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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年9月号

ひろがれ!AP(Asian&Pacific)ネットワーク

去る7月11日(月)から22日(金)まで、戸山サンライズ及び日本財団において、日本財団アジア太平洋パートナーシップ事業ワークショップが開催された。ワークショップに参加したダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業研修修了生のうち、3人の方に自国での活動を伺った。

ベトナム LIFT YOU UPの活動

ダォ・トゥ・フオン〔7期生〕

私は、2012年に、ハノイの視覚障害のある学生のインクルーシブ教育を支援するために「LIFT YOU UP」(LYU)を設立しました。視覚障害のある4人の友達と設立して、現在は7人のスタッフが働いています。

活動内容

LYUを設立をして、まず、2つのプロジェクトを行いました。

1つ目は、視覚障害のある学生に支援してほしい教科や内容など、アンケートを取りました。アンケートは、ハノイ市内の全高校を対象にしましたが、視覚障害のある学生を受け入れているのは2、3の高校だけで、そこの生徒からニーズを聞き出しました。

ボランティアの学生には、支援できる教科や内容などを登録票に記入してもらいました。それを元にマッチングをして、1年間で20人の視覚障害のある学生の支援と60人のボランティアが参加しました。

ハノイには、盲学校が1校あるのですが、小学校から中学校までしかなくて、高校からは、一般の高校に行くしかありませんが、高校では支援がありません。私も中学校卒業後に高校・大学へと進みましたが、そこでは何の支援もなくて、とても苦労しました。

2つ目は、ブックタイピングの活動で墨字の本をデータ入力し、ソフトコピーにして音声で読めるようにするプロジェクトです。私はブックタイピングの活動をしていた時に、情報のバリアフリーがあることに気づきました。

DAISYプロジェクト

私は2013年から1年間、オーストラリアに留学しましたが、その間に、同僚がDAISYプロジェクトの準備を始めていました。

このプロジェクトは、災害削減マニュアルをDAISY図書にするもので、2015年10月からスタートしました。初めの3か月は準備期間で、今年の1月から正式にスタートしました。プロジェクトは、日本の支援技術開発機構(ATDO)との協働プロジェクトで実施期間は6か月です。技術支援はATDOから受けました。初めに1か月間、DAISYの基礎的な研修を受けて、その後、フォローアップ研修として、編集の仕方やトラブル発生時の対応を学びました。DAISY製作中の期間もATDOからさまざまなサポートを受けることができました。

このプロジェクトは、ドイツの災害関係のNGOから資金提供を受けました。実は、10年前にベトナムでDAISY研修会が行われましたが、その時は成果物がありせんでした。今回のプロジェクトで作成したマニュアルが、ベトナムで初めての成果物になります。すべての人にとってインクルーシブな災害削減マニュアルです。このマニュアルの配布はこれから行う予定です。

今後のこと

今、新しいプロジェクトの助成金申請の準備をしています。1つは、プリント・ディスアビリティのある大学生のための教材をDAISY化するプロジェクトです。もう1つは、大学のスタッフを日本とタイやマレーシアの大学の障害者支援室に送って、そこでDAISYとその支援の方法を学んでもらうというものです。

このようにプロジェクトを推進するためにも、LYUを正式にNGOとして登録し、DAISYの基幹的な組織になりたいと思っています。そして、プリント・ディスアビリティのある人に対する支援をしていきたいと考えています。

(まとめ 編集部)