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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2018年1月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●患者会のコミュニケーションはSNSを活用、他●

提案者:和久井美紀 イラスト:はんだみちこ

和久井美紀(わくいみき)さん

アイザックス症候群りんごの会代表。アイザックス症候群とは、全身の神経が興奮し、あらゆる筋肉がピクピクします。また、痛みを伴う強い痙攣が起こり、歩行や運動が困難となるため、日常生活に支障を来す病気です。治療法がないため症状が強い時には寝て過ごすことも多いのですが、一緒に闘っている仲間がいると思うと心強く感じ、勇気が湧いてきます。


患者会のコミュニケーションはSNSを活用

私たちの病気は患者数が少なく、全国に患者が散らばっていて体調が悪い時には動くこともままならないため、患者同士で集まることが困難です。

そこで、SNSを活用しています。今まではメールで情報を共有していたのですが、それでは一方通行になるため、最近はラインを活用しています。ラインでグループを作成し、知りたいことや共有したいことがあった時に送り、空いている時間に返信をして会話ができます。病気のことはもちろん、他愛のない日常会話やテレビで観たことなど、みんなで話せる内容であれば何でもOKです。

現在は、12人のメンバーが参加しています。遠く離れていても、調子が悪くて横になったままでも、SNSでつながっていることは、一人じゃないと思え、心強いです。SNS初心者でもみんなで教え合い、いつの間にか上達するという利点もあります。


外出先のコミュニケーションで心がけている「ありがとう」と笑顔

体調が良い時には、外出したいと思っています。私は歩くこともできるのですが、長い距離を歩いたり、体を動かすことが続くと、後で体が悲鳴をあげてしまうため、車いすに乗って行動しています。

車いすに乗っていると、あらゆるところでいろいろな方にお手伝いをしていただくことも多いです。その際に「すみません」ではなく「ありがとうございます」と言うように心がけています。

「すみません」だと悪いことをして謝っているような気分になります。「ありがとう」という言葉は、言った方も、言われた方も、気持ちが良い言葉だと思いませんか?

そして、笑顔でいることを心がけています。ムスッとした顔では誰も手を貸したくなりません。お互いが気持ちよく過ごせるよう、心がけることが大切だと思っています。


握力低下もグリップの工夫で解決

私たちの病気は、筋力も低下するため、握力が落ちてしまいます。そのため、それぞれいろいろな工夫をしていることをSNSで話し合いました。

ペンやスプーン、歯ブラシなどの持ちにくさを改善するために、高級樹脂粘土のモデナを活用し、自分の持ちやすい形に変えて使います。太い方が持ちやすくしっくりくる方が多いです。

他にも、既製品のくるくるグリップやくるくるシリコングリップを使い分け、活用している方もいました。これらは、らせん状のスポンジやシリコンのグリップで、場合によっては手に巻き付けることも可能なため、落とすことがありません。「こんなのもあったよ」とみんなで共有しています。

ペットボトルのキャップが開けられるかどうかが、体調のバロメーターになることもあります。