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ささえあいの活動

特定非営利活動法人日本障害者協議会

1.これまでの支援

 災害は、障害の有無に関わらず多くの人が同様に被るものと言われる。しかし、発災直後の拠り所となる避難所の多くに障害者対応が想定されていなかったこと、などをはじめ、障害のある人は障害ゆえに、ことさらに過酷な状況に置かれたと言わざるを得ない。

 日本障害者協議会(JD)には、障害や難病の当事者・家族・事業者・専門職・研究者など、障害に対する関わり方が多様な、現在61の団体が加盟している。各団体は、今回の大地震・大津波の発災直後からそれぞれの団体の会員の安否確認や情報収集を迅速に行い、適宜現地を訪問し、的確な支援を継続している。障害別の団体の場合は、当然ながらその障害について最もよく理解しているので、障害特性を踏まえた対応策を講じている。これら団体個別の支援活動は、日頃のつながりを基盤として行われているものであり、障害のある一人ひとりにとっての精神的な支えとなっている。また、専門職団体は、その職能を活かしたチーム編成や、異なる職能団体同士の連携による支援活動を実行している。

 団体個別の活動に加えて、JDFの現地派遣による直接支援の呼びかけにも応じた。全国の支部スタッフがローテーションを組み現地の活動を支えたきょうされん、ゼンコロには、被災地に隣接する山形の法人があり、発災直後のガソリン運搬等で支援の初動を支え、東京には災害時用品を扱う福祉工場があり、この状況下での必需品を携えて支援に入った。全国障害者問題研究会などを含めて複数回の支援に入った人も少なくない。

 最初にJDF支援センターができた宮城では、延べ6千人の支援員が活動し、その多くを上記の団体で支えたことになる。当初は支援の対象である障害者の姿がなかなか見えず、居所の情報を行政に求めるも、個人情報の壁があった。行政自らも被災しており、支援者と行政の、疲弊した同士の折衝場面もあったが、時間の経過とともに状況もニーズも変遷し、ニーズに沿った支援が展開された。

 全国腎臓病協議会、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、日本筋ジストロフィー協会、日本作業療法士協会、日本精神保健福祉士協会、日本てんかん協会、日本難病・疾病団体協議会、日本脳外傷友の会、日本理学療法士協会、などJD加盟団体の活動は本誌でも報告されているとおりであるが、以上のほかにも事務局では把握しきれていない活動も多くあることは自明のことである。

 そして、支援活動の一環として募集している寄付にも団体・個人からご協力いただき、JDFの支援活動に充てていただいている。

2.課題とこれからの支援

 福島原発の大事故と相まって復興への道は長く遠いかもしれない。けれども障害のある人たちは前向きに一歩ずつ進んでおり、支援者の存在も心強い、と福島で障害者のみなさんに寄り添って活動を続けている方からお聞きしたところである。そのような思いを知るにつけ、発災から2年経ってもいまだに「被災地」と言われる現状はもどかしい。JDはこれからもJDFの一員としての支援活動を基本とし、被災障害者の実態調査の意向すら見えない行政の扉を叩き続けていきたい。そして、被災障害者のみなさんのことを絶対に忘れないこと、いつも共にあるということを発信していきたい。

 災害はいつ、どこで起こるかわからない。明日はわが身という捉え方だけではなく、毎時・毎分・どの瞬間も、だれもが一人では生きていけないものであり、見えない所で誰かに助けられていることを認識し、おたがい様・支えあいの心を日頃から常に持つことが大切であろう。