音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2015年12月号

私のファッション哲学

私の元気のみなもと

酒井ひとみ

私の身体が動かなくなると分かった時に、決めたことがあります。それは「どんなに重度の障害をおっても、普通の、前と変わらない生活を送ること」です。

その中に、メイクや、髪の毛のことや、好きな服を着ることも含まれます。

私は、メイクにしても髪形にしても、ヘルパーの手を煩わせないように気を遣っています。それは、自分のためでもあります。

たとえば、メイクですが、眉毛は、アートメイク(軽いタトゥー)で、まつ毛は、パーマです。こうすることにより、私は、ほぼ毎日変わることのないメイクを手に入れることができ、ヘルパーのストレスも軽減できたと思います。あとは、洋服も、家にいる時もパジャマは着用せずに、前が開かないタイプのものを着て、いつでも、好きなものを着れるように関節が拘縮しないように努めています。

でも、これはあくまで、私のスタイルであって、万人に当てはまるものでもないと思います。体中が痛い方もいるでしょうし、私よりもうんと拘縮が進んでいて、パジャマ以外は無理という方もいると思います。そういう方に無理に、普通の洋服を着ろと言っているわけではありません。ちょっと工夫すればいいのです。

たとえば、ストールを上からかけて、パジャマを隠すとか、方法は考えればいくらでもあると思います。

私の考えが、もともと楽観的なことも手伝い、今が楽しければいいかなと思っています。それは、今を生きるということ。私たちは、過去でも未来でもなく、現在を生きてるわけです。

なので、今を楽しく過ごしたい。ただそこに好きな洋服を着るとか、メイクをするとかが含まれているだけです。でも、それがあるから、いろいろなことに挑戦してみたいという気持ちにさせてくれていることは、言うまでもありません。

これが、私の元気のみなもとなんです。

(さかいひとみ 日本ALS協会理事、NPO法人さくら会理事)