音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

  

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年10月号

障害当事者からの意見

視覚障害者のコミュニケーション支援
~近未来に期待すること

江見英一

従来、視覚障害者は、言葉で伝える以外に、紙に点字を書くことによって自分の意思を他人に伝えてきた。しかし、最近はIT機器の発展により、音声ソフト等を使ってメールで他人に伝える方法が広がっている。国・地方自治体もこの普及策を講じている。たとえば「障害者ITサポートセンター」などを設置し、障害者向けIT機器の活用についての研修や相談、「情報支援用具」の補助としてパソコン用音声ソフト等の購入費の一部補助も行なっている。

さらに最近では、携帯型端末を使う視覚障害者が増えている。これらは据え置き型のパソコンなどと違って、持ち運びに便利で、会合に参加すると、決まったことなどをすぐにメール等でその場で配信できるなど、視覚障害者が単独で使いこなすことができれば、とても便利な機器である。

しかし、課題も多く存在する。これら携帯型端末の操作はタッチパネル方式であり、平面の画面をポイントを外さないように操作するのは、視覚障害者にとって非常に困難な作業である。このため、私もそうだが、まだ携帯型端末に移行できない視覚障害者も多い。

これら携帯型端末が、視覚障害者にも容易に操作できるものになる日が待ち遠しい。つまり、音声操作や、平面の画面でも触覚によって区別できるものなど、ユニバーサルな機器の誕生が待たれる。

私としては、音声認識によって操作が簡単にできる携帯型端末を望んでいる。さらに、大型スーパーなどで、携帯型端末を近付けると、陳列されている商品内容が分かるようなシステムがあれば、買い物の際のストレス軽減につながる。また、人と会っている時に、話し相手の背格好や着ている物などが分かれば、話題の材料になるだろう!そして、相手の表情を自分の機器で随時読み取ることができれば、視覚障害者にとって不利な相談や商談での部分をかなり改善できるのではないだろうか。

今後の開発に大変期待しているのだが、これからの開発のキーワードは、「音声による簡単操作」である。視覚障害者も高齢化の時代となる。多くの視覚障害者が簡単に使えて、そして、安価で手に入る携帯型端末が実現すれば、視覚障害者の情報収集やコミュニケーションの環境を改善する大きな力になるだろう!

(えみえいいち 東京都盲人福祉協会 青年部会副部会長)