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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年7月号

当事者からの声

「要介護認定は受けない」と宣告

上田孝

ヘルパー・妻に支えられた生活

私は障害支援区分6、重度訪問介護480.5時間の支給を名古屋市から受けている。2015年10月14日、重度訪問介護支給期間が65歳の前々日10月30日で切れることから、支給更新手続きを含め区役所と懇談し、「要介護認定は受けない」と伝えた。

今月5回目の障害福祉サービスの更新申請をした。名古屋市は、現在、2か月の暫定支給を繰り返している。

私は多発性内軟骨性骨形成障害による体幹機能障害だが、両上下肢にも機能障害がある。排尿・排便障害もある。食事は、スプーン・フォークで行うことができるが、朝は妻に食べさせてもらうことが多い。上肢は、右腕のみが動くが、この文章をパソコンのスクリーンキーボードとマウスで作成するのがやっとだ。手書きはできない。日常生活は、電動車いすの上だ、昼寝も車いすをチルト・リクライニングにして休む。

私の日常は、朝7時、リフトでベッドから車いすへの移乗で始まる。日中は愛障協事務所で障害運動に係るさまざまな仕事を18時まで(無給)。週2日は15時に帰宅し訪問看護(リハビリ)。事務所の電話取り・水分補給・トイレ介助・見守りはヘルパーだ。20時30分にヘルパーが訪問し、トイレ、脱衣、入浴、リフトでベッドへの移乗、傷の手当、就寝までを行い1日を終える。

私の日常を支えるのは、妻と妻の営む事業所のヘルパーだ。ただ、ヘルパー不足が深刻だ。ヘルパーがいない夜や休日が増えている。いない時は妻だ。

介護保険の利用となったら…サービス4分の1、利用料4倍

現在、利用している重度訪問介護の支給単位110995.5単位に対して、介護保険の要介護5の利用上限は36065単位。この中から、医療保険で利用している訪問看護(5436単位)、市から貸与されている特殊寝台(1900単位)が介護保険に移行されるため、28729単位が介護時間。単純に重度訪問介護の約25.9%だ。

利用料ではどうだろう。現在の障害福祉サービスの利用料は、妻が課税者のため9300円。介護保険の利用料は、高額介護サービス費を利用しても37200円の負担と4倍だ。

障害者総合支援法第7条は、介護保険の優先原則を言います。しかし、サービス4分の1、利用料4倍にする意味合いは何でしょうか。優先であるなら、必要で十分な介護時間がまずあるべきです。そして、利用料は無料であるべきです。

(うえだたかし 愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会(愛障協)副会長)