雇用確保に焦点を当てた障害の分野における人材開発

■特集■

 

雇用確保に焦点を当てた
障害の分野における人材開発

サンデイエゴ州立大学教授 Fred R. McFarlane


 障害を持つ人の願いはただ一つであり、それはできるだけ通常に近い生活をおくるための公正な機会を持つことである。失敗をしたとしても、それはそれで良い。少なくとも自分でやってみるチャンスを持つことができるのだから。これは多くを求めすぎているだろうか。」

(ガルシア、1996)


 リハビリに携わる人々は、障害をもつ人々が社会参加の機会をもち、かつ「公正なチャンス」を与えられるよう支援し、応援する。この役割を果たすことは、一つの技を要することであり、単なる科学的計算だけではなし得ない。私たちは誰一人としてすべての障害をもつ人々の個々のニーズを予測することはできない。現代社会は大きく、急速に変化している。私たちは今後の技術や医学の進歩も想像することしかできない。ヘルスケア提供のし方が変わりつつあり、管理ケアの出現で 私たちの地域社会にも重大な影響が及ぶ(ローゼンバウム、1997)。労働市場の需要や地域社会は、常に変化している(リフキン、1995)。社会政策とヘルスケア分野における政府の役割は、変わりつつある。多くの国が社会保障制度の見直しを行っている。障害をもつ人々のニードや期待、また地域社会との接点も常に変化している。リハビリに携わる人々は、地域社会におけるこれらの変化とそれにともなって変化する障害をもつ人々の期待を認識し、対応していかなければならない。
 障害は、人間のおかれている状態の一側面である。私たちの日常の一部であり、社会と文化の一部である。国連は(1996年)「世界には2億5000万から3億人の重い、もしくは軽い障害をもつ人々がいると推定されている。世界銀行によれば、重度から中から軽度までの障害をもつ人のおよそ3分の2が貧困の生活を送っている」ということである。障害に関する政策や慣行は、私たちの社会が個人にそれぞれ特有の状況にどう対応しているかを示すものであるか、もしくは対応できていないことを示すものである。政策や慣行の違いが社会や文化を形づくる。私たちは、リハビリに携わる人々の役割が常に変化するものであることを現実として受け入れる。ようやく私たちは、学習と変化は私たちすべてが生涯にわたって経験するものだと認識するに至ったのである。
 一つ確かなことがある。それは障害をもつ人の中には、これからも家族の熱意と支えや、政府、非政府組織などの支援に支えられながら、私たちの地域社会の完全な参加者になるべく努力をしていく人がいるということである。一人ひとり皆「公正なチャンス」を望んでいる。一人ひとりに公正なチャンスが与えられてしかるべきである。障害の程度がどんなものであろうと、皆それぞれよいところがあり、私たちの地域社会への貢献が可能である。政策立案者、行政官、リハビリ専門家、教育者一人ひとりの課題は、障害をもつ人々に平等のアクセスと、機会と支援を与えることである。つまりは、一人ひとりがその「公正なチャンス」を持つ必要があるということである。
 

対象者と環境が私たちの役割を決定する

 リハビリに携わる人々の役割を定義するには、まずその仕事の対象となる人々のニーズが何かに注目しなくてはならない。障害者の職業リハビリの点から考えるならば、主として二つの対象となる人々がいる。一つは障害をもつ人たちであり、もう一つは障害をもつ人々の雇用主である。もちろん、この他にもリハビリ専門家の役割に影響を及ぼすものとして考慮すべき人たちもある。たとえば、政策立案者、資金の提供者、様々な非政府組織のスタッフ、我々以外の障害者ケアやリハビリに携わる人々、教育者、そしてそれぞれの社会の市民達などである。しかし、職業リハビリについての考察をするのに常にその中心的対象とすべきは、障害をもつ人とその雇用主である。その人たちのニーズと期待こそ、我々の出発点でなくてはならない。
 障害をもつ人は、以下のものを求めている。

 ・機会
 ・キャリアにつながる雇用
 ・理解と支援
 ・専門知識と必要に応じた対応体制
 ・平等な処遇
 ・リソースへのアクセスとそれを基にした行動
 ・他に配慮すべき人々との協力


 すなわち、障害をもつ人は、私たちが互いに日常の交流で求めるようなことを求めているのである。一人ひとりが評価され、尊敬されることを望んでいる。自らのリハビリにあたり自ら責任を持ち、等しく関わることを望んでいる。障害をもつ人は、リハビリ・プロセスの対象物ではありたくないのである。少なくともこのプロセスにおける平等なパートナーでありたいのである(Szymanski and Parker, 1996;Scherer, 1996;Maddy-Bernstein, 1997)。Wilhite(1995)によれば、地域社会で働いている人また家族のために貢献することができている人はより生きがいのある生活を送っていると語る。ただ今日の生活を支える仕事ではなく、将来は完全な社会参加ができるキャリアがほしいのである。
 もう一つの主要なグループ、すなわち雇用主についても同様の分析をしなければならない。現在また将来の雇用主が従業員に求める技能には、次のようなものがある。

 ・より高い生産性と技術的技能
 ・より高い責任能力と柔軟性
 ・口頭および文書をもっての意志疎通能力
 ・複雑な複数の作業の管理能力
 ・コンピュータ技術などを使う能力
 ・自己管理能力
 ・消費者の多種多様なニーズや期待に応える能力
 ・協調性(チームの一員として仕事をする能力)
 ・やる気と頑張り


 EU(欧州連合)が最近出した出版物においても言及されたように、著者は次のように書いている。
 「雇用がもっとも急速に増えているのは……比較的高い教育と訓練を受けている人々であり、教育や技能レベルの低い人々の雇用は減少傾向にある。」(Employment in Europe, 1996, p.20)
 雇用主は、現在そして将来ともに貢献のできる人材を求めている(Wilson and Davis, 1994 Rifkin, 1995)障害をもつ人々は、現在、将来ともに独立し、生産的であるために「公正なチャンス」を得る機会がほしいのである。
 

人材開発における中心的価値

 リハビリに携わる人々の人材開発について総合的なアプローチを開発するに当たっては、個人の学習と私たちがお世話する対象となる人々への対応において何が一番大切か、中心的価値を定義する必要がある。はっきりとした価値観なくしては一貫性のある姿勢、知識、技能をもって質の高い学習を実現することはできない。教育者として、私は、いかなる学習の場においても以下の価値観がもっとも重要であると考える。

 ・学習経験が学習者中心であること―教師中心ではない
 ・学習者自身が責任を持って学習すること
 ・学習は継続的なものであり、生涯継続するものであること
 ・物事に対する姿勢、知識、技能は度重なる学習経験を通して身につき、維持していくものであること


 障害の分野における人材の開発においては、すべての学習が上記の中心的価値観を反映するものでなくてはならない。
 では、雇用に焦点をおいた障害分野における総合的人材開発のプロセスにおいては、これらの中心とすべき価値観は、どのような具体的形を取るのであろうか。教育者として、私達はまず、将来の学習者(すなわち障害の分野に参入しようとしている人)と、現在リハビリに携わる人々(すでにこの分野にいる人々)を特定する。教育訓練の対象となる人々を特定したならば、その一人ひとりの姿勢、知識、技能を、二つの主な考慮対象グループ、すなわち障害をもつ人と雇用主を念頭に評価する。その上で学習計画を立て、実施する。この学習計画には、この分野で求められる能力を特定し、実際の場面で期待されるレベルの能力を身につけさせるための戦略を盛りこむ。リハビリ従事者は、このような訓練を受けることで、能力を高め、あらゆる関連グループへの対応能力をも高める。
 総合的な人材開発を行う上で、まず難しいのは、人選である。次に難しいのは、選ばれた人々に、最終的な雇用の確保を念頭においた上で、障害政策と障害をもつ人に対するサービスの供給体制を理解させることである。さらには第一義的対象グループと政策立案者、保険会社、リハビリ周辺要員、家族などたくさんの第二義的関係者の期待を理解させることが重要である。最後に、複数の教育制度とのつながり、本人の学習計画、学習の進歩の継続的評価、また教育者の使用する情報のベースや能力が変化することを理解する必要がある。
 これらの中心的価値観が体系的な人材開発の基盤となるのであり、これらの価値観、本人の学習計画、教育戦略、また計画通りの成果がどこまで上がっているかを継続的に評価することが重要である。個人の学習計画と能力の開発は、リハビリ従事者に必要な特性と連結させたものでなければならない。
 

現在および将来のリハビリ従事者

 現在および将来のリハビリ従事者は、二つの第一義的対象グループとそのサポート・グループを考えた場合、どのような特性を備えていることが望ましいか。今日、また将来必要とされる技能は、これまで必要とされていた技能とは異なる。これからは、協力できる能力と、率先して物事にあたれる能力が求められる。情報を特定し、アクセスすることができ、他の人々と専門知識を分かち合うことができなければならない。物事を調べることについては専門家であり、その促進においても達人である必要がある。優れた自己管理能力をもち、時間と資源とエネルギーの良き管理者である必要がある。そして、現実主義の視野が求められる。すなわち楽観主義であっても悲観主義であってもならない。障害をもつ人と雇用主との間に「どちらもが勝利する」関係を構築すべく仲介役となるのである。
 今日、また将来のこれらのリハビリ従事者は、どんな姿勢、知識、技能をもつべきであろうか。リハビリ従事者の持つべき姿勢は、次のようなものが求められる。

 ・自らも継続的学習を心がけ、障害をもつ人に対してもそれを勧める人である
 ・障害をもつ人の良き資質に目を向ける(すなわち長所の強調)
 ・障害をもつ人の身体的、心理的健康を支援する(エンパワーメント)
 ・チームの一員として仕事をし、仕事そのものに対しても、仕事の環境に対しても柔軟に対応できる(すなわち包含、協調、協力の精神をもつ)
 ・同僚や消費者の文化やライフスタイル、価値観、生い立ちなどが多種多様であることを認識する(多文化主義であり、多様性を尊重すること)
 ・ 環境に合わせて障害をもつ人を変えるのではなく、消費者や障害をもつ人、雇用主のニーズに合うよう環境を変えるよう努める


 知識の観点からは、リハビリ従事者は、次のような点を理解する必要がある。

 ・今日も今後も、生産性と仕事上の技能と能力について雇用主が期待し求めること
 ・組織や社会の機構を理解すること
 ・個人個人についての医学的、心理学的、社会学的側面についての情報
 ・法律、権利、人権擁護のプロセスを含む政策情報
 ・情報に基づいた教育や将来の雇用についの個人の選択を可能にするキャリア・アセスメント戦略
 ・リハビリ分野の慣行の調査研究内容とその意味について


 技能の観点からは、リハビリ従事者は、次のようなことが求められる。

 ・日常生活のあらゆる面において批判的思考ができる
 ・ケースマネジメントの戦略と技術をもつ
 ・消費者、同僚、雇用主、その他の組織のパートナーと効果的に意思疎通を図る能力をもつ
 ・情報アクセス技術の利用、専門分野の知識の向上、多数のグループや個人との意思の疎通


 核となる価値観と主要な二つの対象グループのニーズと期待との観点から、以上のような姿勢、知識、技能をあわせもつことがきわめて重要である。これらの要素がリハビリ従事者の総合的な育成を実現し、生涯にわたる熱意を生み出す枠組みを造るのである。
 

リハビリ従事者の総合的育成のための枠組み

 障害をもつ人たちの雇用確保に重点を置きつつ、有資格のリハビリ従事者を確保するには、次の四つのグループの協調が必要である。(A)障害政策立案者、(B)リハビリ従事者の雇用主、(C)リハビリ従事者と、(D)リハビリ従事者の教育者である。
 次のようなことが、それぞれのグループに期待される。
 

 (A) 障害政策立案者:

 法律、政策、規則、また政策上の指令や指導要綱の作成にあたっては、政策立案者は、常に資格を備えたリハビリ従事者に関する基準を考慮しなければならない。使用する言語は明確であること、法律の意図するところが明瞭であること、かつその政策の実施に必要な人的、経済的資源が確保されていること。評価基準の策定にあたっては、リハビリ従事者の質と能力は、明確に記述されなければならない。様々な関係グループのニードを特定し、それに基づいて政策を立案する必要がある。このアプローチでは、「逆むき計画策定」の原則を実行する必要がある。すなわち障害をもつ人と雇用主がニーズと期待をもつのであり、それに従って、政策立案者が政策を立案するのである。
 

 (B) リハビリ従事者の雇用主:

 雇用する側がリハビリ従事者の資格を特定するのであるから、雇用主は能力の基準を考慮する必要がある。第一義的および第二義的対象グループのニーズを明確にし、採用と雇用維持の決定に反映させる必要がある。すでに雇用されているリハビリ従事者については、継続的教育を与える必要がある。監督者は、常時最善のリハビリ・サービスが提供できるよう努力する必要がある。監督者と評価者としてだけでなく、コーチとして、また助言者としての機能を果たす必要がある。雇用主は継続的に制度や技術を更新し、組織の現状対応能力を維持しなくてはならない。リハビリ従業者の支援のため、継続的な組織の評価と改善を行うメカニズムが必要である。雇用主は、期待する成果を明確に定義し、測定し、継続的にリハビリ従事者に情報のフィードバックをする必要がある。
 

 (C) リハビリ従事者:

 リハビリ従事者は率先して生涯学習に取り組む必要がある。リハビリの分野の慣行については倫理を守り、同僚にも同じ倫理観を期待すべきである(Backwell, Martin, & Scalia, 1994)。第一義的対象グループに対する対応能力を高める努力が必要である。プログラムの評価に参加し、同僚と共に検討を重ね、継続的改善と生涯学習の原則を強化する必要がある。
 

 (D) リハビリ従事者の教育者:

 教育者は、リハビリ従事者の現在および将来のニーズを満たす教育課程を策定しなくてはならない。教師中心の指導から学習者中心の指導へと焦点を移す必要がある。成人学習の原則が教育戦略のベースであるべきである。教育者は、批判的思考と自発的学習を強化し、促す環境を作り出さなければならない。また自分の資格維持と知識の更新のため、自らも学習を継続しなければならない。
 以上四つのグループの関係は、一貫した人材開発アプローチを取る上できわめて重要である。障害政策の立案者とリハビリ従事者の雇用主との関係は、総合的人材開発のためのシステムに法律的、組織的基盤を与えるものである。リハビリ従事者と教育者との関係は、このシステムに学習上の、また人間としての交流の基盤を提供する。四つのグループ全体の相乗的関係は、総合的人材開発制度構築の基礎となる。このような関係は、雇用の確保を主眼とする障害分野の状況を改善する。
 

リハビリ従事者の総合的開発のための教育の枠組み

 この教育の枠組みには四つの柱がある。すなわち正式な教育、専門職としての認定、継続教育、そして自主的学習である。
 柱の第一は、高等教育機関を通してのきちんとした教育である。この柱には、きちんとした学位制度が必要である。アメリカでは、この制度は大学院の教育の一環になっている。大学院レベルの学位取得の基準は、リハビリ教育委員会(CORE,1994)が策定する。COREが定める教育課程の内容は、以下の種類のものがある。
 ・リハビリ・カウンセリングの基礎
 ・カウンセリング・サービス
 ・ケース・マネジメント
 ・職業およびキャリア開発
 ・アセスメント
 ・職業開発と職場紹介
 ・研究
 正式な学位取得のためのプログラムは、2年から3年のコースで、様々な座学授業と経験学習が組み合わされたものである。臨床技能とインターン体験も、この学習の中に統合されている。正式な教育は、理論と実践をあわせたものである。知識と行動を結びつけさせるべきであるからである。
 第二の柱は、専門職としての認定である。能力に関する最低基準を策定することが、リハビリ従事者全員に共通して求められる知識と技能のベースラインを確保する上で重要である。測定すべき能力の分野には、次のようなものがある(CRCC、1996)。

 ・職業・雇用相談サービス
 ・医学知識・社会心理学の知識
 ・個人・集団カウンセリング
 ・プログラムの評価と研究
 ・ケース・マネジメントとサービスのコーデイネーション
 ・家族、性差、様々な文化に関する知識
 ・リハビリ・カウンセリングの基礎
 ・労働災害補償
 ・環境と人々の姿勢に見られる様々な障壁
 ・アセスメント


 この柱のもとは、リハビリ・カウンセラー認定委員会(CRCC)の基準である。認定要件により、最低基準能力を審査する制度ができている。また認定後は、最低基準を継続的に満たしていることを確認するため、5年毎に再認定が必要とされる。
 第三の柱は、継続教育である。第一と第二の柱が第三の柱の基礎である。継続的教育は第一義的また第二義的対象グループの現在および将来のニーズを満たす必要がある。障害の分野における雇用という観点からは、この教育の内容は、雇用主の期待、現状、労働市場の情報、そして、新しいキャリア・アセスメントの方法を重視したものでなければならない。障害に関する知識について、障害の程度、環境要因との関係(Liss & Kewman, 1996)における障害をもつ人々の現状(WHO, 1980)について継続的な教育が行われる必要がある。ケース・マネジメントの技能は、継続的に向上させる必要のある技能である。現在の雇用に関する選択枝を理解することが大切である。たとえば自営業、援助付き雇用、職場早期復帰戦略、ならびに今日また明日の労働市場で求められる技術的、概念的技能などである。このようなリハビリ従業者が日常責任を持つべき事柄は、体系的継続的教育を行うことで改善し続けることができるものである。
 第四の柱は、自主学習である。リハビリ従事者は、自ら生涯学習を進める責任があることを認識し、受け入れなくてはならない。この価値観は、他の三つの柱のそれぞれにとって必要不可欠である。リハビリの専門家が自らの学習に積極的に参画する必要がある現実を反映するものである。インターネットやワールドワイドウェッブ(WWW)の技術的進歩に遠隔学習、CD‐ROM、専門書、また数々の教育のリソースや参考書などにより、リハビリの専門家には膨大な学習の機会がある。この柱は、専門家の自主的行動を基盤としている。個人の学習に関する中核的価値観によって強化され、雇用主の要求と期待を反映するものである。
 第一と第二の柱は、公的な組織的制度であるが、第三と第四の柱は個人中心の構造をもち、それぞれのリハビリ従事者によって異なる特性をもつ。
 

雇用における人材開発の今後

 人材開発は、継続的な見直しと、改善と変更を必要とするプロセスである。障害分野における第一義的また第二義的対象グループのメンバーに対して常に必要に応じた対応をするには、常時変化が要求される。これらの変化に対応するのは、我々の過去や現在を拒否することではなく、我々の未来に対する対応である。人材開発の基準を設定するには障害政策を明確にしなければならない。知識や技能がもっともふさわしく実用的であるためには、継続的フィードバックのシステムを完全に実施しなければならない。リハビリの従事者は学習をし、変化をとげたときには報いられるものでなくてはならない。人材開発のアプローチは体系的であり、一貫性を持ち、継続的に改善されるものでなくてはならない。
 障害政策において、障害をもつ人とリハビリ従事者双方に等しいアクセスを与えるべきことを明示し、そして両者に対する期待を明確にできたとき、私達は成功を収めたと言える。雇用主が採用や雇用の慣行において、リハビリ従事者を不可欠の存在であると考えるようになったとき、私達の努力は実ったと言える。障害をもつ人たちが自ら地域社会に溶け込むためにはどうしたらよいかとリハビリ従事者に支援を求めにきた時、私達は成功したと言える。障害をもつ人が障害をもたない人と比較して、同じ比率で雇用されるようになった時、私達は成功したと言える。障害をもつ人にとって、環境上の障壁が消えた時、私達は成功を収めたと言える。そして障害をもつ人から「あなたがたは私に公正なチャンスを与えてくれた」と言われた時、はじめて私達は成功したと言えるのである。
 

(訳・石黒弓美子)
監訳 日本障害者リハビリテーション協会

 


 

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1997年8月(第92号)27頁~32頁

 

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