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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2016年11月号

東京都福祉保健基礎調査の概要

堂薗桂子

東京都福祉保健基礎調査とは

統計調査には、国の行政機関が行う統計調査の一部を都が受託して行うものと、東京都自らが実施主体となって行うものとがあるが、本調査は後者であり、統計調査の企画から調査結果の取りまとめに至る一連の事務について、都が実施主体となっている。昭和42年度から実施しており、統計調査の中でも特に重要なものとして、東京都統計調査条例に基づき、都の「指定」統計調査となっている。

調査の目的は、今後の東京都の福祉保健行政における基本政策の策定や重要な計画の決定のための基礎資料を得ることである。福祉保健局が所管する分野の中から5つのテーマ(障害者、健康と医療、高齢者、福祉のまちづくり、子供と家庭)を設定して実施している。各年、いずれか1つのテーマについて調査を行い、同じテーマの調査は5年に1回のサイクルで実施する。

対象者はテーマに応じて住民基本台帳等から無作為に抽出した世帯である。

調査内容は、世帯構成や就労、住居、収入の状況など、対象世帯の状況を把握する項目と、各年のテーマに即した都民の意識についての項目から構成されている。

調査結果は、ホームページで公開するとともに、都庁の都民情報ルームや都内の各図書館で閲覧できる。

図 調査の流れとスケジュール
図 調査の流れとスケジュール 拡大図・テキスト

障害者をテーマとした調査

東京都では、「障害者の生活実態」をテーマとした調査を5年に一度実施している。

調査対象は、都内に居住する身体障害者、知的障害者、精神障害者及び難病患者である。平成25年4月に「障害者総合支援法」が施行され、障害の範囲に難病等が加わったことに伴い、平成25年度調査から新たに難病患者を対象として加えた。

調査項目は、障害者団体の代表や障害者本人にも検討委員になっていただき、ご意見を伺いながら決めている。東日本大震災後、最初の調査機会であったことから、これまでの調査項目に、災害時に不安に思うことなども加えて実施した。

都は、障害者が地域で安心して暮らし、いきいきと働ける社会を実現していくため、障害者基本法に基づく「東京都障害者計画」と障害者総合支援法に基づく「第4期東京都障害福祉計画」を一体的に策定しているが、この策定にあたり、本調査の結果を用いている。

障害者に対する次回の基礎調査は、平成30年度の予定である。

以下に、平成25年度東京都福祉保健基礎調査「障害者の生活実態」における主な調査結果をご紹介する(平成26年10月30日発表)。

主な調査結果

【身体障害者】仕事をしていく上で困ることは、総数では「通勤時の混雑」の割合が最も高いが、障害の種類によって困ることが異なる

仕事をしていく上で「困ることがある」と答えた割合は52.7%、「困ることは特にない」が43.3%であった。困ることの内容は、「通勤時の混雑」の割合が11.8%と最も高い。

障害名別にみると、視覚障害では「仕事の内容」(17.2%)、聴覚障害では「相手の言っていることが分からない」(46.2%)、音声機能・言語機能・そしゃく機能の障害では「相手に対して、言いたい内容が伝わらない」(45.9%)の割合が他の障害よりも高くなっている。また、肢体不自由(体幹)及び肢体不自由(乳幼児期以前の非進行性の脳病変による脳原性運動機能障害)では「通勤時の混雑」(29.4%、22.2%)、内部障害では「定期的な通院や健康管理との両立」(17.2%)の割合がそれぞれ他の障害よりも高いのが目立つ。

仕事の種類別にみると「困ることがある」の割合は、正規の職員・従業員で高く59.9%であった。

【知的障害者】地域生活をする上で「医療の充実」が必要と答えた割合は、20年度調査よりも8.5ポイント上昇し22.5%

地域生活をしたり、しようとする上で、必要な福祉サービス等は何かを聞いたところ「所得保障」の割合が28.0%と最も高く、次いで「障害者が暮らしやすい住宅の整備」が23.1%であった。

20年度調査との比較では、「医療の充実」の割合が8.5ポイント増加し22.5%となった。

【精神障害者】今後利用したい福祉サービス等は、「相談サービス(地域活動支援センターなど)」の割合が最も高く、20年度調査よりも2.3ポイント増加し22.0%

今後利用したい福祉サービス等を聞いたところ、「相談サービス」(22.0%)、「就労支援サービス」(20.5%)、「情報提供の充実」(17.9%)の割合が高く、20年度調査と比べて「相談サービス」の割合が2.3ポイント増加した。

年齢階級別にみると「就労支援サービス」の割合は30代で最も高く40.8%となっている。

【難病患者】仕事をしていく上で困ることは、「定期的な通院や健康管理との両立」の割合が29.1%で最も高い

仕事をしていく上で「困ることがある」と答えた割合は51.7%、「困ることは特にない」が44.1%であった。困ることの内容で最も高い割合だったのが「定期的な通院や健康管理との両立」の29.1%で、次いで高かった「急な体調の変化への配慮がない」の11.5%よりも17.6ポイント高かった。

仕事の種類別にみると、正規の職員・従業員では「定期的な通院や健康管理との両立」が36.7%と高い割合を示した。

(詳細は、検索サイトで「平成25年度 障害者の生活実態」と入力し、東京都のホームページでご覧ください。)

(どうぞのけいこ 東京都福祉保健局総務部情報化推進担当課長)