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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年7月号

霞が関BOX

視聴覚障害者向けテレビジョン放送の普及を進めるための総務省の取組

総務省情報流通行政局地上放送課

視聴覚障害のある方をはじめ、すべての視聴者が、テレビジョン放送の内容を格差なく理解できて、情報アクセスの機会を均等に享有できるようにすることは重要であることから、総務省では、放送事業者における放送番組制作の実情を考慮しつつ、障害者団体と放送事業者の代表者を構成員とする研究会での検討を経て、平成19年(2007年)10月に「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」(以下「行政指針」といいます。)を策定し、平成29年度(2017年度)までの間に、

・字幕放送については、対象となる放送番組のすべてに字幕を付与

・解説放送については、対象となる放送番組の10%(NHK教育放送については15%)に解説を付与

すること等の普及目標を定め、放送事業者の取組を促しています。

この結果、平成27年度(2015年度)の字幕放送等の実績調査では、行政指針の普及目標の対象となる字幕番組の割合は、NHK(総合)で93.8%、在京キー5局で99.0%、在阪準キー4局で97.0%等、解説番組の割合は、NHK(総合)で11.8%、在京キー5局で8.4%、在阪準キー4局で7.6%等となっています。【図1、図2】

図1 字幕放送の実績
図1 字幕放送の実績拡大図・テキスト

図2 解説放送の実績
図2 解説放送の実績拡大図・テキスト

平成23年(2011年)に東日本大震災が発災し、大規模な自然災害においては、迅速・正確な情報の提供が何よりも求められ、通常の放送では十分な情報入手が困難な視聴覚障害者向けの放送が不可欠であることが改めて強く認識されたことを踏まえて、

・大規模災害等緊急時放送については、できる限りすべてに字幕を付与。さらにNHKについては、災害発生後速やかな対応ができるように、できる限り早期に、すべての定時ニュースに字幕付与

・手話放送の実施時間をできる限り増加させる等の取組を行う手話放送の目標を設定

すること等を内容とする行政指針の見直しを、平成24年(2012年)に行いました。

現行の行政指針は、平成29年度(2017年度)までの普及目標となっており、平成30年度(2018年度)以降の普及目標については、視聴者各層のご意見、放送事業者における放送番組制作の実情等を考慮しつつ、視聴覚障害者向け放送の更なる充実に資する検討を進める予定です。

総務省では、こうした取組とともに、身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)に基づき、国立研究開発法人情報通信研究機構が、

・字幕番組、解説番組、手話付き番組等を制作する者に対する番組制作費(放送番組に字幕を付与するための追加経費)の2分の1を上限とした助成金

・放送事業者に対するCM素材への字幕付与のチェックを行う機器の整備費用の一部助成金

を交付するための一般会計予算措置を講じております(平成29年度:3億円)。

CM番組についても、字幕付きCMを普及させるために、平成26年10月から、

  • 広告主(日本アドバタイザーズ協会)
  • 放送事業者(日本民間放送連盟)
  • 広告業者(日本広告業協会)

の3団体が連携して、より円滑な字幕付きCM素材の制作からオンエアまでの運用ルール等を取り決めるための「字幕付きCM普及推進協議会」を設立し、取組を進めていただいています。

今後とも、総務省としては、視聴覚障害のある方のご意見も踏まえ、これらの取組を推進しつつ、放送のアクセシビリティの向上に努めてまいります。