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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年4月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●衣服はお手製~冷えや暑さから関節を守る、他●

提案者:上戸幸子 イラスト:はんだみちこ

上戸幸子(かみとさちこ)さん

第二子出産後の29歳の時に関節リウマチを発病しました。いつの間に突き指をしたのかな?と思ったのが最初の症状でした。それ以来徐々に症状が進んでいき、病歴は20年を超えました。家族、友人、ヘルパーさん、名前も知らない方々からの温かいお気持ちを心の杖として感謝しつつ生きています。日本リウマチ友の会会員。横浜市在住。


衣服はお手製 ~冷えや暑さから関節を守る

リウマチになり困ったことの一つが衣服でした。夏の暑い日は半袖を着たいところですが、電車などエアコンの効いているところは寒く、関節を冷やさないために上着を羽織りたくなります。しかし、上着を持ち歩くのは荷物が増えますし、脱ぎ着も痛みを伴います。着脱しなくても関節を冷えから守り、かつ暑さもしのげる肘が隠れる袖丈というと、6.5分袖くらいが私にはちょうど良いように思いました。

その他、採血で袖をまくる時に袖口がつぼまっていると上げ下げがしにくく、痛みで辛い思いをします。それをなくすためには、袖口がある程度広くなっている形状が望ましいのですが、市販品ではなかなか思うような商品が見つかりませんでした。ずっと悩んでいましたが、結局、自分で作ることにしました。試行錯誤の末、今は何とか自分の身体の状態に合った服を好きな柄とデザインで着ています。


リンゴの皮むきはトマトピーラーで

手指の関節の痛みや変形のため、包丁を使ってリンゴの皮をむくことがとても難しくなってしまいました。ハンドルを回して皮をむく道具も使いましたが、私には合わないようでした。それで簡単で、道具の手入れも楽な皮むきの方法を考え、ピーラーを使う方法に落ち着きました。

使い方は、まな板の上にりんごを置き、左手でりんごを押さえ、右手(利き手)で持ったピーラーを上方奥にあててまな板と水平に手前に引きます。左手でリンゴを回転させて右手でピーラーを引く、を繰り返します。真ん中くらいまで皮がむけたら、リンゴの上下を反対に引っくり返して、また同じように皮をむいていきます。普通のピーラーでもできますが、トマト用の方が柄が長い分持ちやすく切れ味も良いため、より軽い力で、そしてより薄く皮がむけます。芯が歪んだりんごでも変わらずにむけることや、手入れが簡単で場所も取らず、価格もワンコインからあるところが利点だと思います。


趣味のクロスステッチを楽しむ工夫

病前からの趣味で続けることができたものの一つがクロスステッチです。しかし、症状が進むにつれて、刺繍枠を支えることや下を向くことが辛くなってきました。それでもやっとの思いで続けてきた趣味をこれ以上失うのは悲しく、道具でカバーできるのならと、探して見つけたのがクロスステッチ用スクロールフレームです。左右の支柱に穴が複数開いていて、ベッド上で座ったまま、あるいは机の上に乗せてクロスステッチが刺せるように高さが調節できます。面の角度や刺繍面の高さも調節できます。

私は指の力もないため、この他にも人差し指にはめる滑り止めのラバーシンブルや糸通し、とても軽い力で糸を切ることができるスプリングはさみを使っています。以前は針に糸を通したり、糸を切るというちょっとした作業にも意外と多くの体力やエネルギーを使っていましたが、これらの道具を使い始めてからは作業効率が上がり、作業が進むことで気持ちも上向きになりました。ドラマを見ながら刺すひと時は、私にとって病を忘れ、心が和む大切な時間となっています。