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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2014年12月号

2014私が選んだ今年の5大ニュース

池田まり子(いけだまりこ)

1969年横浜生まれ。脳性マヒ。約25年間、相模原市で障害者運動を続け、10年前に障害者の生活を創る会(代表)発足。CIL町田ヒューマンネットワーク(事務局長)でも働きながら、中学生の息子二人の母として奮闘中。

1.障害者権利条約の批准

140番目の批准国となり、1月に公布および告示、2月に発効。時間をかけて批准し、世界と肩を並べたことは素晴らしいが、合理的配慮をそれぞれの地域に浸透させていくには、制度の柔軟性が必要。現行の制度で、果たしてどんな障害があっても当たり前にライフステージを歩んでいけるのだろうか。

2.重度訪問介護の対象者拡大

重度訪問介護はこれまで、重度の肢体不自由者で常時介護を要する方が対象だったが、4月より、知的障害者・精神障害者の方も対象となった。しかし、画一的な認定基準で判断してしまうのが現状。一人ひとりの障害特性を理解し、重度訪問だからこそできる見守りや声かけなどで、生活が維持できる人が大勢いることを考慮し充実を願う。

3.精神科病棟転換型居住系施設の問題

はっきり言って、たとえば「2階から5階に移ったら地域移行」なんて…あり得ないでしょう! 確かにそれが必要な人もいるかもしれない。しかし、適切な支援体制が地域にあれば、いろんな人と交わりながら地域生活が送れるはず。それには支援者の保障も必要。

4.盲導犬、何者かに刺される

どんなに物理的なバリアフリーや制度が整っても、周りの人々の理解やモラルによっては、台無しになってしまう。悲しいニュースである。

5.創る会でシンポジウム開催

仲間たちと活動してきた団体が、10年目を迎えシンポジウムを開催。パネラーとして肢体・視覚・知的・精神、それぞれの障害の立場からお話しいただき、フロアにもさまざまな障害者、支援者など多くの人が集い、障害種別を超え団結していく一歩となった。


大和田新(おおわだあらた)

1955年神奈川県横須賀市生まれ。現在、ラジオ福島編成局専任局長・チーフアナウンサー。震災後は積極的に被災地を回り、被災者に寄添った放送を行なっている。昨年(2013年)9月に福島県郡山市で開催された「きょうされん全国大会」では実行委員長を務めるなど、障害者支援にも関わっている。映画「生命のことづけ」ではナレーターを務めた。

1.復興が進まない福島県の現状

「東日本・津波・原発事故大震災」から3年8か月。福島県では12万7人が故郷を追われ、4万7千人が県外へ避難し、2万人が仮設住宅などで不自由な生活を送っている。仮設住宅の耐用年数は2年。そこで3年以上も苦しい生活を強いられている。障害者の環境は最悪。除染も進まず、中間貯蔵施設建設の目途も立っていない。原発は相変わらず不安定で、安定しているなどとは冗談でも言えない。

2.震災関連死が震災直接死を上回る

11月11日現在、福島県での地震と津波による直接死1603人を、関連死が大きく上回って1800人を超えた。福島・宮城・岩手の中で関連死が直接死を上回ったのは福島県だけ。関連死の主な原因は原発事故による無理な避難からくるストレス、持病の悪化、そして深刻なのが自殺者が多いということだ。これは「原発事故関連死」だと思う。

3.韓国仁川アジアパラ大会で県勢が大活躍

「アジアパラ大会」で福島県縁の選手が大活躍。視覚障害の部、陸上女子100Mで佐藤智美選手が銀、水泳の佐藤健太選手が背泳ぎと自由形で銀と銅、柔道女子で半谷静香選手が銅メダルを獲得した。

4.障害をもつアスリートにインタビュー・価値観が変わった

3月21日、義足のアスリート佐藤真海さんのトークショーの司会を担当。底抜けに明るく前向きな真海さんのファンになる。9月3日、全盲のアスリートでCD・自叙伝を出版した立木早絵さんにインタビュー。早絵さんが言った。「私を障害者が頑張っているから取材するならお断りします。たまたま全盲の私が頑張っているんですから」

5.全盲のマラソンランナー・星純平さんサブスリー達成

友人で福島市の星純平さん(39)がフルマラソンを3時間を切って走るサブスリーを達成。市民ランナーで、サブスリーを達成できるのは5%しかいない。本人の努力もあるが、彼を支える市民ランナーの力が大きい。夢はリオ・パラリンピック。頑張れ純平、リオに連れてって。


木村敬一(きむらけいいち)

1990年9月、滋賀県生まれ。生まれつきの全盲。10歳で水泳を始める。2009年、筑波大学附属特別支援学校卒業。現在は、日本大学大学院、東京ガスに所属。

1.ソチパラリンピック開催、日本選手団大活躍!

国内報道も以前と比べて多くなり、障害者スポーツの知名度が上がったことを感じました。電車に乗っている時に「チェアスキーってすごいよね」と一般の人が話しているのを聞いた時、うれしくなりました。

2.スカパー!障害者スポーツ生中継!

3月のソチパラリンピック、11月のブラインドサッカー世界選手権がテレビで生中継された。レベルの高い国際競技会が、こうして一般家庭に、しかもリアルタイムで報道されるというのは、大きな一歩ではないだろうか。

3.インチョン2014アジアパラ競技大会開催、日本はメダル獲得数で韓国に敗れる!

2020東京パラリンピック開催決定後、初の夏季総合大会となったが、韓国にメダル獲得数で上回られ、さらにイランにも脅かされる結果となり、選手強化の面で不安が残った。

4.文部科学省、来年度スポーツ関係予算増額を決定!

オリンピックはもちろん、パラリンピック関係も強化費が増額される。また、パラリンピックメダリストへの報奨金も増額され、さらなる競技環境の充実が期待される。

5.全米オープンテニス、上地選手と国枝選手がアベック優勝!

四大大会で初めて日本人がアベック優勝という快挙であるにもかかわらず、日本では錦織選手の準優勝に沸いた。もちろん、それも快挙であるが、あまりにも報道に差があるのは寂しいと感じた。


近藤真生(こんどうまさたか)

映像作家/音楽家/現代美術家。1974年生まれ。岡山市在住。映画やTVCMなどの音楽を幅広く手がける一方、映像と絵画の制作・発表を続けている。http://butterfly-uc.com/

1.コニカミノルタプラザでの展示

ギャラリーという空間は最もノーマライゼーションが進んだ場所のひとつです。

僕のことを知らない人々が訪れ、作品をひとつひとつ時間をかけて繰り返し何度も鑑賞した後、結局、そこにいる僕のことを作家だとは気付かずにギャラリーを去っていく。それは僕にとって嬉(うれ)しさで落涙しそうになるような光景なのです。

2.「チーム近藤」の環が広がる

僕の活動をバックアップしてくださる方々が集まり「チーム近藤」というサポートチームができました。人づてにそのネットワークは広がり、現在60人以上の方々がお名前を連ねてくださっています。「チーム近藤」のみなさんのためにも、より力のある作品を生み出していきたいと思っています。

3.「KONICA MINOLTA エコ&アートアワード2014」準グランプリ受賞

自分が納得できる作品をつくれることと、人から評価されることは別のことです。

それでも自分の作品は世界一だと思ったり、行き詰まる制作によってこの世界のすべてに絶望したりするのが作家という愚かな生き物なのですが、こういったコンペティションを通して客観的な評価を得ることは冷静に今のポジションを知ることにも繋がります。

4.新人ヘルパーの増員

若くて美しい女性ヘルパーが増えました。

5.新人ヘルパーの減員

若くて美しい女性ヘルパーが結婚退職してしまいました。


島村八重子(しまむらやえこ)

全国マイケアプラン・ネットワーク代表。約20年間の専業主婦の後、義父の在宅介護と看取りの経験から高齢者介護に関心を持つようになる。2000年4月から2007年10月まで義母のケアプランを自己作成。2001年、自己作成者に呼びかけて、「全国マイケアプラン・ネットワーク」を設立。

1.障害者サービス利用計画の自己作成について問い合わせ増加

障害者総合支援法で障害者サービスを利用する際にも介護計画を立てることになりましたが、それに伴い、障害者の介護計画自己作成についての問い合わせが増えています。自分らしい暮らしを送るために、ぜひチャレンジしてもらいたいものです。

2.ユニバーサルマナー検定が広がりをみせている

骨形成不全症の垣内俊哉さんが立ち上げたユニバーサルマナー協会は、障害とは環境が作るものだという持論のもと、昨年から実施しています。企業ぐるみの受講も多いそうです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け街づくりが進むことを期待しています。

3.日本初の認知症当事者の団体「日本認知症ワーキンググループ」が発足

10月11日、11人の認知症当事者がワーキンググループを立ち上げました。認知症当事者の声を発信し、認知症になっても希望と尊厳をもって暮らしていける社会にするための提言活動などを行なっていきます。当事者の声は社会を変えていく原動力となることでしょう。

4.介護保険制度がおかしな方向へ…

6月18日、地域医療・介護総合確保推進法が成立し、これに沿って介護保険制度の改正も行われていますが、財政不足への焦りが先行して介護保険の本来の理念が危うくなっているのを感じます。一般の市民が賢くまっとうに制度を使うことが一番の解決策だと思うのですが…。

5.介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案にはセルフケアの重要性が記載

介護保険制度の改正がおかしな方向に進む中で1点希望が持てるのが、7月28日、介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案の中に当事者の主体的なセルフケアが重要ということが再三書かれていることです。社会全体の意識改革につながればいいのですが…。


天畠大輔(てんばただいすけ)

14歳の時、医療ミスにより、四肢マヒ・発話障がい・視覚障がいを負い、重度の障がい者となり車いす生活を余儀なくされる。現在、立命館大学大学院博士一貫制課程に在学中。東京都武蔵野市在住。1981年生まれ。

1.袖ケ浦福祉センターの虐待問題

千葉県立障害者支援施設である「千葉県立施設袖ケ浦福祉センター養育園」で、19歳の知的障がいをもつ男性が虐待の末亡くなった事件。私自身、中途障がいを負って間もない時期に、この「袖ケ浦福祉センター」に入所していたことがあり、他人事とは思えない事件であった。

2.IC運賃、消費税引き上げ

消費税の引き上げにより、IC乗車券利用の際の運賃が1円単位に改定された。とりわけ、移動に介助者を必要とし、介助者の交通費も負担する私にとっては、たとえ1円であっても深刻な問題だ。

3.佐村河内守

視覚および聴覚に障がいをもつ作曲家、佐村河内氏の発表曲が、第三者によって手がけられていたことが発覚し話題となった。「著作権」を巡るこの問題は、介助者に「あ・か・さ・た・な話法」で通訳し、代筆してもらっている私として考え深い論争であった。

4.『世界の果ての通学路』バリアフリー上映

映画好きの私が今年最も感動したドキュメンタリー。日本のほとんどの学校は徒歩圏内あるいはスクールバス等の交通機関で通学可能である。本作は、日本とは真逆の環境で通学する4組の子どもらを追っている。中でも、夢を掴むために弟2人の手を借りながら、即席の車いすで1時間15分かけて通学する青年の姿が特に印象的だった。

5.台湾への調査研究

台湾のある施設において、どの職員も日本における、福祉制度による生活の充実よりも、私個人のリハビリや意志伝達のための福祉機器の活用に言及してきたことが印象的だった。その後の調査からも、台湾における障がい観が、いまだ社会モデルより個人モデルに対して親和性が高いということが見えてきた。


日戸由刈(にっとゆかり)

臨床心理士、臨床発達心理士スーパーバイザー。横浜市総合リハビリテーションセンターにて20年以上に渡り、発達障害の人たちの支援に携わっている。現在、児童発達支援事業所「ぴーす新横浜」園長。主な著書「アスペルガー症候群のある子どものための新キャリア教育」。

1.英国の精神科医、ローナ・ウィング氏が死去

6月6日、享年85歳。氏は自閉症の“スペクトラム概念”提唱を通じて、たとえ知的に遅れがなく症状が軽微であっても、社会適応に困難があれば支援の対象となると主張した。国境を越え、発達障害者支援の国際的な発展に最も寄与した人物のひとり。謹んで哀悼の意を表したい。

2.専門機関を受診する自閉症スペクトラム幼児は依然増加傾向

私の所属する横浜リハセンターの発達外来でも、担当地域の人口(約36万人)は大きく変化していないが、幼児の年間受診申込数は20年前には約50、10年前には約150、数年前から約250に達し、今年も記録更新の勢い。平均初診年齢は2~3歳。保護者は不安でいっぱい。早期支援策の充実が緊急の課題。

3.自閉症の治療薬「オキシトシン」の臨床試験スタート

10月10日、NHKからセンセーショナルな報道が! 一方、自閉症概念の拡大に伴い、「自閉症の特性を有しても、社会適応に困難がなければ障害とは言えないのでは?」という議論も活発化している。自閉症の“治療”とは何か。各自に判断が求められている。

4.「ヴァインランド-2適応行動尺度」がついに発売

自閉症を含む発達障害のアセスメントの鍵となる“社会適応の困難”。わが国にはライフステージを通じた評価ツールが存在しなかった。米国で開発され、改訂版も出ている検査の日本語版が、ついに10月末に発売。ぜひ、活用したい。

5.心理職の国家資格化、なるか?

こうしたアセスメントの一翼を担うべき「公認心理師」法案。どのような形で法制化となるか。目を離さず見守りたい。


長谷川利夫(はせがわとしお)

昭和39年生まれ。國學院大學法学部卒。第一勧業銀行(現みずほ銀行)勤務を経て、精神科病院に作業療法士として勤務。精神医療の現場を「普通」にする必要性を痛感。杏林大学保健学部教授。日本病院・地域精神医学会理事。NPO法人にいがた温もりの会理事。

1.「生活するのは普通の場所がいい STOP!精神科病棟転換型居住系施設!!6・26緊急集会」で日比谷野音に3200人が集結

精神科病院の病棟の一部をアパートやグループホームにする「病棟転換型居住系施設」に反対するため、6月26日、日比谷野外音楽堂に3200人の人たちが集まった。精神障害者、身体障害者等、障害種別、立場を超えた多様な人たちが一堂に集まる画期的なものだった。これに呼応して、北海道から沖縄まで地域集会が全国各地に波及、2015年も続いていくことが予想される。

2.病棟転換問題を機に、精神保健医療福祉にかつてないマスコミの反応相次ぐ

障害をもった人にとっての人権問題でもある「病棟転換問題」について、全国紙4紙(11回)、地方紙14紙(29回)、政党紙2紙(5回)、英字新聞1紙、業界紙1の計22紙が47回(内社説16回)報道。日本弁護士連合会はじめ諸団体の声明、NHKクローズアップ現代でも「精神科病床が住居に?長期入院は減らせるか?」が放映され社会問題化した。

3.権利条約の監視機関である内閣府障害者政策委員会から、精神障害者、知的障害者の当事者委員が外される

9月の委員の再任時に、内閣府障害者政策委員会の委員から、精神障害者、知的障害者の当事者委員が外された。障害者権利条約批准元年にあってはならないことが起きた。

4.認知症の当事者の会「認知症ワーキンググループ」が発足

認知症になると何も分からなくなるという偏見が強いなか、認知症をもった当事者自らが発信していくことで、認知症の施策が進むきっかけになると期待される。

5.わが国が障害者権利条約に批准

本来は喜ばしいニュースとして冒頭に載るべきだが、前記のように現下の情勢は厳しい。来年以降その精神が実現することを期す。


韓星民(はんすんみん)

1971年韓国生まれ。ソウルで鍼灸院開業経験を持ち、来日し京都府立盲学校専攻科卒業、関西学院大学で修士、KGS(株)勤務後、東大で研究員、現在は福岡教育大学で専任講師。

1.「手と目でみる教材ライブラリー」のオープン

視覚障害者向け博物館や美術館は世界を見渡しても数少ない。盛岡には触る博物館があるが、今年、東京都の高田馬場に「新生触るライブラリー」がオープンした。名画などを2.5次元(レリーフ)表現することで、名画を手で確かめながら説明者と会話を楽しむことができる。

2.タブレットPCが視覚障害教育へ積極的に導入

昨年からスタートしたiPadを中心としたタブレットPCの視覚障害教育への導入が進んでいる。今年はiPadやアンドロイド系端末でも利用可能なマルチメディアDAISY再生アプリ(VOD)も登場した。そして、EPUB3やアクセシブルなPDFの開発が進んでいる。

3.元日本ライトハウス館長「岩井和彦」氏死去

全国の視覚障害者の読書を支える電子図書館「SAPIE」の前身である「点訳広場」の立ち上げや、関西の視覚障害学生と点訳サークルの交流を進める「関西SL」の創始者の一人であり、視覚障害者一人ひとりを大切にし、すべての人を敬う岩井和彦氏の生き方は周りに感動を与えた。

4.就学奨励費にICT機器購入費加算

特別支援学校高等部では、就学奨励費の中で補助教材費として3万円までの補助が付くが、それ以外に、ICT機器やタブレットPCなどの購入の際、5万円までの追加予算が付くことになった。

5.メルボルンで開かれた世界ロービジョン学会に参加

学会参加中に併設展示されたロービジョン者のための世界最新アシスティブ・テクノロジーを体験し、視覚障害教育分野における支援機器の重要性について再認識させられた。


廣川麻子(ひろかわあさこ)

1972年東京生まれ。和光大学在学中に社会福祉法人トット基金日本ろう者劇団入団。企画制作事務所「ヒロカワ企画」代表。観劇支援団体「NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク」理事長。演劇好きな先天性の聴覚障害者。

1.シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)で「アクセシビリティ公演情報サイト」をリリース

2014年度に日本財団・セゾン文化財団から助成を受けて作成した、日本で初めてのアクセス情報に特化した公演情報検索サイト。ジャンル、必要な支援、日時、場所から検索ができる。

2.「平成26年度文化庁戦略的芸術文化創造推進事業」に「観劇サービス」採択

「身毒丸」公演(2015年1月末・世田谷パブリックシアター)について演劇実験室◎万有引力が事業主体、TA-netは協力団体として申請したものが採択。国として必要性を認めたともいえ、助成額885,000円を有効に活用すべく、視覚障害、聴覚障害をもつお客様に向けてあらゆるサービスを提供予定。

3.障害者の権利に関する条約を日本で批准

特に、第30条で「文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」について明記されたことに注目。

4.第14回全国障害者芸術・文化祭とっとり大会における情報保障の完備

鳥取県では手話言語条例が昨年制定されたが、7月から11月まで行われたすべてのステージイベントに手話通訳・要約筆記・音声ガイドをつけ、そのこともチラシに明記。予約不要で安心して楽しめた。

5.日韓手話演劇を企画制作(ヒロカワ企画)

日本財団の助成、鳥取県聴覚障害者協会の後援のもと韓国からろう者5人、日本からろう者14人、聴者6人とともに手話で世界とつながることをテーマに上演。国境と言語を超えた絆が鳥取と韓国の間で深まり、演劇が持つ力を再認識。


福島龍三郎(ふくしまりゅうさぶろう)

1973年生まれ。NPO法人ライフサポートはる理事長。NPO法人全国地域生活支援ネットワーク監事。障がいのある方たちを地域で支えていく事業所を運営しながら、さまざまなネットワークを創る活動を行なっている。

1.日本が障害者権利条約を批准

いよいよ日本も障害者権利条約を批准した。国内法を整備した上での満を持しての批准だが、さまざまな分野に渡る具体的な取り組みはこれからが本番だ。今回の批准をきっかけに、障がいのある方たちを取り巻く環境がさらにいい方向に進むように願う。

2.強度行動障害支援者養成研修(実践研修)が始まる

昨年度の基礎研修に続いて今年度から実践研修が始まった。行動障害のある人たちが地域で安心して過ごすことができるために、また、支援現場で利用者や支援者ができるだけ辛い思いをしなくて済むように、この研修がしっかり広まってほしいと思う。

3.サービス等利用計画の作成が大詰め

計画期限の最終年度となった今年、各地で計画作成が急ピッチに進んでいる。しかし、計画の中身や手順が二の次になっている感は拭えない。来年以降、計画の質の向上を図るとともに、地域の相談支援体制づくりをやっていくことが大切だ。

4.九州ネットワーク2014が開催される

「1000字提言」でも書いたが、福祉職員の質の向上や離職の防止にはさまざまな立場の人との「つながり」が重要な役割を果たす。今年の10月末に九州ネットワークフォーラムが開催され、多くの「つながり」が生まれた。

5.佐賀市チャレンジドショップ「きらめき」がオープン

佐賀市内の福祉事業所の製品を紹介するアンテナショップが佐賀駅近くにオープンした。各地のショップと同様に、今後、どのように運営していくかが重要となる。


山崎公士(やまざきこうし)

1948年神奈川県生まれ。現在、神奈川大学法学部教授。専門は国際人権法、人権政策。人権相談・救済の法制度について政策提言活動をしてきた。元障がい者制度改革推進会議構成員。

1.障害者権利条約の批准

日本は1月に障害者権利条約を批准し、2月に日本国内で発効した。条約は当事者参画で起草され、障害の社会モデルを採用し、障害観を転換する画期的な国際文書。日本の障がい者制度改革の原点となった。

2.障害者差別禁止条例が制定・施行された

昨年に続き、京都府と茨城県でこの条例が制定された。また、長崎県、沖縄県、鹿児島県、別府市の条例は、本年施行された。大阪府、新潟市等でも同種の条例が制定される見込み。

3.手話言語条例の制定

手話は言語であると認識し、手話を普及し、ろう者の人権が尊重される社会づくりを目指す手話言語条例が北海道新得町と三重県松阪市で制定・施行された。昨年制定された北海道石狩市条例は今年施行。障害者権利条約の趣旨を自治体で定着させる試みで、元気がでる。

4.障害者政策委員会の委員構成

9月1日、4か月ぶりに障害者政策委員会が開かれ、委員が10人交代した。その結果、精神障害と知的障害の当事者はいなくなり、弁護士委員の数も減った。これで「独立したモニタリング」機能を担えるのか、とても心配。

5.障害者差別解消法にもとづく「障害者差別解消基本方針」策定の遅れ

本年3月中には公表予定だった基本方針の策定が遅れている。11月10日の障害者政策委員会(第18回)で基本方針(案)が審議され、ようやくパブリックコメントに付されることになった。基本方針は差別解消法の運用指針となるので、多くのパブリックコメントを期待したい。