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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年10月号

1000字提言

For the Future

橋谷有造

アメリカンホーム保険会社は4月1日を以(も)って株式会社化が終了し、新たな門出を迎えることになりました。これで私も役目を終え7月末をもって、アメリカンホーム医療・損害保険株式会社の社長兼CEOを退任し、現在はAIGグループの会社に移っております。これまでアメリカンホームのCSR活動や考え方をお伝えしてきましたが、立場が変わりましたので、AIGグループの取り組みをご紹介したいと思います。

AIGグループでは、国を超えて、他の会社の良い取り組みは積極的に取り入れるという文化があります。2013年、2014年の世界自閉症啓発デーでは、アメリカンホームの社員が青いものを身につけて出社し、青くライトアップされる東京タワーや各地のモニュメントで自閉症の啓発活動を行うという情報がアジア・パシフィックのAIGグループ各社に伝達されました。そして、その取り組みに共感した、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール、中国、台湾、韓国のグループ各社の社員も、その日、青いものを身につけて出勤しました。各国に届けられたアメリカンホームが作成支援したブルーキャンドルを持ち、青いものを身につけた各国の社員の写真が続々と日本に届けられ、アジア・パシフィックが自閉症啓発というテーマで一つにまとまった瞬間でした。

ベトナムではさらに、自閉症児の学校の校長先生を会社に招いた講演会に全社員が参加し、自閉症児たちによる音楽演奏が行われるなど、自閉症への理解が深まりました。

最後に、フィリピンで勤務する社員からのコメントをご紹介します。

「フィリピンのオフィスもOne AIG Blue Dayに参加しましたが、私は自閉症スペクトラムと診断された15歳の息子を誇らしく思っています。彼は4歳の時にそう診断されましたが、現在は普通の学校に通い、他の子どもたちと同じように年齢に合ったクラスで学んでいます。友達を作ったり、会話に参加したり、学校生活を楽しんでいます。これは、早い段階で彼に対する診断を受け入れ、サポートを受けたことによると思います。息子は、私に仕事上のインスピレーションを与えてくれます。さまざまな障がいについての“気付き”は、同僚や友人が成果を上げたり社会的に受け入れられるきっかけを作ったりすることにもつながります。私たちは共に成長することができるのです」

まだまだやらなければならないことはたくさんありますが、いろいろな活動によって少しずつでも理解を深め、当たり前のようにサポートできる環境を整えるのが我々の使命と考えています。


【プロフィール】

はしやゆうぞう。アメリカンホーム医療・損害保険株式会社の社長兼CEOを2014年7月末で退任し、現在はAIGビジネス・パートナーズ株式会社執行役員。アメリカンホーム在任時は、「お客様中心主義」の徹底を掲げ、通販型保険会社の肝といえるコールセンター改革の推進や、がん経験者でも入りやすいがん保険の発売などの取り組みを行なった。