特集/総合リハビリテーション研究大会'87 開会挨拶

特集/総合リハビリテーション研究大会'87

開会挨拶

総合リハビリテーション研究大会'87
大会会長 太宰博邦*

 今回の「総合リハビリテーション研究大会'87」に皆様のご参加を得まして、大変ありがたく思っています。とくに、このほどは国際リハビリテーション協会から会長代理としてFang博士、事務総長のHammerman女史、それからアジア地域担当の障害者担当の副会長であるニュージーランドのStott氏のご参加を得まして、花を添えていただきました。ありがとうございました。

 この大会の主旨は、もうすでにご承知のとおり、我が国のリハビリテーションの進展に即応いたしまして、従来、私共が主催しておりました3つの研究会を統合いたしまして、従来それぞれの分野で活躍されておられますリハビリテーション関係の方々が、リハビリテーションの現状を総合的に把握していただくということと、国際的視野をもって将来を展望していただくといった機会を持とうということにあると存じます。

 ご承知のとおり、明年9月には、第16回リハビリテーション世界会議を東京で開催することに決定いたしております。これは、アジアで初めてのリハビリテーションの世界会議でありまして、全世界から約2,000名以上の方々の参加を予定しておるのでございます。その主議題、メインテーマは、「総合リハビリテーション──その現実的展望と将来展望」ということでございまして、おそらく我が国およびアジア地域に大きな刺激を与えてくれるものと確信いたしております。

 さらに、本年はご承知のとおり、国連障害者の10年のちょうど中間年、折り近しの年にあたります。総理大臣の諮問機関であります中央心身障害者対策協議会は、去る5月に過去5年間の前半を評価すると共に、あとの5年間についての重点施策を審議決定意見具申をいたしました。新聞によれば、昨日、内閣は今後の方針策を決定したわけであります。この中央心身障害者対策協議会の重点施策によりますと、前半の5年に相応の進展をみたことは、これを評価するにやぶさかでないということでありまして、障害者の基礎年金制度の創設、あるいは身体障害者福祉法の改正、あるいは障害者の雇用促進、これを従来の身体障害者からあらゆる障害者へ拡大するそういう法律の制度など例を挙げますれば、相当の進歩をあげたということは、私共言えると思います。

 しかし、なおそれにいたしましても、不十分な点が残っていることは否めません。そして、中央心身障害者対策協議会は後半の努力を促しておるのでありまして、例えば、社会の人々の障害者に対する理解を深める啓発活動、あるいは、非常に我が国で劣って、遅れておりました精神障害者対策の確立、あるいは障害者の生活環境の整備、さらにこれからは、国際化時代であります。国際協力の推進というものを指摘いたしおるわけであります。私共はこの折り返し点にあたりまして、過去を顧み、今後を展望いたします。

 まさに、本年、明年あたりは、いよいよ我が国リハビリテーション関係者の努力によって大いに今後飛躍させなければならないし、また、飛躍するであろうと思わるる時でございますので、こういう時に開かれましたこの会議、わずか2日間ではございますけれども、ご参会の皆様方のご協力によりまして、成果を納めることを期待いたしますとともに、各位の今後の一層のご尽力をお願いいたしまして、簡単ではございますがご挨拶といたす次第でございます。

 ありがとうございました。

*(財)日本障害者リハビリテーション協会会長


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1987年11月(第55号)3頁・4頁

menu