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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年1月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●スライディングボードを利用してらくらく移乗、他●

提案者:藤林行夫 イラスト:はんだみちこ

藤林行夫(ふじばやしゆきお)さん

1962年生まれ。13歳の時に『進行性筋ジストロフィー症(デュシェンヌ型)』と診断を受け、「20歳前後まで…」と宣告されるも生き延びる。46歳でリアライズに出合い、介助派遣を受ける。50歳で生活介護パイオニアのメンバーとして活動を始める。同じく50歳の時に改めて大学病院で診察を受け、障害が『シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)』であると診断され、現在に至る。大阪府泉大津市在住。


スライディングボードを利用してらくらく移乗

介助を使い始めた頃は、車椅子からトイレやお風呂等への移乗はすべて介助者にしてもらっていましたが、自分の体は大きい方で体重も重い方なので、介助者の負担を減らすためにはどうしたらいいかと考えました。

そこで、ベッドと車椅子間の移乗にスライディングボードを導入しました。

ボードはズボンを履いていれば、滑りやすい素材でできているので、ベッドに車椅子を横付けして手すりを跳ね上げ、ベッドと車椅子とに高低差を付けて、お尻の下にボードを差し込み、滑り台の要領で移乗しています。このボードを導入したことで介助者の負担が減りました。また、介助者が帰った後も、自分一人でもボードを使っての移乗が可能になりました。でも、今は安全面を考えて、一人の時は車椅子からベッドへの移乗だけにしています。ベッドから車椅子への移乗は危険が伴うので、必ず介助者がいる時にしています。


入浴時の移乗は専用リフターで(据え付けタイプ)

一番の問題だった入浴時の移乗は床も体も濡れているので、介助者と共に滑ったり落とされたりして事故につながる危険性があります。何よりも介助者が腰を痛めて、介助に入ってもらえなくなってしまう可能性も十分にあり得るので、ずっと危機感を持っていました。

入浴時の移乗の問題を解決するために、浴室に据え付けタイプのリフターを導入しました。これにより、入浴時の危険を回避することができました。

利用方法ですが、リフターの支柱は浴室に据え付けてあるので、入浴時に介助者に装置を組み立ててもらいます。まず、脱衣場に車椅子を止めます。次に車椅子に座った状態で、リフター専用のスリングをお尻を包み込むようにセッティングします。リモコンを操作して、シャワーチェアーに移って頭や体を洗ってもらいます。そして、スリングを装着したまま浴槽に入れてもらいます。入浴後は、車椅子に移ってからスリングを外してもらいます。


足冷えの予防:足用使い捨てカイロ・レッグウォーマー・膝掛けが大活躍

障害の影響もあって足がスゴク冷えてしまうので、毎年冬は憂うつでした。足用の使い捨てカイロを使ってみたり、靴下を重ね履きしたり、レッグウォーマーを履いたり、膝掛け等、今までいろいろ試してきました。そんな中で、自分に一番合った膝掛けに出合うことができました。

あるカタログ通販会社で見つけた「羽毛入り膝掛け」です。形は四角形ではなく「H型」で切れ込みがあるので、膝と膝下を独立してくるむことができて、一番冷えやすいふくらはぎも包み込むことができます。とはいっても、足の冷えは気になります。足用の使い捨てカイロやレッグウォーマーも併用しています。

ふくらはぎの冷えが気になる時は、膝掛け用の毛布を敷くことにしています。しかし、この膝掛けは撥水性がないので、雨天時は濡れてしまいます。そのため、雨を弾く素材の膝掛けを上から重ねて使う工夫もしています。重ねて使うと、より一層温かいです。