音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

用語の解説

過用(overuse)

 活動性が不十分であることによって生ずるマイナスが廃用(disuse)であるが(本誌68号参照)、これとは逆に過度の負荷(訓練)によってもマイナスが生ずる。これが過用(overuse)である。既に1915年にLovettらによって、ポリオ患者での過度の運動・訓練で、むしろ筋力が低下してしまう過用性筋力低下(overwork weakness)が報告され、その後も臨床的、基礎的研究が行われてきたが十分に認識されていたとはいえなかった。それが1980年代のポストポリオ症候群の原因の探究によって再認識されたものである。過用性筋力低下は一般に筋力低下が著しいほど、また疾患の活動性が高いほど起こりやすい。正常動物・人間でさえ、過度または不適切な運動が筋損傷を生ずることがわかっている。

 問題は廃用と過用という対極にあるものをどう共に予防・治療するかであるが、それには①生活全体の②活発化、能力障害レベルの直接的なアプローチの重視(エネルギー節約的、代償的方法の重視)、③少量頻回訓練、④自己訓練(自主訓練ではなく)の指導が効果的である。なお、廃用と誤用の相関関係は、全身体力(心肺機能など)についてもほぼ同様である。

文献 略

(大川弥生/帝京大学市原病院リハビリテーション科)

老人保健施設

 医療機関に入院している老人の中には、病状が安定し入院治療の必要はないが、退院すれば家族の負担となるため社会的入院という形で入院している状況がみられる。しかし、寝たきり老人のためには医療サービスと生活サービスの両方に応える施設が求められているが、現状ではこれらのニーズに対応できない。そこで病院でも福祉施設でもない「中間施設」という考え方から生まれた老人保健施設は、急性期の治療の終わった老人の家庭復帰への橋渡しの機能を果たすのに相応しいサービスを提供する施設として1986年の老人保健法改正(施設は88年4月1日から施行)により新たにとり入れられた施設である。政府のゴールドプランでは平成11年度末(1999年)までに28万床目標に整備が進められている。

 対象者はリハビリテーション、介護を必要とする寝たきりの老人またはこれに準ずる状態にある老人である。

 施設運営に関しては、①老人の心身諸機能の改善、生活の質の向上を目指すこと、②入所機能と在宅支援機能を有する施設であること、③看護、介護ケア、家庭復帰のためのリハビリテーション・サービスを提供する専門職員が配置されていること、などについて厚生省令「老人保健施設の設備及び人員並びに運営に関する基準」が定められている。

 費用は本人負担の利用料および市町村長が支給する老人保健施設療養費により賄われる。療養費に関しては老人保健法上の医療給付と同様の負担割合(国:4/12、地方:2/12, 保険者:6/12)により財源措置される。

 今後の施設整備に関しては、施設の設置形態として病院の一部を老人保健施設に転換したり、病院や特別養護老人ホームに併設するなど福祉資源の有効活用を図るなど新しい設置形態についての試みがなされるとともに、老人保健施設には入所機能と在宅支援機能が幅広く付与されることに着眼し、地域の在宅寝たきり老人の多様なニーズへの対応についても模索されている。

(奥山元保/日本障害者リハビリテーション協会事務局長)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1994年3月(第79号)50頁