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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年5月号

事例紹介

AIGジャパン グループの取り組み

只友真理

1 世界自閉症啓発デーの活動

毎年4月2日の世界自閉症啓発デーには、AIGグループ社員は青いものを身に付けて出社し、部門ごとに写真を撮ります。2013年に始めたこの取り組みは、気軽に参加できるダイバーシティ&インクルージョン(多様性とその受容)の活動として浸透し、4年目の今年は千人以上の参加報告が寄せられました。AIGグローバルにも日本から呼びかけを行なっており、毎年さまざまな国から、青いものを身に付けた写真が届きます。昨年までに参加した国は14か国で、今年も報告を楽しみに待っているところです。

この青いものを身に付ける取り組みには、最初は、「なんだか楽しそうだから」「部門みんなで写真を撮ると言われたから」などの理由で参加した社員が多かったと思いますが、「自閉症・発達障がいについてもっと知りたい」「身近にいたらどうすればいいのか」という声も聞こえてくるようになりました。特にさまざまなお客さまと接する現場の社員は意識が高く、コールセンターや保険金支払いセンターでは社員向けセミナーを開催するようになり、今年は約150人が出席しました。

さらに、今年はすべての社員により深い理解を促すため、従業員約1万5千人に啓発チラシを配布しました。チラシには、基礎知識だけでなく、グループ内での事例を掲載するなど、社員が「自閉症・発達障がい」をより身近に感じられるような内容にしています。社外では、女優の東ちづるさんが率いる、一般社団法人get in touchが2013年に東京タワーで初めて開催したイベントの集客を支援したほか、全国各地の自閉症啓発団体の活動を毎年社員がお手伝いしています。今年は4月2日が土曜日でしたが、全国8か所で約130人の社員と社員の家族がボランティアとして参加しました。

モニュメントをブルーにライトアップする“Light It Up Blue”活動にも協力しており、2014年から富山のオフィスが入るビル会社に働きかけてブルーライトアップを共催しています。沖縄では、2015年にNPOなどの団体と共に実行委員会を立ち上げ、観覧車など沖縄のモニュメントを初めて公式にブルーライトアップし、イベントも開催しています。2016年はこのほか、大阪の長堀橋にある富士火災大阪本社ビルに外側からライトを当ててブルーにライトアップし、点灯の瞬間をビルで働く社員が見守りました。

世界自閉症啓発デーの活動が毎年拡大していく理由は、社員の共感を得られているからだと感じています。今年の活動にもたくさんの社員が関わっています。障がいをもつ、もたないにかかわらず、すべての人が個性を認められ、生き生きと暮らしていける社会にしたいと願う社員一人ひとりの気持ちが、この活動を継続させているのです。

2 ダイバーシティ カウンシルの活動

AIGジャパン グループでは2014年1月に、ダイバーシティ&インクルージョンを推進するための目標や施策を議論し、経営層へ提言していく「ダイバーシティ カウンシル」を設置し、運営しています。社員からカウンシルメンバーを募集し、各社経営陣も入り、「ジェンダー・ファミリー」「障がい」「LGBT」「コミュニケーション」のワーキンググループ(WG)が積極的に活動を行なっています。「障がい」WGでは、AIGグループ内での障がい者雇用・理解促進のため、先進的に障がい者雇用に取り組んでいる会社を視察したり、グループ内で働いている障がいのある社員や上司の方にヒアリングを実施したりして、上司や周囲の社員と障がいのある方が共に働きやすい環境を整えるための施策を検討し、経営層へ提言しました。

また、社員の障がいに対する理解を深めるため、世界自閉症啓発デーと、特別支援学校の活動に対する社員ボランティアに取り組みました。特別支援学校でのボランティアでは、事前に社内で理解講座を3回開催し、業務終了後の夜間の開催にもかかわらず、合計約80人の参加がありました。そして、2015年の夏から特別支援学校の行事のお手伝いを開始し、保護者が行事の役員として役割を担っているお子さんの付き添いや運営の補助、後片付け等のお手伝いなどを行なっています。

3 協賛・寄付活動

AIGグループは、知的障がい者のスポーツへの挑戦を支援する「スペシャルオリンピックス日本」が主催した「横浜チャリティラン」に協賛し、2回目の昨年は、AIGから社員の家族や代理店関係者も含めて175人が参加しました。また「スペシャルオリンピックス日本」理事長の有森裕子さんを講師に障がい者アスリートを応援する意義についての社内セミナーを開催し、約70人が聴講しました。

グループの1社である富士火災海上保険では1993年より、任意で会員となった社員が毎月少額を積立し、会員から推薦された高齢者や身体障がい者への介護活動や環境問題、また震災復興に取り組む団体に寄付を行なっています。これまでに約400の社会福祉法人や障がい者支援団体などへ寄付を実施し、東日本大震災以降は、今なお復興途中である被災地への長期支援の一環として、被災地の障がい者団体への支援なども実施しています。

4 今後について

AIGは、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、多様な視点に基づいて顧客に対する理解を深め、イノベーションの向上とリスクの低減を実現することができると考えています。今後も障がいについての理解を深める活動を社内外で積極的に実施していきたいと考えています。

(ただともまり AIGジャパン・ホールディングスCSRマネージャー)