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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年9月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●テレビを見るときの工夫、他●

提案者:鈴木知美 イラスト:はんだみちこ

鈴木知美(すずきさとみ)さん

視覚障害(弱視)。恵泉女学園大学人間社会学部4学年在籍中。専攻は国際経済学で、普段は数字や表を見ながらの作業が多く視覚的にハンディが多いが、パソコン画面を拡大したり資料を電子化したりして見やすくするなどの工夫をしている。趣味はお城巡りで、これまでに松本城・犬山城等を見てまわった。今夏の目標は、姫路城と熊本城を見ること。


テレビを見るときの工夫

弱視者がテレビを見る際に大変なのが、画面に映る文字情報を文字が消えないうちに読むことです。でも、音声切り替えで「副音声」を選択すると、番組タイトルやテロップ(出演者の名前や肩書き)をナレーションや出演者の声の合間に読み上げてくれる番組があります。

また、ドラマでは、登場人物がせりふを言わずに表情や動作だけで表現したり、手紙や携帯の画面などを映し出して状況を説明する演出がなされることが多くあります。その場合は、そのつど番組を一時停止して画面の情報を見て状況を判断せねばならず、作品の臨場感を味わえない場合があります。しかし、一部のドラマでは副音声で登場人物の表情や動作、状況を解説してくれる番組があります。副音声を利用するとテレビ画面を離れたところから見ることができて、目が疲れずとても重宝しています。


美術館や博物館で展示を楽しむために

美術館や博物館での絵や展示物の鑑賞は、展示物に近づいて見たり触って形を把握することができません。また、作品の劣化防止のために照明を暗くしている場合もあり、展示物のそばにある作品の解説を読むことも困難です。そこで活躍するのが「音声解説」です。音声解説は、多くの美術館や博物館で取り入れられているので、一般の方も多く利用しているサービスです。

音声解説の受付を済ませると、レコーダーのようなテンキーがついた機械を受け取ります。展示物の前に来たら、その展示物のそばに書かれている番号を機械で押すと作品の概要や作者情報、その作品が生まれた背景などを聞くことができます。時々、音声解説の番号を探すのに少し手間取る場合もありますが、番号が見当たらない時は周囲の人にそっと聞いてみるのも一つの手でしょう。

音声解説の受付は、作品展受付のそばにある場合が多いので、ぜひ一度利用してみてください。


女子のおしゃれ―メイクには「拡大鏡ミラー」と「綿棒」を活用―

私は生まれつきの弱視者ですが、おしゃれが大好きでメイクを健常者の友人と同じように楽しみたいと考えています。しかし、視覚障害者にとってネックなのが、メイクは細かく視覚でチェックしなければならない作業が多いということです。特に、アイメイクは細かい作業が求められます。その際に重宝しているのが「拡大鏡ミラー」と「綿棒」です。

拡大鏡ミラーとは、普通の鏡より大きく写してくれる鏡のことで、量販店などに売っています。これで細かい部分をチェックしながらメイクをすることができます。

また綿棒は、アイメイクでアイシャドウの濃い色を塗るのに使っています。アイシャドウにはチップと呼ばれる先端にスポンジが付いたものが付属されている場合もありますが、慣れていないと濃く付きすぎてしまったり、広範囲に付きすぎてしまう場合もあり不便です。その点、綿棒はチップに比べて薄付きなので、失敗しにくく便利です。しかし、朝など時間がなくて焦ってメイクをすると、思いどおりにいかないこともあるので、ゆっくりと余裕を持って行なってください。