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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年6月号

17の目標のうち障害関連のターゲット

ゴール4:包摂的かつ公正な質の高い教育及び生涯学習の促進

福地健太郎

本稿ではゴール4を概観し、障害との関係について説明した後、実現に向けた筆者の期待を述べる。

ゴール4はSDGsの17の開発目標の枠組みの1つであるとともに、より詳細に2030年までの教育分野の取り組みを定めた仁川(インチョン)宣言と行動枠組みの目標として2つの枠組みを統合するものである。すべての人の質の高い初等・中等教育の終了(4・1)に始まり、就学前教育(4・2)、職業訓練・高等教育(4・3)、成人識字教育(4・6)と生涯にわたった教育への平等なアクセスが目指されている。

さらに、教育を通じた持続可能な発展、公正で包摂的な社会の実現が変革のための教育の役割として強調され、人間らしい働きがいのある雇用のためのスキルの獲得(4・4)、教育格差の解消(4・5)、平和・人権・環境への意識を育てる教育(4・7)というゴールが設けられている。

最後に、学習環境の整備(4・A)、開発途上国向けの奨学金の整備(4・B)、教員養成(4・C)等、実現手段についての目標が含まれている。

障害との関連ではまず4・5において、障害の有無、ジェンダー、所得等による教育格差の把握が目指されている。さらに、4・Aでは教材と設備をアクセシブルにするという、障害者権利条約等で示される環境による障害という視点に立った実現手段が示されている。

実現に向けて、まずは4・5で目され障害の有無による教育格差の把握のため、障害者の教育に関する統計が未整備である多くの開発途上国のデータ収集と分析能力の強化を期待したい。

次に、定量的に把握されるSDGsの指標に加え、障害当事者との協力や障害者権利条約の国別の審査等の既存のシステムを活用した多層的な進捗把握を期待したい。

最後に、SDGsは日本を含む先進国も取り組むべき課題である。SDGsへの取り組みは、障害者差別解消法の対応指針に示される障害に対応した環境整備や障害の有無等による教育格差の解消を促進し、日本においてもすべての人の社会参加を実現するのである。

2030年への教育目標は、障害児を含めた誰も取り残さない教育と、教育を通じた包摂的社会の実現を目指すものである。実現に向け筆者も微力を尽くしたい。

(ふくちけんたろう JICA北海道研修業務課)