訓を学ぶべきです。そのような観点からも、2015年に向けたプロセスにおいて、「インクルーシブ」な防災・減災を目指し、防災と障害者に関する観点がより国際社会に認識されるよう、日本の関係者の皆様の積極的な参加を期待しています。

(まつおかゆき 国連国際防災戦略事務局(UNISDR)駐日事務所代表)


1)http://www.unisdr.org/2013/iddr

国連国際防災戦略事務局(UNISDR)とは:国連の防災担当部局として2000年に発足。本部はスイス・ジュネーブ。国際防災協力の枠組構築・調整のために触媒的な役割を果たし、人道及び開発分野に防災の観点を取り入れるための包括的な取り組みを推進。また、2005年1月に兵庫県神戸市で開催した第2回国連防災世界会議で採択された「兵庫行動枠組2005-2015:災害に強い国・コミュニティの構築」(HFA)の実施推進、進捗状況のモニタリングや報告を行なっている。HFAは防災・減災に関する国際レベルでの包括的な行動指針として、2005年以降各国及び関連機関が防災協力や防災政策を推進するための取り組みの中心となっている。UNISDRは2015年に開催される第3回国連防災世界会議の事務局を務めるとともに、HFAを継承する2015年以降の防災に関する枠組策定に向けたプロセスを担当することが国連総会決議により決定。UNISDR駐日事務所は2007年10月に開設され、所在地は兵庫県神戸市。