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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年5月号

ユーザーの声

マウススティックの改良とスマートフォンの活用

麩澤孝

2010年頃、スマートフォンが世間になじみはじめた当時、携帯電話を使っていた私はスマートフォンを利活用したいと考えていた。しかし、タッチパネル式の操作は「指」で直接触れないと反応(操作)しない静電容量方式が使われており、マウススティックで携帯のキーを押していた私にとって大きな壁があった。

「マウススティックを工夫すれば使えないか」と考え、工学系のエンジニアに聞いたり、インターネットで調べたり、情報を求めたり、試作を繰り返し、マウススティックの先にタッチペン(スマートフォン用スタイラスペン)を付け、さまざまなタッチペンを試し、完成まで本当に苦労した。そのかいもあり現在の「スマートフォン用マウススティック」では、簡単な改造で満足のいく反応や入力が実現できた。

マウススティックは電動車いす用、ベッド用と2本を使い分けている。スマートフォンを電動車いすに固定したり、ベッドサイドに固定したり、それぞれベルクロで固定できるようにしてあり、常時スマートフォンを操作できるようにしている。

スマートフォンでは通話、SNS、メール、カメラ、ゲーム、音楽・動画・skype、ラジオ、読書など、普段見ているインターネットのサイトを見ることができ、とても便利に使っている。電動車いすで外出した時に道順を確認したり、車いすトイレをチェックしたり、駅構内図や時刻表、飲食店やコンビニの検索など、アプリ(アプリケーション)が無数にありダウンロードしていろいろ使い分けている。

私たち障害をもつ者にとってスマートフォンが上手く使える環境にあれば可能性が大きく広がる。メール・SNSなどのコミュニケーション、ページをめくるという動作なく読書をしたり、TVやエアコンなどのリモコンをひとつにまとめ、ベッドサイドにスマートフォン、タブレットがあれば環境制御装置がわりに使える可能性も広がる。

しかし、マウススティックユーザーや指に障害がある者では、介助や自助具の工夫が必要になってくるのも事実である。

これから先、スマートフォン・タブレットなどタッチパネル式の機器が今以上に広がってくる。今まで使っていた機器が発売中止になったり、機能に制限があったり、便利に機能的になっていく反面、誰もが使いやすいユニバーサルデザインというものがより重要になってくる。

(ふざわたかし 東京頸随損傷者連絡会)