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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年4月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●置き場所を決めて指示もスムーズに、他●

提案者:三ツ井真平 イラスト:はんだみちこ

三ツ井真平(みついしんぺい)さん

21歳。頸髄損傷。四肢マヒ。高校在学中に、海への飛び込みにより頸髄を損傷。約2年の入院中に、高校の卒業資格を取りたいということで県内の特別支援学校に中途入学。卒業の年が20歳という節目に自立生活センター星空(愛媛県松山市)にて自立生活を始め、現在、自立支援の勉強中。


置き場所を決めて指示もスムーズに

私は重度の障害のため、介助者を使って生活しています。1週間で約10人が入れ替わりで入るため、同じことを伝え直さなければなりません。さすがに毎回同じことを言うのは疲れますし、伝えたとおりの場所に物がなくて、どこにあるのかを探すために費やす時間をもったいなく感じていました。

そこで考え方を転換し、指示したことに対して分かりやすく働ける仕事場にしようと考えました。ペンなどまとめて置けるものはひとまとめにして決めた場所に、普段よく使うものは私の近くに置く。

一番気をつけることは、使ったものを元の場所に戻すことです。簡単なことですが、雑な性格の私にとっては、これが一番できません。しかし、頑張って続けていると指示もスムーズになりました。何より部屋がきれいになり一石二鳥です。ういた時間は趣味に当てて楽しんでいます。


自宅でお風呂に入りたい!段差の解消

私が住んでいるのは、一般の賃貸マンションです。部屋の中は至る所に段差があります。そして、お風呂という問題が…。

私は浴槽に入れないので、タイヤ付きのシャワーチェアーでシャワー浴に決定。ここまでは順調に決まったのですが、浴室に行き着くまでに段差が30センチ。車いすでは越えられない段差です。

「家でお風呂に入りたい!」そんな強い意志がみんなにも伝わり、試行錯誤の末、浴室までの3つのステージを段差がないようにすのこを置き、そこに上るためのスロープを設置。それが導かれた答えでした。

みんなが温かく見守る中、無事に家で入浴することができました。自分の意志を相手に伝えて理解してもらうこと、簡単なようで難しいことだと思い知らされました。今はシャワー浴で気持ちよく入浴していますが、いつか湯船につかったら垢などで湯船が…、なんて考えたら恐ろしい今日この頃です。


ゲームは介助者と一緒に楽しむ

ケガをしてからどうしてもやりたかったことがありました。それはゲームです。

ケガをしてからゲームをやろうと自分で試みたことがありました。コントローラーを木で固定して口に棒をくわえ、ボタンを押してやってみましたが、首が凝って仕方なく、何より動きが速いゲームは無理で、最後まで持ちませんでした。それ以来、ゲームするのをあきらめていました。

ですが、自立生活を始めるにあたって、「自分の好きなことができなくて自立なんて意味がない。自分らしく生活することを大切にしよう」と決めました。そうすると方法は一つ。右、左など介助者に指示を出して代わりにやってもらうことにしました。

介助者が指示どおりにできなくてもめげずに何回も繰り返しやる。できなかったところがクリアできた時の達成感、私はもちろん介助者も同じように喜びます。今日も「右~」「左~」と叫びながら、Enjoy Playしています。