音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年10月号

列島縦断ネットワーキング【秋田】

日本海の海岸と高原を楽しむ
~ハンドバイク・ツーリング in 秋田

巴雅人

7月23日(土)24日(日)の夏休み最初の週末に企画したハンドバイク・ツーリングは、この時期の日本海沿岸にしては暑いくらいの晴天に恵まれました。

昨年好評だった秋田県にかほ市・由利本荘市での開催とし、初日はにかほ市街地や海岸沿いの一般道を走行するツーリングで、コースは、主に小学生や初参加のための中間地点で、ヒーローショーやアイドルショーを楽しめるようにしたショートコース14kmと、海水浴場や名跡に立ち寄るロングコース30kmの2つとしました(写真1)。それぞれ、昨年と同じコースにならないよう、また参加者の体力に合わせて調整できるよう工夫しました。2日目は、高原の湖を周回できるサイクリングコースで5kmとしました(写真2)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真1・2はウェブには掲載しておりません。

参加者は、初日はハンドバイクが8人、自転車が7人、ランが1人、給水や自動車のサポートの15人でした。また、初日の夕方には秋田市の2年生がハンドバイクの体験を、2日目には2歳の子どもが、車椅子でご家族と一緒に湖の周りを走ってくれ、その子どもを担当している理学療法士は実際にハンドバイクに乗り、一緒にコースを走りました(写真3)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真3はウェブには掲載しておりません。

私たちが今回使用しているハンドバイクは、アダプター式といって、自身が使用している車椅子に、クランクやチェーン、ブレーキや変速機などが装備された前輪(普通の自転車では後輪部にあたる)を、クランプ等で車椅子前部に連結し、クランクペダル部を回して前進し、また、そのクランクをハンドルにして左右に操縦することができるものです。

ほとんどの車椅子に装着でき、変速機を活用してスピードを出したり、上り坂を登ったり、下りではクランクを握ったままブレーキを作動させることもできます。また、装着時に車椅子の小さなキャスターを地面から浮かせるため、路面の小さな段差や横方向への勾配は苦になりません。

このアダプタータイプの特徴は、車椅子からの着脱機能を使えば、途中のお店やレストラン、トイレなどが使用できるそうです。電車や自動車と組み合わせて、遠方へのツーリングも可能になります。

対象となる年齢は、経験値ですが、小学1年生くらいからサイズ的にも適用できることもわかってきました。また、ハンドバイクはパラリンピックの種目になっているので、より性能を追求した一体型のレースタイプもあります。

次に、ハンドバイクの魅力を紹介します。最大の魅力は行動範囲の拡大です。車椅子よりスピードを出すことができ、移動時間が短縮されますので、通常の自転車と同じような感覚で利用できます。

2つ目は健康効果です。車椅子使用者が普段使うことがない筋肉を使うことができます。また、新陳代謝の促進や姿勢の矯正、障がいによって陥りやすい運動不足の解消に役立ちます。3つ目は心理的効果です。軽快なスピードで移動することで、爽快感と共に気持ちが前向きになる効果が期待できます。走行する姿は見ていてもスピード感があり、すれ違う人には「カッコイイ」という言葉を頻繁にかけられます。ウエアやヘルメットのファッションも楽しめます。

今回のツーリングは天候にも恵まれ、全員がその目的のコースを走ることができました。また、ハンドバイクは公道を使用する唯一の障害者スポーツとなりますので、特に、小・中学生が参加しているコースには、家族をはじめとしたサポート体制をしっかりとし、出発前の講習を行い、安全な走行を第一に考えています。コース上の休憩地点や、車椅子で使用できるトイレの確認も大切になります(写真4)。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真4はウェブには掲載しておりません。

今回は、小・中学生の参加者に感想文を書いてもらいましたので、掲載いたします。(原文のまま)


「秋田でのハンドバイク合宿」

小学3年 鎌田優咲(かまたゆうさく)

ぼくは、23日から24日まで、秋田でのハンドバイクの合宿に行きました。

ぼくを合わせてハンドバイクは8人さんかしました。

その日とてもあつかったです。たぶん、30度い上は、あったでしょう。走るコースは、14キロメートルのショートコースでした。

上りざかは、お父さんと、友だちと歌を歌いながらがんばりました。あつくてもうへなへなでした。

一番心にのこったことは、おいしかった夜ごはんと、男子会です。

夜ごはんは、チョコレートのパンと、ハンバーグと、たこさんウィンナーと、ポテトサラダです。ぼくは、あまりパンは好きではないので、お母さんからは、ごはんをもらい、お父さんからは、さしみをもらいました。

男子会は5人でやりました。ポテトチップスを食べながらやりました。9時ぐらいまでゲームをやり、ちょっと休んで9時半ぐらいから、トランプで、ババぬきとじじぬきをやりました。男子会が終わったのは、11時ぐらいでした。その後、すぐにねました。

2日目は、山にのぼってツーリングをしました。はじめてトンネルをハンドバイクで通りました。

「おー!」

と、さけんでみたら広かったので、

「おー!」

「おー」

「お~」

と、ひびいておもしろかったです。

その後、わかれて、おんせんやゲームをしたのが楽しかったです。

来年の目標は急な上り坂を上れるようになることです。

「にかほでの思い出」

中学1年 岩佐陽菜(いわさひな)

私は、7月の23日、24日に秋田県にかほ市でサイクリングをしました。

1日目は、にかほ市内を走りました。去年行った時は、1日中ジュニアコースでしたが、今年は午後から大人コースに参加しました。ジュニアコースと違い、距離が長かったり、ゆるくて地味に長い坂があったりと大変なことがありましたが、海に行けたり、去年と違う景色が見れたりと大人コースならではの楽しみがありました。2日目は、サイクリングロードを走りました。走り始めてからしばらくすると暑くて体が動かなくなっていました。でも、休憩所の目の前にあった湖を見たら元気が出て、また体が動くようになり、楽しいサイクリングになりました。

今年は、去年と違ったにかほを知ることができました。来年も、にかほでのサイクリングをして、にかほについてもっと知りたいです。


ハンドバイクは新しいスポーツですので、全国的な普及はまだこれからです。普及のためには、各地で試乗会の開催や、サイクリング大会への参加を通して、当事者や家族、仲間との交流を重ねてハンドバイクの魅力を知っていただき、地域に根ざした活動を続けることが大切です。さらには用具の入手も大きな課題ですが、仙台市では今年、中学生の通学用として補装具給付の特例として認められました。広がってくれることを期待します。

東北ハンドバイク協会では、普及や啓蒙に力を入れて活動しています。今回のツーリングはその活動の一環で、今後も各地において、地元の方々にご協力をいただきながら開催していく予定です。

(ともえまさと 東北ハンドバイク協会代表)