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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2017年12月号

第4次基本計画 分野別の評価

雇用・就業、経済的自立の支援
~B型事業の現状と課題

村上和子

B型事業に関しては、「雇用・就業、経済的自立の支援」分野において、8月7日の第37回障害者政策委員会にて検討された。以下、就労継続支援B型(以下、「B型」)に関する発言をまとめ、課題を整理する。

基本計画について、内閣府は、地域で質の高い自立した生活を営むには就労が重要で、一般就労が困難な方には「福祉的就労の底上げ」による工賃の水準向上、また、雇用・就業の促進施策との適切な組み合せ、経済的自立の支援など、基本的考えを説明。

厚労省の障害者雇用対策課も同様に、福祉的就労の底上げにより、希望する働き方の実現を、障害福祉課は、優先調達・優先購入、農福連携を推進し、経営力強化に向けた支援や共同受注窓口をさらに推進し、それぞれの特性に合った就労、生産活動につなげたいと述べた。

対する委員の意見は、わずかに3点。

意見1:「福祉的就労の底上げ」はよいが「今後検討」(目標値)とあり、なぜ推進ではないのか。→【回答】工賃向上加算の問題(高い工賃を支払っていても、前年を下回ると評価されない)等、全体のあり方を検討。

意見2:現在、サービス管理責任者研修しかなく、就労支援に関する知識や技術、質を担保するため専門研修を修了し資格認定した専門の常勤就労支援員を置く体制を。→【回答】サービス管理責任者研修も当然、不断の見直しが必要なので取り組みたい。

意見3:「比較的軽度の人が利用する高い工賃の生活介護」と「比較的重度の人が利用する低い工賃の継続B型」の相違に構造的課題あり。福祉的就労の体系は、制度ができ十年経過しているので見直しが必要では。→【回答】昨年、見直したので次の法改正で。

第39回政策委員会では、全体を通した修正提案が求められ、「質の向上」の目標値が無いことが指摘され、再検討となっている。これらの議論を踏まえ、「福祉的就労の底上げ」を平均工賃額の向上で図り続けるならば、その作業内容を抜本的に改革するための事業所に対する各種支援策が急務だ。

それは大半が最低賃金法に基づく労働内容ではなく、内職作業をひたすら頑張るしかない労働環境だからだ。家内労働者の平成26年9月分の1時間当たりの平均工賃額は428円。23年度の500円より減り、全体の31.7%は200~400円未満である。1枚(個)につき数十銭~数円の手内職仕事のみで最低賃金の半額以上を目指す現実を直視し、B型利用者の障害特性に配慮した計画策定に大きく期待する。

(むらかみかずこ (社福)シンフォニー理事長)