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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年5月号

事例紹介

「地域とハンディキャップ」を会社の方針に

株式会社ファンケルCSR推進事務局

ファンケルは、“世の中の「不」(不安・不便・不満)の解消”の下、1980年に横浜で創業したベンチャー精神を大切にしている企業です。創業期の1980年代より今日まで、社会貢献に積極的に取り組んでいますが、社会貢献の原点は、同じ地域で活動していた「社会福祉法人 訪問の家」の施設長であった日浦美智江先生とファンケルの創業者である池森賢二の出会いに始まります。

「障がいをもった人が生まれる確率は、およそ1,000人に1人。その1人を残りの999人が支えるのは当たり前」という日浦先生のお言葉に、池森は心打たれたといいます。

「社会福祉法人 訪問の家」は、重度・重複の心身障がいをもった方の通所施設を、日本で初めて開いた福祉法人で、当初池森はたった一人で、金銭的・人的な支援を行なっていました。

池森の活動は、次第にファンケルの従業員にも広がっていきました。現在では、「社会福祉法人 訪問の家」の通所者・職員・ご家族をファンケル社屋にお招きして、従業員と交流を深める「お食事会」の開催をはじめ、特別支援学校や老人ホームに従業員がお伺いして「メイクセミナー」や「身だしなみセミナー」を行なったり、目のご不自由なお客さまのために開発した「タッチマークサービス(凹凸のあるシールを化粧品に添付してお客さまにお渡しするサービス)」、「東日本大震災の被災地支援活動」のほか、株主さま・従業員・お客さまも参加できる寄付活動など、活動は広まっています。

特に、ファンケルの社会貢献活動の原点である「社会福祉法人 訪問の家」との「お食事会」は、今年で27回を迎える伝統的なイベントです。毎年12月のクリスマスの季節に、会場となる飯島社屋の社員食堂が、クリスマスの装飾と全国の直営店舗を含めた全グループ従業員の手作りクリスマスカードで彩られ、ご招待者を温かく出迎えます。そして約50人の従業員が、さまざまな趣向をこらしたおもてなしで、通所者やご家族、職員の皆さまと楽しいひとときを過ごします。

「社会福祉法人 訪問の家」との交流は、このほかに、1.新入社員研修(車いすの押し方、ホスピタリティを学ぶ)、2.バザーの参加(名称:愛ひかりフェスタ、バザー品の提供、バザーでのファンケルの青汁や手作りアクセサリーの販売)、3.不要な「水引」の提供(のし袋の材料として寄贈)、4.書き損じの年賀はがき(切手にして寄贈)、5.お年玉付き年賀はがきの当選商品の寄贈、などを行い、ファンケルグループの従業員が積極的に交流を深めています。さらに、通信販売や全国にある直営店舗の地域にある「社会福祉法人 訪問の家」のような施設を支援したい。また、お客さまからもファンケルの社会貢献活動に参加したいというご要望が入り、お客さまが参加できる寄付活動「ポイント寄付」が誕生しました。

お客さまの「ポイント寄付」は、ファンケル商品をお買い上げいただいた際に付与されるポイントを、お客さまご自身の意志で寄付ができる仕組みで、2008年よりスタートしました。お客さまの「ポイント寄付」は、「公益社団法人 フィランソロピー協会」を経由して、「社会福祉法人 訪問の家」と同様の重度・重複の心身障がい者施設の全国約10か所の施設に毎年寄付を行なっています。

この寄付には、従業員の寄付活動「もっと何かできるはず基金」からの寄付金も加わり、2008年度から2015年度までに、延べ91か所、37,668,772円の寄付をしています。特に、2011年3月11日の東日本大震災以降のお客さまからのポイント寄付は、前年比1.624%と大幅に増加。2011年度以降の寄付は、震災孤児支援機関「みちのく未来基金」と、全国10か所の重度・重複の心身障がい者施設に広げました。

――人々が美しく健やかに過ごせる明日のために“もっと何かできるはず”―― 引き続きファンケルは、お客さまのポイント寄付をはじめ、従業員はもちろん、お客さまを巻き込んだ活動を通じて、「地域とハンディキャップ」を方針に社会とのつながりを大切にしてまいります。