アメリカにおける障害児教育改革-第17回議会年次報告から-

■特集■

 

アメリカにおける障害児教育改革

-第17回議会年次報告から-

淑徳大学 小鴨 英夫

 

1.連邦政府からの補助金

 アメリカ合衆国の障害児教育は、「障害児教育法(Individuals with Disabilities Education Act, PL101-476)」及び「初等中等教育法(The Elementary and Secondary Education Act, PL91-230)」の2つの法律によって、財政的に連邦政府より州への援助が行われている。
 障害者教育法のパートBによる連邦政府から州への補助金は、1994会計年度の間に、21億4,900万ドルに上り、児童生徒1人当たりにすると413ドルで、過去3年間と比べあまり変わらない額となっている。
 また、初等中等教育法のChapter1による州への補助金は、児童生徒1人当たり387ドルであった。
 1994会計年度の補助金の総額は22億6,700万ドルとなり、前年度より8,740万ドル増加した。しかし、政府支出金の上昇する一方、このプログラムの対象児童生徒数も増加を示した。
 

2.対象児童生徒数

 各州において適切な公教育(特殊教育と関連サービス)を受けている障害児童生徒の総数は次の通りである。
 1993~94年度の障害乳幼児、児童、生徒の総数(出生から21歳まで)は、およそ537万3,000人で、前年度より21万7,000人の増加(4.2%)を示している(表1)。これは1976年に、このプログラムが開始されて以来、最高の年間増加を示している。表2からも明らかなように、0~2歳児の年齢層が25%(18,757人)も増加していることが影響している。

表1 障害児教育の対象児の年度別変化と総数
年度 前年比(%) 対象者総数(人) パートB(人) chapter1(SOP)(人)
1976~77
1977~78
1978~79
1979~80
1980~81
1981~82
1982~83
1983~84
1984~85
1985~86
1986~87
1987~88
1988~89
1989~90
1990~91
1991~92
1992~93
1993~94

1.8
3.8
3.0
3.5
1.3
1.5
1.0
0.5
0.2
1.2
1.4
1.8
2.4
2.8
3.7
3.4
4.2
3,708,601
3,777,286
3,919,073
4,036,219
4,177,689
4,233,282
4,298,327
4,341,399
4,363,031
4,121,104
4,421,601
4,485,702
4,568,063
4,675,619
4,807,441
4,986,043
5,155,950
5,373,077
3,484,756
3,554,554
3,693,593
3,802,475
3,933,981
3,990,346
4,052,595
4,094,108
4,113,312
249,104
4,166,692
4,226,504
4,305,690
4,411,681
4,547,368
4,714,087
4,886.411
5,095,514
223,832
222,732
225,480
233,744
243,708
242,936
245,732
247,291
249,719
249,140
254,909
259,198
262,373
263,938
260,073
271,956
269,509
277,563

 

表2 年齢グループによる児童生徒数
年齢 児童生徒数 変化 出生より21歳ま
での各年齢層の
パーセント
1992~93 1993~94 人数 パーセント
0~2
3~5
6~11
12~17
18~21
0~21
74,830
455,529
2,399,917
1,990,096
235,578
5,155,950
93,587
493,425
2,464,237
2,079,475
242,353
5,373,077
18,757
37,896
64,320
89,379
6,775
217,127
25.1
8.3
2.7
4.5
2.9
4.2
1.7
9,2
45.9
38.7
4.5
100.0

 6歳から21歳の児童生徒の96%はパートBの補助金により教育されているが、障害のカテゴリーにより、2つのプログラムへの児童生徒の分散がかなりみられる。すなわち、言語障害、学習障害、健康障害、重度情緒障害、精神遅滞、そして肢体不自由のほとんどの生徒(90%以上)は、パートBの下での補助金により教育されている。これに対して、盲・聾(38.7%)、聴覚障害(25.1%)、視覚障害(21.4%)、外傷性脳損傷(20.7%)そして自閉症(20.6%)はChapter1の補助金により教育されている。この違いは、歴史的に中度と重度の障害児はChapter1のプログラムの下で教育を受ける者が多かったことによるものである。

 (1)年齢グループ

 パートB及びChapter1の2つのプログラムにより教育されている児童生徒の年齢層では、6~11歳(2,464,237人)と12~17歳(2,079,475人)の2つのグループが最も多い。全体として、4.2%の増加である。6~21歳の層は全体の89.1%を示しているが、前年比は3.5%の増加である(4,625,591人から4,786,065人)。
 最高の伸び率を示しているのは0~2歳(74,830人から93,587人)の25.1%と3~5歳(455,529人から493,425人)の8.3%である。0歳~5歳までの障害乳幼児は、特殊教育対象全児童生徒数の10.9%であるが、伸び率は33.4%の成長をみせているのである。0~2歳児の数の増加は、早期介入プログラムの発展に帰することができる。

 (2)障害カテゴリー

 1993~94年度では6~21歳の児童生徒の数は4,786,065人であるが、これを障害カテゴリー別にみると、全障害の半数は学習障害(51.5%)で前年度より3.3%増となっている。次いで言語障害(21.1%)、精神遅滞(11.6%)、重度情緒障害(8.7%)の順で、この3障害で41.4%を占めている。

表3 障害別児童生徒数
障害名 変化
1992~93 1993~94 人数 パーセント
特異性学習障害
言語障害
精神遅滞
重度情緒障害
重複障害
聴覚障害
肢体不自由
その他の健康障害
視覚障害
自閉症
盲・聾
外傷性脳損傷
2,366,494
998,049
532,365
401,659
103,279
60,616
52,588
66,063
23,544
15,580
1,394
3,960
2,444,020
1,009,379
553,992
414,279
109,746
64,249
56,616
83,279
24,935
18,903
1,372
5,295
77,526
11,330
21,627
12,620
6,467
3,633
4,028
17,216
1,391
3,323
-22
1,335
3.3
1.1
4.1
3.1
6.3
6.0
7.7
26.1
5.9
21.3
-1.6
33.7
総計 4,625,591 4,786,065 160,474 3.5

 前年度比で増加の多いものは、外傷性脳損傷(33.7%)、健康障害(26.1%)、自閉症(21.3%)、肢体不自由(7.7%)、重複障害(6.3%)、聴覚障害(6.0%)、視覚障害(5.9%)などで、これらは全体の平均増加率3.5%を上回っている。
 上記、外傷性脳損傷、健康障害、そして自閉症は、全障害児の3%以下を数えるに過ぎないが、これらは最も急速に成長をみせているカテゴリーである。脳損傷と自閉の増加の割合が高いのは、最近このカテゴリーが設けられたばかりで、その事実を反映しているものと思われる。また、健康障害の数の増加は、サービス人口の増加の結果と思われる。特に注意欠損障害(ADD)を有すると認められる生徒数の増加が指摘されている。
 

3.障害児の教育措置の状況

 障害者教育法のパートB及びその施行規則では、「公立、私立の学校や施設にいる子供を含め、障害児は最大限、適切に障害をもたない子供と一緒に教育されねばならないこと。そして、障害の性質や程度が補助器具やサービスを使用しても普通学位での教育が満足に達成できない場合にのみ、特殊学級や特殊学校(分離教育)、普通教育環境からの移転が行われる(300~550)」とし、さらにパートBの施行規則では、「障害児のニーズを満たすために、特殊教育や関連サービスが代替の措置の連続性を確保することを保障しなければならない(300~551)」と明記している。
 毎年、特殊教育局(OSEP)では各州における以下の6つの教育環境におかれている障害児のデータを収集している。
 (1)普通学級
 (2)リソースルーム(特別指導教室)
 (3)特殊学級
 (4)公私立の特殊学校
 (5)企私立の寄宿制施設
 (6)在宅、病院

 これらのデータは、3~21歳の年齢グループ、及び6~21歳までの障害別のものである。
 (1)は、生徒は大部分の教育を普通学級で受け、普通学級以外で特殊教育と関連サービスを授業時間の21%を越えない観囲で受ける。この中には、普通学級に在藷し普通学級の外で特殊教育を受ける子供と同様に、普通学級に在籍し普通学級の中で特殊教育を受けている子供も含まれる。
 (2)は、授業時間の21~60%の範囲で、普通学級以外で、特殊教育と関連サービスを受けている子供が含まれる。これには普通学級の中で、ある限られた時間だけ(パートタイム)リソースルームで指導を受ける子供が含まれる。
 (3)は、授業時間の60%以上を普通学級以外で、特殊教育と関連サービスを受けている子供が含まれる。生徒は普通学級の中で、パートタイムの指導を行う固定式特殊学級や普通学校のキャンパスでの全時間制の固定式学級に措置されている。
 (4)は、授業時間の50%以上を障害児のための学校で、特殊教育や関連サービスを受ける生徒が含まれる。
 (5)は、授業時間の50%以上を公費で、公私立の寄宿制施設で教育を受けている生徒が含まれる。
 (6)では、病院や在宅プログラムの中で措置きれ、特殊教育を受けている生徒が含まれる。
図1 年度別障害児(6~21歳)の教育措置状況
 過去5年間に、図1にみるように普通学級への措置はおよそ10%増加をみせている。一方、リソースルームの利用は減少し、その他の措置は変わらない。普通学級への措置されている生徒数の増加をみせているのは、カリフォルニア、インデイアナ、ニューヨーク、ミネソタの各州である。カリフォルニア州では、1991~92年から92~93年にかけてリソースルームは大幅な減少を示したのに対し、普通学級への措置が100%増加したと報告されている。
 1992~93年には、パートBとChapter1の下での6~21歳の障害児の普通学級措置率は、39.8%であった。そして、リソースルームは31.7%、普通学校の中の特殊学級が23.5%であった。このことから障害児の95%の生徒が、普通学校の建物の中で教育されていることが明らかである。また、障害生徒のうち、別の施設で教育されている者の内訳は、障害児通学制学校が3.7%、寄宿制施設が0.8%、そして在宅・病院が0.5%であった。
 

 (1) 年齢別の教育措置の状況

図2 年齢別障害児の教育措置の状況

表4 障害児の障害別の教育措置の比率
障害名 普通学級 リソースルーム 特殊学級 特殊学校 寄宿制施設 在宅・病院施設
特異性学習障害
言語障害
精神遅滞
重度情緒障害
重複障害
聴覚障害
肢体不自由
その他の健康障害
視覚障害
自閉症
盲・聾
外傷性脳損傷
34.8
81.8
7.1
19.6
7.6
29.5
35.1
40.0
45.5
9.0
12.3
16.4
43.9
10.7
26.8
26.7
19.1
19.7
20.0
27.4
21.1
9.6
9.7
19.8
20.1
6.0
56.8
35.2
44.6
28.1
34.1
20.6
18.0
50.0
31.4
28.4
0.8
1.4
7.9
13.7
23.6
8.3
6.7
2.5
5.6
27.6
21.2
28.4
0.2
0.1
0.9
3.5
3.4
14.0
0.6
0.5
9.4
3.2
24.6
4.4
0.2
0.1
0.5
1.3
1.8
0.4
3.5
9.1
0.5
0.6
1.0
2.6
総計 39.8 31.7 23.5 3.7 0.8 0.5

 障害児に村する教育措置は、年齢グループによって大きな違いがみられる。6~11歳の児童は普通学級で50%が、そして12~17歳は30%、18~21歳では23%が教育を受けている(図2)。これは6~11歳の児童がいる小学校の環境やカリキュラム全体があまり複雑でないということから生起していることと考えられる。すなわち、小学校では児童は一日のほとんどを一人の教師のもとで一つの学級にいることが多い。そのため施設設備にもうまく適応を示し、あまり他へ移動しないでよいし、インクルージョンの実践指導に当たり、環境や指導上の変化にあまり焦点をあてないですむこともある。相対的に、18~21歳の生徒は分離学級や学校で教育されているが、これは普通学級の建物の外に置かれている特別の職業プログラムや移行プログラムに措置されていることを表している。
 

 (2) 障害別の措置の状況

 表4に示すように障害の違いによって教育措置の状況はかなり異なっている。1992~93年のデータでは、言語障害の児童生徒は、ほとんど普通学級(81.8%)とリソースルーム(10.7%)のみに措置されている。学習障害、その他の健康障害、肢体不自由、そして情緒障害の児童は、一般に普通学級、リソースルーム、そして固定式特殊学級に措置されていた。精神遅滞の児童は、主にリソースルームや固定学級で教育を受けていた。
 聴覚や視覚障害の児童は、いろいろな教育の場に措置されていた。聴覚障害児の29%及び視覚障害児の45%は普通学級で教育を受けていた。また聴覚障害児の23%及び視覚障害児の15%は特殊学校、寄宿制施設、在宅病院などで教育を受けていた。
 重複障害、自閉症、盲・聾、そして外傷性損傷児は、他の障害児と比べて、より制約的な教育措置が行われている。すなわち、重複障害、自閉をして外傷性脳損傷児は分離学級と分離学校の措置が最も一般的であった。盲・聾児の大多数は、分離学級、分離学校、寄宿制施設で教育を受けていた。
 

 (3) インクルージョン実践に関する調査

 普通学級の中にいる障害をもつ児童生徒すべてに対し、個別的で適切な教育を提供することは重要な責務であり、各種の援助が求められている。
 特殊教育局(OSEP)は、過去10年間、この現実を確認し、特殊な研究課題に焦点をあわせ(例えば、学習障害の生徒の学力到達を促進したり、重度児の生徒の物理的、社会的統合を促進するなど)、インクルージョン実践を行っている地方教育局(LEA)や一般教育の教室に重い障害児を受け入れる学校を援助する研究所(例えば、カリフォルニア研究所やインクルージョン実践協会など)、もしくはインクルージョン教育を促進する州立活動(例えば、州で全州的なシステム変革プロジェクト資金を受けている)などに数多くの資金を供給している。これらの研究や実践のほか次にあげる努力などは、インクルージョン教育実践を支援するものと確認されている。
 ・障害児のIEPの計画や実行に際し、種々のレベルでの専門家チームを利用する責務
 ・学校内の個人、学区、州のレベルで教育者にインクルージョンのビジョン構築を援助し、この展望を実現させるための行動を実証する指導者
 ・インクルージョン教育のために障害児の家族への積極的参加と援助
 ・現在進行中の注意深い普通、特殊教育の教師の援助と訓練、これは、障害児のために普通教育のカリキュラムをIEPに修正されるように保証され適合されるようにするためのものである。
 

4.障書をもつ生徒の進路の状況

 1984~85年以来、障害児教育局(OSEP)は、14歳以上の生徒について年齢別、障害別の進路に関する資料を収集していたが、1992年より障害児の進路に関するデータの構成を改訂した。改訂された進路のカテゴリーは、
 (1)普通教育へ復帰
 (2)卒業証書を取得
 (3)修了証書を取得
 (4)年齢制限
 (5)死亡
 (6)移動
 (7)中退

 以上のカテゴリーのうち、(1)、(5)、(6)は今まではデータとして収集されていなかった。また以前の資料は、障害をもつ学生の進路についてのものであったが、改訂後のものは14歳以上のパートB及びChapter1の補助金により特殊教育を受けた学生の進路についての資料となるものである。

表5 障害生徒(14歳以上)進路状況
障害名 卒業証書 修了証書 年齢制限 14歳以上
の生徒
特異性学習障害 8.0
(69,309)
2.0
(17,156)
0.1
(746)
869,769
言語障害 7.8
(3,516)
1.1
(514)
0.3
(116)
45,297
精神遅滞 5.4
(12,718)
4.8
(11,305)
1.1
(2,662)
234,676
重度情緒障害 5.8
(10,411)
1.4
(2,474)
0.3
(583)
181,031
重複障害 4.1
(1,494)
3.1
(1,116)
1.8
(642)
36,416
聴覚障害 8.7
(1,851)
3.1
(660)
0.2
(41)
21,245
肢体不自由 9.0
(1,451)
2.6
(421)
0.7
(117)
16,094
その他の健康障害 8.2
(1,815)
2.8
(627)
0.3
(65)
22,207
視覚障害 10.2
(872)
3.0
(260)
0.4
(31)
8,504
自閉症 2.3
(114)
2.2
(110)
1.2
(62)
4,947
盲・聾 11.8
(68)
11.1
(64)
3.1
(18)
575
外傷性脳損傷 9.7
(182)
1.3
(25)
0.7
(13)
1,886
総計 7.2
(103,801)
2.4
(34,732)
0.4
(5,096)
1,442,647

 表5に示したように、1992~93年には、14歳以上の全障害生徒の7.2%に卒業証書を授与されている。盲・聾生徒(11.8%)、視覚障害(10.2%)、外傷性脳損傷(9.7%)と比べて、自閉症(2.3%)、重視障害(4.1%)は卒業が極めて少ない。
 修了証書は14歳以上の障害学生の2.4%が取得している。これは盲・聾児(11.1%)、精神遅滞(4.8%)に多くみられる。これに対してこのサービスの制限年齢である22歳に達し、退学した者は、5,096人(0.4%)とかなり少ない。
 過去5年間の14歳以上の障害学生で、卒業証書、修了証書を取得し卒業した学生を障害別にみてみると、全体としては10%程度であまり変化していない。精神遅滞の生徒(11.3%)は、学習障害(10.1%)や情緒障害(7.9%)よりわずかに高くなっている。
 中途退学の者については今年は報告されていない。
 

5.障害児教育に従事する教職員

 すべての障害児が無償で適切な公教育を受けることを保障するために、教師、診断スタッフ、関連サービス職員、そしてその他の指導、非指導の職員を含む適切な訓練や資格を有する教職員の充足が必要である。
 毎年、州は政府に特殊教育や障害生徒へサービスを提供するその他の特別職員数を報告している。

表6 障害別教員数
障害名 数員数 必要数(パーセント)
特異性学習障害
言語障害
精神遅滞
重度情緒障害
重複障害
聴覚障害
肢体不自由
健康障害
視覚障害
自閉症
盲・聾
外傷性脳損傷
多障害にわたる
98,125
41,208
43,106
29,684
7,732
6,913
3,443
2,136
2,964
1,652
170
217
73,852
7,075
2,729
3,011
4,556
790
509
234
216
242
382
20
29
6,036
27.4
10.6
11.7
17.6
3.1
2.0
0.9
0.8
0.9
1.5
0.1
0.1
23.4
合計 311,201 25,829 100.0

 

 (1) 障害児の教育に従事する職員

 1992~93年度に311,201の教師が従事しており、前年度より、0.7%増加している。この数字には、普通教育プログラムに一部、サービスを提供している教師やその他の職員は含まれていない。
 1992~93年で障害カテゴリーで最も多かったのは、学習障害の教師であり、特殊教育教師のおよそ3分の1が6~21歳までの学習障害児の指導に当たっている。次に多いのは、いろいろな障害児が在籍している、いくつかのカテゴリーにわたる児童のクラスで73,852人(23%)となっている。特殊教育教師の中で最も増加率の高かったのは、自閉症、外傷性脳損傷児を教える教師であった。
 表7にみるように1992~93年には320,420人の教師以外の職員が3~21歳の障害児教育に関わっていた。補助教員は教師以外の全職員の55.7%を占めている。この比率は過去5年間、あまり変化していない。非専門職員は、その他の関連職員の10.9%を教えているが、1989~90年度からこのカテゴリーに報告されているが、職務内容は明記されていない。

表7 障害児の指導に従事する教員以外の職員数
職員 従事者数 不足数
学校ソーシャルワーカー
作業療法士(OT)
レクリエーション療法士
理学療法士(PT)
補助教員
体育教師
指導主事/行政担当者(地方)
その他の非指導職員
心理学者
診断専門員
オージオロジスト
作業研究コーディネーター
職業教育教師
カウンセラー
指導主事/行政担当者(州)
非専門職員
9,658
4,973
389
3,504
178,532
5,283
15,791
24,772
20,138
7,178
883
1,568
4,481
7,297
1,064
34,908
590
749
107
583
5,000
364
1,176
1,284
1,215
468
83
358
313
449
130
1,234
合計 320,420 14,103

 

 (2) 障害児教育に必要な職員

 1992~93年に州は、次のような報告をしている。空席を充足する教師や無資格の教師に代えて25,829人の専任教師を必要としている。
 これは91~92年に必要とした数より5.3%少なくなっている。
 表6にみるように、最も必要とするのは特異性学習障害の教師(27.4%)で、次いでいくつもの異なった障害児のいるクラスの指導に当たる教師は、特に不足し補充が必要とされている(23.4%)。
 州は、また空席を充足し、資格や免許を十分有しない職員に代えて5,000人の補助教員を要求している。
 次いで、心理学者(1,245人)、非専門職員(1,234人)、そして地方教育当局の指導主事、行政担当者(1,176人)の不足があげられている。
 


 

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「リハビリテーション研究」
1997年11月(第93号)20頁~27頁
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