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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年9月号

地域と共に盲ろう者として生きる

小山賢一

私は、東日本大震災で被災した。震災から6年半、これまでの経験を振り返り、盲ろう者が災害時に直面する困難や必要とする支援、日頃から地域でできる備えについて考えていきたい。

災害発生時に盲ろう者が直面する困難とリスク

大地震や大雨や台風等災害の危険が差し迫っている状況下で、見えない聞こえない故に、その時の状況をリアルタイムで把握できない、避難情報等が入りにくい、自力での移動(避難)が難しい、外部と連絡がとれない、自由にコミュニケーションがとれず意思伝達、意思疎通が難しい、等が考えられる。特に、一人で過ごしている場合、孤立してしまうリスクが非常に高くなる。

災害に備えておきたいこと

1.普段、生活している地域の環境や状況を知っておく。2.緊急時の連絡手段、発信方法を確保しておく。3.情報取得方法を複数持つ。4.在宅時の身の安全確保と避難に向けた備え(身の回りの整理・非常時や緊急時に持ち出す物の準備・避難するタイミングの学習等)。5.地域住民、行政関係者、地域のコミュニティ団体に自分の障害の状態、困難な状況、ニーズ等を知ってもらう。6.日頃から福祉機器や福祉サービス、ボランティアサービスを利用する。7.地元の行事、障害者団体の活動や行事に参加し、住民とふれあう機会を作る。8.衣食住の生活力をつける。9.複数のコミュニケーション方法を少しでも身に付ける。10.地域や社会の情報に触れる。11.地域の防災訓練へ参加する。12.趣味や楽しみ、目標を持つ。

これらが一つでもできると「つながり」ができ、災害時や緊急時に必要な支援とつながる可能性があると考える。私が震災から生き延びることができたのは、普段から地域住民と関わり、地域住民が私が障害者であることを知っていたことが大きな力になっている。

地域で取り組んでほしいこと

盲ろうの障害への理解、必要な支援を把握し、いつでも支援ができるように盲ろう者をはじめ障害者と関わる機会を作ってもらいたい。盲ろう者が地域に存在し災害の発生が事前に予測できる場合は、直接の声がけ、避難支援、避難先で盲ろう者へのコミュニケーションと移動、情報保障の支援のためそばに付き添ってくれる方を確保してほしい。盲ろう者が自ら考え、判断して、自己選択ができるように、その場の状況等も説明してもらえると心理的なストレス軽減にもつながる。盲ろう者が楽しくコミュニティに参加できるよう、日頃、盲ろう者にもできる地域での役割を共に考えていければと思う。

(おやまけんいち 弱視難聴、宮城県石巻市)