用語の解説 生活関連活動 ケースマネジメント

用語の解説

生活関連活動

 私たちの生活を振り返ってみると、基本的に誰もが毎日繰り返して行っている共通の活動がいくつかある。これらの活動を広義のADL(Activities of Daily Living:日常生活活動)というが、このADLは、狭義のADL(セルフケア=身の回りの世話)とAPDL(Activities Paralell to Daily Livingの略語)とに分けることができる。前者のセルフケアが食事や着替え、整容、トイレ・入浴などの、生活するうえで最低限、誰もが毎日行う必要のある身の回りのケアであるのに対して、APDLは、それ以外のもので、家庭生活を維持するのに必要な活動を指す。どのようなものかというと、矢谷の分類を参考にすると次のようなものがあげられる。

  • 1)家事活動
  •   炊事、洗濯、掃除など
  • 2)育児活動
  • 3)裁縫
  • 4)家屋の維持
  •   大工動作、電動器具修繕動作、買い物など
  • 5)庭の手入れ
  • 6)車・自転車・乗用車その他の手入れ
  • 7)外出
  •   交通機関の利用など
  • 8)コミュニケーション

 これらの活動は、セルフケアと違って、その人が持つ家庭内の役割や年齢によって、これらのうちの全てを行う人もいるし、一部だけ、またはほとんど行わないものもある。またそれを行う頻度に違いもある。

(栗原トヨ子/東京都立医療技術短期大学)

ケースマネジメント

 ケースマネジメントは、在宅高齢者のケアサービスを中心として、次のような要請に応えるために登場してきた。①積極的に保健・医療・福祉の各専門領域にまたがるケアパッケージを組立てねばならないこと、②行動様式も財政的な基盤も異なる各種のセクター(公的部門・民間団体・市場部門・インフォーマル部門)からのサービスを最適ミックスとすること、③生活の質の向上という観点から最も費用効果の高いケア体制を構築すること、④組織の論理よりも個人のニーズや心理的な満足感を中心に据えたケアを行うこと、⑤不適切な施設入所を防止すること、などである。これらは従来から言われてきた連携や調整を越えた側面を持ち、管理の意味を付した「マネジメント」が用いられるようになっている。なお、個人を管理するというものではなく、ケアの体制を管理するという意味から「ケアマネジメント」としている場合がある。

 具体的には、現業ワーカーの上に一定の裁量権(例えば施設入所経費の3分の2相当額を在宅サービスに使用できるなど)を持ったマネジャーが配置される。また、標準的なケースマネジメントの過程は、「ケース発見」「アセスメント」「ケア計画の策定」「サービスの配置」「モニタリング」「再アセスメント」という手順を踏み、クライエントとの継続的な関係を維持しつつ、諸サービスの単位経費も考慮したサービスのパッケージを提供していくものである。

(谷口政隆/日本女子大学)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1993年6月(第76号)50頁

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